7話 謎の行商人カールズとくじ引き勝負!④
ーカランカラン!ー
鐘の音が周りに響く。
「あんちゃん!すごいねぇ〜!5回連続で当たりだよ!!!こりゃあ驚いた!今まで色んな街に来たけどもこんなに運が良い人は初めてサー!!」
アイサー!ホイサー!アイサー!ホイサー!
こりゃあ楽しい。
あたりが分かっているくじ引きで合計銀貨5枚手に入れることができた。カールズと勝負する前は銅貨が4枚(1200円)だったが、1勝負無料分も合わせて今は銀貨5枚で4500円分になった。これで今日の宿代も払える。異世界に来てどうなるか不安だったけども。
明日まではなんとか……ん?明日まで?
いけない。
宿代の事ばかり考えていて今後の事を忘れていた。
そうだ。何もわからないこの世界で、宿代を払ってしまったら一文なしになってしまう。
せっかくこんな簡単に稼げるゲームはなかなかないだろう。
「ねぇカールズ。一度にかけることはできるかな?」
「え?あんちゃん?」ガールズは首を右にくいっとむけ不思議そうにこちらを見つめる。
「今凄く運がついているから、このチャンスを逃したくないんだ。」
ふと僕はつぶやいた。
「という事はどういう事だい?」
「ちょっとこの後用事がありまして、もっとやりたいけど時間がないんだ。つまりだ、僕はこの銀貨5枚をこのまま賭けるよ。もしあたりが出た場合は5倍の25枚に変えて欲しい。5回分の勝負を1回でやろう。カールズ。」
「うーん。」
カールズは手を組み首を傾げて悩んでいる。ここは是非とも勝負に乗ってくれ!
「普通はしないサー!でもこんなに運がいい人初めて見ましたサー!カールズは勝負するサー!あんちゃん頑張ってサー!」
群衆から歓声が聞こえて来る。
『お!このにいちゃん全額賭けるみたいだぞ!』
『よーし次も当てろよ〜!』
『当たったら酒を奢ってくれ!』
カールズと僕の周りはかなりの盛り上がりをみせる。
でもまぁ勝てる勝負だからな。。。
僕は銀貨5枚を全てカールズに手渡す。
「最後の勝負だ!」
「そうサー!カールズ頑張るサー!負けないさー!」
カールズが再び紐をまぜる。
そして混ぜた後にあたりのひもを選ぶ。いやあたりが分かっている紐を探す。
えっとザラザラした紐はっと。
その時、「うおっと。」
カールズがゲーム台の上にあった水筒を飲もうとした時に手が滑ったのか、こぼしてしまった。
「あちゃー。あんちゃんごめんよ!!!」
紐は水に濡れてしまった。
「あらら。ごめんよーあんちゃん。濡れちゃった。でも紐で良かったサー!紙だったらちぎれて勝負出来なかったサー!さあ!勝負サー!」
やれやれ、何をしてるんだこの人は。
えっとザラザラした紐は・・・
えっ?
ザラザラした紐が無い???