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「皆本〜遊びに来たぜ」
「ピンキーじゃん」
「うっせぇ!」
教室で翼と話していると突然西条が来た。 というかこんな感じで度々来るようになってしまった。
「え? 西条さんと皆本君って喧嘩してなかった?」
「あんた知らないの? 西条さんが皆本君に告白したってこと」
「うそー? あの西条さんが?」
とか最初はいろいろ言われてたがもう皆見慣れた光景になっていた。
俺の机にドカッと座ると西条は俺を真正面に向かせた。 パンツ見えてるんだけど痴女かな?
「ピンキーパンツ丸見えだしッ」
「うあッ! 見んなボケッ!!」
俺の頭を小突くがだったらなんでそんな体勢になるんだし。
「あー、ピンキーなりに誘惑してるんだねそれ」
「誘惑とか言うんじゃねぇよ! これはええと…… スキンシップだし」
「あははッ、スキンシップならさぁ」
翼は俺の後ろに回ると背中から俺の肩に腕を掛けて首に胸張っての感触がむにゅりと伝わる。
「は、はぁ!?」
「こんくらいやんなきゃねぇ」
おいおい煽るなよ、西条はチョロいんだからそんなことやったらどんどんエスカレートするだろがい。
「ビ、ビッチじゃん! てめぇビッチだろ!!」
「見た目的にはピンキーのがビッチっぽいんだけど? それに〜、ビッチとかなんとか言うけど奪ったもん勝ちなんだからウブにはチャンスは回ってこなんだぁ」
うんうん、翼に1票。
「ぐぬぬぬッ、見くびんじゃねぇーぞ! 乳ならアタシのがあるんだっつの!!」
顔面に西条が胸を押し付けてきた、予想通りだぜ。 顔と首が乳に包まれて心地いい。 つーかお前の制服に俺のファンデ付いても知らねぇかんな?
「う、羨ましい皆本……」
「つーか皆本微動だにしねぇんだけど?」
おーおー、複数プレイもしたことがある俺には別にこれくらいどうってことない。 難を言えば基本こんなことされても慣れてる俺は大抵賢者タイムだが若い身体に戻ったせいか俺の息子が反応してしまっている、35歳の頃と違って勢力も昔に戻ってるのでもう朝までプレイ出来そうだけどそんなことした暁には本庄一筋とか言ってた俺が嘘になってしまうからな。
「ちょっと苦しくなってきた、2人とも離れてくんない?」
「うッわ、皆モンマジ? ちょっとはガーッて来ると思ったけど」
「確かになんでそんな平気そうな顔してんだよッ!?」
俺があまりに平常心だったので2人ともプライドに傷が付いたのか納得してない様子だ。
「俺はモラリストだから学校でこんなことされたってそんな気にならないんだ」
「じゃあ学校以外でならいいのか?!」
「身持ちが硬いからどうだろな?」
「あはははッ、皆モンそういうとこもいいよぉ〜」
「あッ、翼いい加減にしろよてめぇ!!」
翼と西条に巻き込まれて面倒だったので俺は廊下に出て本庄のクラスを見に行った。
あれ? もう少しで授業始まるってのにあいつ席にいないじゃん。 ああ、トイレかもな。
トイレで待ち伏せするのもあれだから教室に行くには通るであろう廊下で何気なくを装い待ち伏せしていると……
「おッ、本庄」
俺に声を掛けられた本庄は俺を一瞥した。
「ああ、新太。 今更言うのもなんだけどおはよう」
へ?
俺がそんな本庄の態度の違いに呆けた顔をしていると本庄はクスッと笑って自分の教室に入って行った。
あー、やられた。
それにしても俺を名前呼びするなんて本庄…… いや俺もこれからは愛菜と呼ぼう。
思えば死ぬ前にもフラれ戻ってきてもフラれ続けてきた俺にとってこれは大きな進歩だ。
あいつと付き合えれば俺は昔味わったフラれるという苦い思い出を克服…… まぁそう言っても時間が経ち過ぎてたからそんなにだけど何かが変わる、何故ならば死んで戻ってきたのがこの時代だからだ。
頭の隅で考えたこともあった、もしこのまま俺がこの時代で前と同じ35歳の死んだ時まで過ごしていたらまた俺は死んでしまうのではないかと。
俺が変わるキッカケとなったことなどの戻ったタイミングを考えるとどうしても本庄愛菜という壁が存在してならない。
だから俺はあいつとこの高校生活という限られた期間以内に付き合わなければならない。
ならば至って順調! 愛菜も俺に少しは心を開いている、ここまで来ればゴールは近いのかもしれない。
けど待てよ? ゴールしたら俺はハッピーエンドコースなのか??
「おい皆本」
思考中の俺は西条の声で遮られる。
「西条か」
「なんだその顔はぁ〜!? アタシでガッカリってか?! ああッ!!」
胸ぐらを掴まれユサユサと揺さぶられ愛菜との余韻がかき消されていく。
ちょうど第一章・完としては良い区切りだと思ったのにこいつは。
愛菜のクラスが目に映ると俺とそんな西条とのやり取りを微笑している愛菜の顔があった。
まだ終わりじゃないですがここで一区切り、第一章・完となります(^^)




