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私は何やってんの? まるでストーカーじゃん。 けど何故か気になる。 新太が、凪野さんが。



思えば私が記憶している限り気付いた頃にはあの2人は仲が良い、とは言ってもそれは一方的で凪野さんからだけど。



「あれ、本庄?」



2人を尾行中、後ろから声を掛けられたのでビクッとしてしまった。



「誰あんた?」

「俺だよ俺、1年の時同じクラスだった桐山彗だって」

「…… ああ」

「思い出した!?」



私の頭の中の人物表には彼はまったく印象にないけど面倒なのでとりあえず合わせておいた。 



それより何邪魔してんのよ、早く消えて。



「本庄ってさ」

「ちょっと! 声が大きい」



本庄本庄とバカみたいに大きい声で喋るので胸ぐらを掴んで手で彼の口を塞いで前の2人を確認すると気付いてないみたいでホッとした、結構距離を取ってたお陰だ。



「はぁ〜」



溜め息を吐いて彼を睨むと彼の顔が赤くなっていた。 



「うわぁー、ドキドキした」

「とっととどっかに消えてよ、私に構わないで」

「なあ本庄、なんでいきなりあんなことしたんだ?」



はぁ、これだからバカは相手にしたくない。 私が消えてって言ったの聴こえなかったの?



かと言って本当のこと言うわけにもいかない、私が2人を尾行してなんて。



「あんたの声がデカいから不快だったの。 そんなこともわかんないの?」

「ああ、じゃあ小声で話すよ」

「〜〜ッ…… !! 話すも何も私はあんたに消えてって言ったはずだけど?」

「相変わらずキツいなぁ本庄は」



ヤバい、こんなのと話しているうちに2人が見えなくなってしまった。 マジで何こいつ……



拳にギュッと力が入った、彼を殴りたくて堪らないけどもう片方の手でそれを抑える。



「あんたなんかと話す時間なんてないの、消えて」

「そんなこと言わずにさ」



見えなくなった2人の後を追おうとすると彼が回り込んで妨害する、カチンときた。 私は彼の股間を蹴り上げていた。



蹴られた瞬間彼は「ふおッ」と小さく声をあげて股間に手を当て崩れ落ちる。



「何度も言わせないで、消えて」



これで懲りたでしょ。 そう思って行こうとすると後ろから腕を掴まれた。



「ちょ、ちょっと待ってって」



はあ…… ホント鬱陶しい。



「まだ懲りないの?」

「前に皆本とお前のこと見ててお前がこれくらいやるのなんて予想通りだから。 けど金的してくるとは思わなかったけど」

「人の邪魔ばっかしてなんなのよ?」

「せっかくなんだし本庄と仲良くなりたいなって思って」



人の邪魔をしといて仲良く? あんたってタイミング考えられないの?? そっか、バカだから仕方ないわよね。



「私はあんたみたいなのと仲良くなりたくないし喋りたくもない」

「はははッ、皆本も本庄と仲良くなる前はこんなんだったよな」

「しつこいっての!」

「ごめんごめん、本庄の家ってこの辺なの?」



謝ってるようで謝ってない、私をバカにしてんの?



「教えるわけないでしょ」

「なんか怒ってる?」

「あんたのせいでね!」

「あんたじゃなくて桐山彗。 そう呼んでくれたら帰るからさ」

「じゃあ消えて桐山」

「ひっでぇ、でも呼んでくれてサンキュー」



彼はそう言うと素直に帰って行った。



あいつのせいで2人はもう行ってしまった、今頃もう家に着いてしまっただろう。 私はイライラがMAXに達して足元に落ちてた小石を彼の帰った方向に蹴飛ばした。







◇◇◇







その日の夜私は新太にメールした、もちろん今日のことについて。



『なんで知ってんの?』とメールで問われた時正直尾行したってことを言うのを迷ったけど新太にはちゃんと言うと決めていたので私は言った。



そうして返ってきたのが『そういうのやめてくれ』だった。 一般的には当たり前の反応…… だけど新太は私にはあんなにしつこく迫ってきたくせに。



「ふざけないでよッ」



涙が流れた、新太ならおどけて返答はどうあれおどけて返してくると思ったから。



「友達…… なのに。 友達なんだよね?」



凪野さん……



私はやるせなさで心が一杯になった時彼女の顔が浮かんだ。



目の前の壁に凪野さんが映った気がしたので枕を投げ付けた。




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