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「新太どうしたんだお前?」

「どうよこれ?」



中学が終わってから筋トレしていた俺は全く遊んでなかった友達の斉藤祐希と登校していた。 思った通り変わりようにビックリしているようだ。



「どうよと言われても」



そういえばモテるようになって女としか遊んでなかったから男と並んで歩くのは久しぶりだな。 こいつもまぁ当時の俺よりはマシだったけどパッとしないが数少ない俺の友達だったなぁ。



「お前性格も変わってね? 前までもっとオドオドしてたのに」



隠キャだって言いたいのか? ああこの時はそんな言葉すらないか、まぁいい。 あの時の俺とはもう違う、華々しく高校デビュースタート初日だ。



「でも高校デビューだろそれ? 同じ中学から来る奴も居るのに」

「ふん、そんなの関係ないさ」



そうさ、俺が変わったことで調子こいた奴らは俺の中学の頃の黒歴史を暴露する奴が出て来たってそんなのガキの発想だ。 何も恐れることなんてないさ。



教室に着くと俺のことを知ってる連中は少しどよめく。



「おい、あれって新太か?」

「変わり過ぎだろ」

「高校デビュー、プッ、だっせぇ」



予想通り知ってる奴ら…… 俺からしてみればほとんど記憶にない連中で名前すらよく覚えたない奴らが早速好奇の目で俺を見ていた。 すると……



「なあなあ新太」



その中のお調子者の名前はなんだったかなぁ……



「何だよ?」

「何だよってお前が何だよ? お前さ、新太だろ、そんな調子に乗ってていいと思ってんのか?」



いかにもクソガキの舐めた態度だ、そういえば思い出してきた、昔こいつらは俺のこと陰毛頭とかバカにしてたよな皆の前で。



昔の俺は何でこんな奴にビビッてたんだ? 背も俺と変わらないし鍛えてる俺からしてみたらヒョロいそこらの砂利ボーイだわ。



「俺が新太だからって何が悪いんだ? そっちこそ誰だっけ??」

「おい新太、大分調子乗ってんなぁお前」



口元をヒクヒクとさせてそいつは怒ってる様子だ。 でもマジで名前が出てこないんだこっちは。



それに入学早々その態度は周りの女子からしてみたらこのナイスな俺に僻んでるモテない男子だぞ?



まぁかと言ってこいつが暴力とか振るうもんなら俺を巻き込み女子以外からの周りにもドン引きだ、ここは大人の対応だな。



「ごめんごめん、俺の態度が気に食わなかったんだろ? 以後気を付けるからさ」



俺は立ち上がってポンポンと肩を叩いて両肩を掴んだ。



何かと思ってそいつは身体に力を込めてるが俺は2ヶ月ちょいしかない身体改造で今までにないくらい物凄く頑張ったのでこいつの不動の構えなんて大したことない、そのまま俺の椅子に座らせて俺は教室から出て行った。



「おい、新太」



その俺を追って教室から祐希が追いかけてきた。



「よッ、お前もトイレ?」

「いやトイレって言うより辰也達にまったく動じたなかったなお前、あいつ教室出てくお前見てバカ面でポカンとしてたぞ」

「はッ、あんなんどうでもいいわ。 関わるだけ時間の無駄だし」

「てかマジでお前性格変わり過ぎじゃね? 何あったんだよ??」

「いや〜、ゲームでもそうだけど2周目からが本番みたいな感じなのかな?」

「何言ってっかわかんねぇけど……」



その時少し前方の廊下の曲がり角から本庄愛菜が出てきた。



相変わらず綺麗だな、サラリとした黒髪ロングで美人だけど性格がキツいのが顔にも出ていて話し掛け辛くいつも不機嫌そうだ。 



昔の俺はクソだったがこれに告白したんだから頑張った方だなと思う。



本庄はすれ違う俺をチラッと一瞥するとそのまま不機嫌そうな顔で通り過ぎて行った。



ふん、歯牙にも掛けないってか。 まぁ俺がいくら前よりイケてるようになったからって上には上がいるのもわかるしそこまで自惚れてはいない、それにあいつはイケメンな男子に告白されても付き合ったって噂はなかったしな。



「入学式でも思ったけどあの本庄ってすげぇ美人だよな、頭も凄くいいらしいし何もかも完璧かよ」

「そうは言っても所詮は15、16のただのガキだ」

「お前も同い年だろ」

「だな」



中身はアラフォーだけどな。 ああいうのは美人だし頭もいいで周りからもチヤホヤされて親からもプレッシャー掛けられてんだ、だから気が許せなくていつもイライラしたような顔をしてるんだろう、そこが本庄愛菜の付け根だな。



とまぁ高校初日は特に何事もなく過ぎて行った。 ところが……



「なんてこった、勉強がまるでわからねぇ」

「大丈夫か新太? お前成績も大して良くなかったけど更に悪くなってねぇか?」

「学校で習う勉強なんて社会に出て使った試しなんかねぇんだよ」

「いやいやそんなんでよく受験受かったよな」



それは戻る前の俺が受験したんだしなんとかなったんだろうよ。



「なあ祐希、お前って頭良かったっけ?」

「よく訊けるなそんなこと、俺とお前はどっこいだぞ?」

「はぁー、勉強なんてする暇ないのにな俺、留年だけはしたくないし」

「おッ! なら本庄愛菜とかに勉強教えて貰うとか?」



バカか、初日からってウザがられて終わりだろそんなん。 それにそんなことしたら本庄はもしかして俺が自分に気があるのかもと変な勘繰り入れられるのも癪だしな。



何かあいつが隙を見せた時じゃないと……



隙と言えば本庄は敵も多かったな、美人だけど男子にも女子にも常時ツンツンしてるからそれが気に入らない女子から結構バッシングされてたっけ、さっきみたいに歯牙にも掛けなかったからどうってことないんだろうが表面上はな。



どっちにしろまだ本庄に何かアクション起こす時じゃない、とりあえずそこそこ頭が良くて快く勉強教えてくれる奴は……



「わわッ!」

「あ、悪い。 大丈夫か?」

「こちらこそすみません。 あッ……」

「え?」



横切った女子と肩が当たってしまった、その女子は意味深そうな顔をしている。 誰だっけこいつ?



「皆本君っていうんだね、あの…… この前はありがとう、同い年だったんだ。 しかも同じクラスだったからちょっとビックリ」

「ん? …… んんー?」



あ、そうだこいつの顔どこかでと思ったが。 ジョギングしてた時の不審者女じゃん、可愛いけど俺の好みじゃないから俺の網膜フィルターには入ったなかったわ。



「ああ、そういえば君は……」



ということで名前もまだ俺の中にはインプットされてない、前の俺とも同じクラスなんだろうけどなぁ。



「自己紹介、朝にしたのに」

「あー、凪野渚…… だっけ?」



俺の代わりに祐希が彼女の名前を言った。



「そうだよ渚だよ」



渚は少しムスッとした感じだ。 ははぁ、なるほどなるほど。 これは俺に何かしら感情があるな、この渚に勉強でも教えて貰おうかな。



「ごめんな、自己紹介の時緊張してたからさ」

「そうそう、こいつこう見えてもそういう奴だからさ」

「ふぅん」

「ところで渚」

「は、はい?!」



渚の肩に手を置いた。 すると渚は少しビクッとして一歩下がる。 こういうのはやる方がオドオドしたらキモくなる、大胆に行こう。



「お、お前いきなりフレンドリーだな……」

「渚、お前勉強出来るか?」

「ええッ? いやえっと普通かも多分…… です」

「よし普通ならいい。 渚、今日から俺に勉強教えてくれ」

「へ? ええッ?!!」





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