33話 ゲーム序盤の街は大抵重要な秘密が隠されてるんです②
「選ばれた人間は呪文……選ばれた魔族はスキルを使う。
呪文は強力だが一時的にしか使えない。反面、スキルなら永続的に利用可能だ」
《呪文》と《スキル》。人間族と魔族か……
「何はともあれ、サンはまた俺を救ってくれたんだありがとう。」
「いえ、奇跡の呪文のおかげですよ。」
「奇跡の呪文……か……そうだなお前2度も俺の命を救ってくれたのは、奇跡の呪文といえるな。」
「僕はこの奇跡の呪文で……アルディンさんの怪我を治癒させる事ができました。そしてミーアも……」
「……ということはサンが使える呪文は回復専門という事か?」
「……。実は僕もそう思ったのですが多分違います。実はイエデイも倒す事ができたのもこの呪文のおかげなんです」
僕は腰についている剣を後ろにいるイエデイに見せた。
「ん?なんだその剣……行きはそんなもの持ってなかったじゃないか」
「これも奇跡の呪文で……実は行きにカバンに入っていた小さなナイフが奇跡の呪文剣に変わったんです!」
新品同様のように青白く輝き、日の光をあつめている。
「ほう……それはまた不思議だなぁ」
「僕もびっくりしました。急にナイフが剣になりましたからね。イエデイの分身も不意打ちで倒したみたいなものです」
「なるほど……イエデイに一泡吹かせてやったという事か」
「はい、それで僕たちも聞いてしまったんです。エリアス侵攻の事を」
《サンとアルディンはイエデイとの話を共有した》
「なるほど……ようやくイエデイの話と繋がった」
「良かったです。早くエリアスへ行って危険が迫っていることをみんなに伝えないと!」
僕たちは獣道を引き返し、馬車のある所へ向かった。
〜サレスの森からエリアス馬車の中 鐘5つ〜
15分ほど歩きようやく馬が待っている入り口に着いた、
「よし乗れ! いくぞ!」
アルデインさんは馬車の先頭に座り馬を操る。
馬車はアリアスへ向かって動き出した。
2頭の馬はお互いの息を合わせるように前に進む。
といっても馬車は思っている以上に早く進まない。転生前に乗っていた自転車くらいのスピードだ。
ガタゴト
ガタゴト
心地よい馬車の音と裏腹に不安が募っていく。
馬車の窓からの景色は徐々に日が徐々に暮れ始めたのが分かる。木々は一層影を帯びより色味が濃く感じた。
さすがアルディンさん……馬の扱いが器用だ。
「サン、俺たちはアリアスを経由してエリアスに向かう予定だ。馬を出来るだけ急がせている。しかし、今ちょうど鐘5回位の時間だから、アリアスへは早くて鐘6回半……と言ったところか。エリアスまでは鐘8回にギリギリ間に合うかどうか……」
「……お、お父様が」
ミーアが不安そうな表情を並べている。
大丈夫……きっと間に合うよ。早く街の人に危険を知らせてあげないと! アルディンさん、頼みます!!
「おう!まかせろ!」
ペシン!
馬はエリアスを目指す……まずは中間地点のアリアスへ
現在鐘4回くらいなのでエリアスに着くのは鐘8回前後になる。
エリアスの人々にいち早く、この事を共有しなければ!
「サン……間に合うかしら」




