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2人きりになってポカーンとしてその場にへたり込んだまま西条は俺を見ていた。



「お前パンツ見せるの好きだな」

「ハッ!」



サッと脚を閉じて西条は立ち上がるとまた怒った表情になる。



「ホントムカつく! てめぇムカつく!!」

「はいはい。 あ、そういや」



俺は置いていた西条のブレザーを返した。



「あ、アタシの……」

「渚がちょっと来られないみたいだから返しておいてくれってさ」



すると渚のブレザーを脱いで俺に渡し、自分のブレザーを着直した。



「はあー、あいつ怒ってなかったか?」

「お前とはキャラ違うしそんな心配しなくても大丈夫だろ」

「なんだと! …… まぁいいや。 おい、それよりお前って本当にいじめられっ子だったのか?」

「そんなの遠い昔の話だ」

「ジジイかよ、まぁハッタリでもあそこまで言えばビビッたろあいつらも」

「だろうな」



ハッタリじゃなくて真面目にコキ使ってやろうかと思ってたけど。



「それと西条も無事みたいだし良かったよ」

「は?」

「俺への嫌がらせのためにあいつらにいいようにされなくてさ」



あ、こいつチョロいんだった。



見るとそう言われた西条はなんとも言えない顔になって口をあんぐりとさせていた。



「バ、バカじゃねぇーの! あんなのアタシひとりでもなんとかなったし!! 第一助けてなんてアタシは言ったねぇ」

「だよな、俺が勝手にしたことだったし」

「うぐッ……」



最早何を言ってもこれは如何にもなパターンになる気がする。



「おっと、俺もう行かないと。 じゃあな!」

「あ、おい!」



ふぅー、俺やっちゃってるなぁ。 過去に戻ったからには前とは違いはべらせるのが目的じゃない、特定のひとりと結ばれる為だと自分に言い聞かせる。



渚のところへ行くと既にリレーの練習をしていた、俺が見た瞬間からバトンを落としてこいつも早速やっちゃってると思っていたところに。



「本庄!」



本庄がバトンを受け取り走っている姿が見えた。 



あいつ…… 速ッ!! 渚並に速いぞ、てことは俺も危ういな。 自信満々に言うわけだ、迂闊に出なくて正解だったか?



てか綺麗だな本庄。 



走ってるだけなのに俺は本庄に見惚れてしまっている。 走り終わった本庄がこちらと一瞬目が合ったので手を振ったがプイッとそっぽを向かれる、最早そんな愛想がないところまで微笑ましく感じる。 



そうだ、本庄に何かジュースでも買ってやるか。 



売店の方に戻り自販機で適当なジュースを買って校庭に戻ろうとしていた最中……



「やっと見つけた」

「お前まだ学校に居たのかよ」



西条、もしかして俺を探してたのか?



「あのさ、てめぇに言いたいことがある」

「何?」

「あったけどてめぇの顔見たらムカついてきた」

「じゃあ俺は消えるからいいよ」

「ま、待てって!」



腕を掴まれて西条の正面に向かされる。



「俺急いでるんだけど」

「すぐ終わるから…… ええと、さっきは、さっきはありがとな」

「ああ、どういたしまして」



言うと西条は顔がジワジワと赤くなってきていた。



「そ、それとさっきはかっこよかったぞ」

「ん?」

「な、なんでもねぇよッ!!」



西条は俺の手からジュースを奪ってグイッと飲んだ。



それ…… 本庄にあげようと思ってたのに。



「それだけだ! じゃ、じゃあな!!」



靴を履くとダッシュで西条は帰って行った。



あの野郎、本庄のジュースパクって行きやがった。 



「皆本君ッ!」



あれ? 練習もう終わっちゃったの? 



俺が校庭に行くと俺を見掛けた渚がこっちに走ってきた。



「み、見てた?」

「見たけど」

「バトン落としちゃった」

「そんな最初からうまく行くわけないだろ、まだ日はあるんだし練習すればいい」

「あ、あのね、夜もしたい」



なんか卑猥な聞こえ方に聞こえるのは俺のこころが荒んでいるからだろうか?



「はいはい、わかったよ」

「お前ら仲良いんだな?」

「え?」



渚と話していると急にリレーのメンバーが俺達を見てそう言ってきた。



「いや、仲良いっていうか…… 普通?」

「なんだそりゃ?」



渚はそう言われてオドオドしてるし変な噂立つと困るな。 ガキってそういうの好きだからな。



「こいつバトンとか落としちゃうからちょっとしたアドバイスしてたの」

「そういやお前リレー出たいって急に言ってたもんな、得意なのか? だったらなんで最初に立候補しなかったんだよ〜」

「だな、俺もそう思ってる」



そして本庄とはすれ違いながらも渚との練習は続き球技大会当日になった。




「皆本、パス、パスッ!」

「ほら!」



俺からパスを貰ったチームメイトはゴールポストに見事シュートを決めた。 俺はクラス対抗のサッカー真っ最中だ。



ふッ、俺はあらゆるスポーツをそつなくこなすよう鍛えていた。 こんなのガキのうちだけだが得意だったんだよなぁとか話のネタにはなるしな。



今は若いだけあって鍛えれば鍛えるほど昔より上達が早い気がする、感覚も忘れてないし。



「よっしゃあ! ナイスパス皆本」

「おう」



まぁぶっちゃけ試合の内容は勝っても負けてもどうでもいいが周りは燃えてるな、俺も合わせないと。 女子も見てるし。



俺が今度はパスを貰いドリブルをしていると中澤が立ち塞がる。



こいつイケメンのくせにスポーツも出来るとかじゃないだろうな? 



俺は中澤を躱そうとするが中澤はしぶとく食い下がり抜かせてくれない。



「なかなかやるじゃん皆本」

「はぁ〜、お前もな」



俺は諦めてパスをしようとフェイントを掛けたところで中澤の脚の間にボールを滑り込ませた。



「うわッ」

「引っ掛かったな」



一瞬反応が遅れた中澤を抜いたが追いつかれそうなので今度こそパスをまわす。 中澤を抜いたことで女子の声援がより一層俺に傾く。 



こんなの昔じゃ絶対あり得なかったな。 ん? 西条までこっち見てるわ、けど本庄は居ないな。 



サッカーは俺達のクラスが勝利し俺の株がまた爆上がりした。








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