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「おはよう皆本君」

「おはよなぎ…… ん?」



朝一、渚の顔が強張る。 俺の背後を見てのようだが。 



「このクソたらしッ!!」



すぐに俺は身を横にずらして何かを俺にぶつけようとしたがそれは渚の顔面に直撃した。



「あッ……」



渚の周りに白い粉が舞う、顔面は黒板消しを押し付けられているので確認出来ないが俺への攻撃を外し尚且つ見知らぬ奴に黒板消しをお見舞いさせた西条の気不味い心境は察する。



「ぶッ!」

「うわぁ……」

「あれ3組の西条でしょ?」

「かわいそー」



周囲からガヤガヤと西条に視線が集まり更に西条は気不味そうだ。 というかいつまで渚の顔面に黒板消し押し付けてるつもりだ?



だが我に帰った西条は……



「てめぇよくも躱しやがったな!」



俺にすぐに牙を剥く。



「ううッ、ふえッ」



しかし西条のすぐ横でいきなりの仕打ちに渚がグズりだした、髪と顔と肩が真っ白だ。



「わわッ、わ、悪…… ぶふッ、ちょッ、その顔… ぷぷッ!! あ、いやマジでごめんッ!」

「ひッ、酷い」

「ご、ごめんって…… あぶッ、ヒィヒィッ」



ポロポロと涙を流した渚に西条は渚の顔を見ると笑いそうになるのか視線を泳がせていて俺への矛先はもうどこへやら。 



「と、とにかくふざけんなよクソ本!!」

「クソ本って俺のこと? ええ〜ッ」

「てか酷くない西条、凪野チョークまみれじゃん」

「放置してないでせめて服とか交換してやれないわけ?」

「ぬッ、ぬぐぐぐッ」



旗色がどんどん悪くなる西条は……



「ああああッ、もうッ!! こーすればいいんでしょ!」



西条は渚に付いたチョークの粉をはらって渚の制服のブレザーを脱がせ自分のを着せた。



「うッわ、アタシの着せると胸スッカスカッ!!」



胸が大きい西条の制服が渚には大きかったようだ。 だがそれをつっこまれると渚の瞳には更に大粒の涙が。



「う、嘘だって! 小さくても個性…… じゃなくて覚えてろよクソ本!!」



逃げるように西条は自分の教室に戻って行った。



「まったく迷惑な奴だな、大丈夫かよ渚?」

「うん……」

「うッ……」

「え?」



西条の奴胸の大きさエグいなと思ったのとその顔は卑怯だと思ったことは渚には言うまい。




そしてその日の授業が終わると渚から声を掛けられる。



「えー、俺が?」

「ごめんなさい、私ちょっと西条さん苦手で」

「だったらあいつらと面識ありそうな翼に……」



いねぇ! ついさっきまで居たのに。



「仕方ねぇな」



渚からブレザーを受け取り隣のクラスに行ってみた。



こいつも居ねぇのかよ! まったく、どこ行きやがったんだ?



廊下をウロウロして探してみるが西条は見つからない。 けどピーンときた、売店に行ってみよう。



売店に向かうと俺の少し前に辰也達が居た。



面倒だなと思って辰也達が入った売店を扉の横から見てみると俺の思った通り西条が携帯を弄りながらジュースを飲んでいた。 すると……



「なあ」

「あ? 何よ?」

「お前さ、朝に皆本と言い合ってただろ? あいつに何されたんだ?」



辰也が西条に話し掛けた。 これはと思い聴き耳をたてる。



「何されたって関係あんのかよ? なんでもいいだろー」

「あるんだよ、お前皆本のこと嫌いだろ?」

「大っ嫌いだ! それが何?」

「俺もあいつが嫌いなんだ、それで提案がある」

「はあ?」



売店の中だとマズい話なのか辰也達は西条を連れて売店の外へ出たので俺も見つからないように隠れた。



「ウゼェな、なんなんだよ?」

「悪い話じゃないって。 あいつを嫌われ者にしたくないか?」

「どうやって?」

「お前がさ、あいつに胸とか下着盗まれたとか言ってあいつの机の中とかに置いておくんだよ」



なんつークソザコムーブ決めてんだあいつ。 くだらん、けど聞いちゃったわ、逆にそれを利用してもっと辰也を追い詰めることが出来るなと思ったところ……



「バカじゃねぇの!? いちいちそんなのにアタシを巻き込むなッ! それに何? てめぇらそれでも男かよ? 人の下着使ってしかあのクソバカに目に物見せてやれねぇのかよッ! キモッ」

「お、おい!」



西条の声がデカいので辰也達がアワアワと周りを気にする。



「アタシはあいつ嫌いだけどお前らみたいなキモいいじめするような奴はもっと大っ嫌いだ!」

「こ、こいつ…… おい、連れてくぞこいつ」

「ちょッ、離せよ触んな!」

「口ふさげ! 口ッ!!」



はぁー、西条の奴。



「おい」

「あ? って皆本!!」

「んんーッ!!」



俺が声を掛けると辰也達だけじゃなく西条も目を開いて驚いた顔をしていた。



「何やってんのお前ら?」



パシャリと写メを撮った。



「て、てめぇッ!!」

「あ、これ職員室に行ってあることないこと話しちゃおうかなぁ。 場合によってはとんでもないことになりそうだなぁ」



やれやれ、とんだ棚ぼただわ。 これさえあればこいつら俺の言いなりじゃね? 力ずくとかで行こうかとも思ったけどそんなことしなくても済みそうだわ。 カカカッ。



「お、おい!! やめろって、そんなんされたら。 大体俺はこのバカに仕方なく付き合ってるだけだしさ」

「大樹! はぁ!?」

「いや、俺もそうなんだよ、辰也のやることに俺らも呆れてたんだ」

「てめぇまで」



辰也の取り巻きは焦って西条を離した。 すると西条は辰也の後ろから思い切り股間を蹴り上げた。



「はぐッ!!」



股間を押さえてその場に辰也は縮こまり悶絶している。



「て、てめぇ、こんなことしておいて」

「こんなこと? お前自分のやってること棚に上げといてよく言えるなぁ、俺を嵌めようとしたんだろ? こんな写メ撮られるのも天罰だよなぁ、今までしてきたこと考えると俺にやり返されても何も言えないよな? 情けとか掛けると思うか? おい、今どんな気分よ?」



この際なのでとことん煽ってみた。 力ずくで来られようともこんなカスに負けるとも思わないし。



「ゆ、許さねぇ!!」



俺の言ったことに逆上してしまったのか西条の足を掴んだ、いやそっちかよ。



「キモッ、なんでこっちに来んだよッ!」

「てめぇも許さねぇ……」

「違うだろ、俺はお前を許さねぇぞ?」



自分より弱そうだから女だからということでとりあえず西条に矛先を向けたのだろうが。



辰也の髪を俺は掴み上げた。 その拍子に西条は転んでしまってまた見事にパンツを露わにしていたがパンツ如きじゃ散々見てきたし俺興奮しないし。



「いでででッ!」

「前に俺のこと殴ったりしてたよな? お前も殴られてみるか?」



俺は圧を込めて髪を掴んだまま辰也を壁際に叩き付けて言った。 



ビビッてるビビッてる、いじめてた奴に言われてて情けねぇなこいつ。



「ごめんなさいは?」

「は?」

「は? じゃねぇだろ」



また辰也を壁に叩き付ける。



「ごめんなさいだよ? そんなことも言えないの?」



俺が拳を振り上げて殴ろうと仕草した。



「ご、ごめんなさいッ!!」



とうとう謝った、今日はこれくらいで勘弁してやるか。 



「じゃあこっから消えろよ、ほら」



俺はニッコリ笑ってシッシと手を振って辰也達は足早に去っていった。 これからはいつ写メをネタにされないかとビクビク震えてあいつらは過ごすことになるだろう、最高の気分だわ。




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