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あれからしばらく経って俺は高校2年生になった、愛菜との仲はというとまだ恋人にもなっていない。 だが愛菜は俺に心を開いている。



「愛菜、教科書忘れてきちまった」

「それって私に言う意味ある? 同じクラスなんだから貸せるわけないでしょ」



休み時間になり愛菜の席に行って談笑していると周囲の人間はあれだけツンケンしている愛菜が俺とだけは普通に会話しているのが不思議なようでたまに……



「本庄」

「何?」



クラスの男子が俺のように本庄に話しかけることもある。



「あのさ、良かったら今度」

「興味ないからごめん」



話を最後まで聞くまでもなくバッサリ、俺との態度の違いに愛菜に話し掛けた男子は唖然。 ちょっと前まで俺ともそうだったんだ、易々と突破されても困るから少し優越感に浸れる。



愛菜に邪険にされた男子は俺の方に寄ってきて

コソコソと話す。



「皆本、お前本庄にフラれまくって嫌がられてたのになんでお前とだけあんな風に喋ってんだよ?」

「そりゃ俺の告白であいつも俺に傾いてきたんじゃねぇの?」

「お前くらいしつこいの居なかったもんな、というか他の女にすりゃいいのにわざわざ付き合い辛そうな本庄になんでそこまで?」

「なんでって、そりゃ顔が良いから?」

「お前って奴は……」



ふん、お前にはわかるまい。 てかお前のことまったく覚えてねぇわ俺、気安く愛菜を誘惑しないでもらいたいな。



あ、そうそう、そういえばそろそろ中間テストも近いから愛菜と一緒に勉強することになってたんだ。



しかも俺の家でと愛菜は言ってきた。 理由は人目に付くとこだと勘違いされて話し掛けられてもウザいということらしい。 



なんにせよ愛菜を独占出来るから理由なんてなんでもいい。 だが……



「勉強なら私が教えるよ!」

「なこと言われても愛菜に教わった方が良さそうだし。 お前より圧倒的に頭良いじゃん、お前の前回のテストの成績は?」

「…… 58位」



悪くもなく良くもない、至って普通のせいせきだ。 



渚は俺と一緒に居たいのか駄々をこねてる。



「ほら、それなら勉強は愛菜に教わった方がいいしお前も自分の成績を上げる方に注いだ方が効率良くないか?」

「そ、それは。 皆本君はそうは言うけど本庄さんと一緒に居たいだけじゃ?」



かなり遠慮気味に俺の顔を伺いながら渚はそう言ってきたが逆にそれが俺の勘に触る。



「それを言うならお前がそうなんじゃないの?」

「えッ!? そんなことは……」

「あるんだろ? だってそこまでして俺に勉強教える義理なんてねぇもんな?」

「新太いつまで何してんの? とっとと行くわよ」



愛菜が教室から出ようとしてたので俺も行こうとしたら渚に服を掴まれた。



「ダ、ダメだよ皆本君、それ以上本庄さんと仲良くなっちゃ」

「なんで?」



はッ、そりゃお前にとっちゃ仲良くなってほしくないだろうからな。



「えっと…… 」



ふん、言えないなら引き止めるなよ。 そう思って渚の手を払い退けると愛菜を追った。



「待てよ愛菜」

「あんたがトロいのよ、それにあの子と何話してたの?」

「おッ、気になる? もしかしてジェラシー??」

「バカバカしい、なんであんたなんかにそんなの感じなきゃなんないのよ? どうしてもって言われたから私としては仕方なく付き合ってあげてるんだから感謝してよね」

「そうか、愛菜の貴重な時間を俺のために割いてくれてるってことは俺のことどう思ってんのかな?」



意地の悪い質問をしてみると愛菜の足がピタッと止まった、こちらをジロっと睨む。



「大事な友達よ」



恥ずかしがることなく愛菜はそう言った、二重なのに目付きが悪いがそんな言葉を真っ直ぐ言える愛菜に俺は前よりもずっと惹かれていた。



「どれくらい?」

「替えがきかないくらい」

「ならいっそ付き」

「調子に乗らないで。 さっさと行くわよ」



そうしてまた足を進めると後ろからドタドタとうるさい足音が聴こえた。



「皆本〜ッ!!」

「はあ……」

「またあの子か」



俺と愛菜は一緒に溜め息を吐く、それと同時に俺の背中に衝撃が走る。



「どこ行くんだよぉ〜? アタシも混ぜろよ、な?」

「混ぜたくない邪魔するからお前」

「そうね」

「てめッ本庄! アタシの皆本と何一緒に歩いてんだよ!?」

「新太ってあんたのものだったの?」



また始まったよ西条と愛菜。 



最初は俺に対する愛菜の態度で西条もまぁいいかと思っていたようだが愛菜が俺に対する接し方が変わってきた時にこれはマズいと思ったのか喧嘩腰で絡むようになってしまった。



「ああ、皆本はアタシのものだ、お前こそなんで皆本と一緒に歩いてんだよ?」

「新太は私の友達だしどこかおかしい?」

「そうだぞ西条、それより俺と愛菜は忙しいからどいてくんない?」

「アタシの扱い雑すぎね皆本〜ッ! じゃあアタシも付いて……」

「西条」



後ろから西条の名を呼ぶ声が聴こえるとそれは先生だった。



「げッ……」

「職員室に来いと言ったよな?」

「うっせぇ! アタシは今忙しわわわッ!!」



先生に腕を掴まれ西条は引き摺られていった。



「お、おい! これ体罰だッ! セクハラだ!! 皆本ーーッ!」



引き摺られていく西条に手を振り俺と愛菜は学校を出て家に向かった。



「ただいま」

「おかえり新太…… って」



うちの親は隣に居る愛菜を見て驚く、美人だし俺が女連れで帰ってきたことがこの頃には信じられなかったろうな。



「お邪魔します、新太君の友達で本庄愛菜です」



ペコリと頭を下げると母さんはたどたどしく愛菜に挨拶すると俺は愛菜を部屋にあげた、まぁ裏では母さんの質問ラッシュだったが。



「悪いなうちの親お前が美人でビックリしててさ」

「別にいいよ」



愛菜は床に座り辺りを少し見回す。



「なんだ?」

「ううん、こういう部屋なんだって思っただけ」

「緊張してる?」

「まぁ人の家なんてあんまり行かないし同級生の男の人の部屋なんて初めてだしちょっとね」



愛菜と友達になってからは愛菜は心を開けば素直だってことに気付いた、嫌なことは嫌と言うしさっきみたいに自分をどう思うかと問えばちゃんと伝える。 



「もしかして俺とどうにかなっちゃうとか想像してる?」

「大丈夫、そうなった時は警察呼んであんたを逮捕してもらうから」



あらら、手厳しいお言葉。



「でも別にそこは心配してないよ新太は信用してるし」



そう、これだから愛菜になかなか手を出せない。 俺としても嫌々と思うようなことを愛菜にはしたくないしな。









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