27話【ドラゴンって色々伝説があるけど異世界だと意外と普通な事かもしれません!】⑤
ーーー異世界転生を始めますか?ーーー
YES←
NO
サン
lv:1
HP100/100
MP100/100
【オトモ】
ミーア
lv:2
HP150/150
MP150/150
アルディン
lv:8
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ーー鐘3つと半分(アリアスからおよそ2時間ほどの所要時間を経てサレスの森入り口へ辿り着く)ーー
馬車が止まった。
「ここが入り口です。ここから道が狭くなっていますので、気をつけてください。お嬢様、私が先導いたします」
護衛の方がサレスの森入り口へ着くと先陣を切るように口を開いた。僕たちは馬車から降りる。
ここがサレスの森……
50m以上の巨大な木が連なっている。
木と木の間にうっすら獣が通ったような道……が続いている。
(こ、ここを進むのか……ゴクリ。)
「さあ、サン。いきましょう。」
ミーアが護衛の次に獣道の中に入っていく。
「あ、うん……」
魔族が出てきたら怖いけど
「よし…………」
僕も覚悟を決め、ミーアの後に続く。
「おいおい! こんなところいくのか!」
……とアルディンさんが文句を言いながら最後に続く。
さあ、ドラゴン碑石はもうすぐだ!
僕たちは獣道を進む。
ーーーーーーーーーーー
獣道は巨大な木々が混ざり、太陽の光が殆ど届かないくらい薄暗く、道も人1人が歩くのが精一杯の広さだ。
獣道を10分から15分ゆっくり歩くと少し開けた場所に着いた。
太陽の光が一帯に広がる。
「サン、着いたわ、ここが碑石の場所よ。」
「こ……ここが」
ついにドラゴンの碑石の封印を強化をする為にここまで来れた。
エリアスの領主、バルトさんの話ではドラゴン碑石の封印が弱まったせいで、抑えられていた魔王の力が増してきたという。
これが……碑石……
このドラゴンの碑石……というより岩?
普通の人が見たらただの岩の集まりと思ってしまっても仕方がない。
「あれ?よく見たら何か書いてある…………」
残念ながら僕はこの世界の文字が読めない。
「アルディンさん、これなんですけどなんて書いているんですか?」
「お、おう……文字が掠れていてよく読めないが……えっと……
『この碑石は……龍そのもの……
悪しき障気から……世界を守る為、
1頭の龍が……名乗りを上げた
龍は己の力全てを使い悪しき障気を
その龍自身に込めた
この龍の碑石が存在する限り……悪き障気は伝播されないだろう。」
「アルディンさん、ありがとうございます」
(どういう事だろう…………悪しき障気から世界を守る為? 己の力全てを使い悪しき障気をその龍自身に込めた? 」
アルデインさんが読んでくれた文章からは悪い龍とは思えないな……
「………サン、ミーアこれは一体?」
そういえばカタロスでアルディンさんは理由も聞かず、ついてきてくれたんだっけ。まあここまできてくれたんだしアルディンさんに伝えても良いだろう。
「意味はよくわからないですが……実はここに僕達は……カクカクシカジカ」
僕はここに来る経緯をアルディンさんに共有した。
3分後
「な、なんだって!!!
ゴブリン病の障気が碑石に込められているって!!? なんと言うところに来たんだ!! 危ないぞ!」
アルディンは目を丸くして驚いている。顔がどんどん青ざめていく。
「サン……アルディンには内緒だって……」
「いやいや、ここまで一緒に来て内緒にできる方が難しいでしょ」
「そ、そうだけど……もう、仕方がないですね。早く封印の強化をして帰りましょう! サン! こちらへ」
ミーアが碑石の前に立った。それと同時にアルディンさんは一歩碑石から離れた。
アルディン
(ゴブリン病になる碑石まで来たなんて……サン達には悪いが封印の強化が終わるまで獣道の途中で待っていよう。こう見えても俺は68の老いぼれだ!)
「さぁ! 始めますよ!」
ミーアが碑石の前に手を重ねる。
「ちなみにミーア、どうやって封印の強化するの?」
「えっ!?それはもう……呪文で……人間族ですから……」
ミーアがびっくりしたように答えた。この世界では常識だったらしい。
ーーー1話回想ーーー
この世界はどう言う世界なのか
これから解き明かしていこう。
ーーーーーーーーー
僕は転生初日の事を思い出した。
……ここまで何にも気にしてなかったけどこの異世界ってどういう世界かちゃんと気にした事無かったな。
呪文か……
もう少し細かく聞いてみるか。
「ミーア……呪文って?」
「えっと…………ご存知だとは思いますが、サンが使ったのが奇跡の呪文のように、人間族は1人1つの魔術が使えるの。皆それぞれ得意な呪文がありますけどね」
「人間族………1人に1つ…………」
「私は《俊足》という一時的に支援者の動きを早くする魔術が使えるわ。ただし1日に2回、多くても3回が限度です。それ以上使うと頭の中に《MPがゼロになりました》と謎の声が聞こえてかなりの疲労感が………」
《MPがゼロになりました》
僕も聞に覚えのある言葉だ………
どうやらこの世界は魔術が使える世界らしい。
そしてMP=マジックポイント
つまり利用上限があるって事か。
僕が知らず知らずに使っていた【こんにちは】という呪文も1日の限界回数がある。
現状自分のMP上限は確認することができないが、この世界の人々も魔術が使え制限があることは同様に適応されるみたいだ。
ミーアは再び前を向いて歩きながら教えてくれた。
「私は特別に2つの魔術を使う事ができるんです。
《保存》の魔術は物質の耐久性を、強化する事が出来ます。
その力を使いドラゴン碑石の耐久性を向上させる事で、封印を強化する事が可能だと思ったのですが…………
2日前私がここへ来た時に、封印の強化に失敗してしまいました。全て私の力が及ば無かったのが原因でした。」
ーーー19話回想ーーー
『……魔王の力を抑える為の碑石の封印の強化は私の娘……ミーアしか使えないんだ。』
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エリアスのヴエイストハルト卿の屋敷で聞いた言葉を思い出す。
……ミーアしか使えない《保存》の魔術か。
なるほど、バルトさんが言っていた言葉にも納得がいく。
「私はこの前、封印の強化に失敗してしまいました…………
でも今回は違う!次こそは封印を強化して見せます。
サン! 協力宜しくお願いします。」
「よし、2人で封印を強化だ!!!」
「はい!…………ふふふっ!……2人の共同作業ですね!!」
ミーアが少し嬉しそうに僕の方を向いた。
「さぁ、始めましょう!サンは私のタイミングであの呪文を…………【コルリャトリン】の呪文を!」
こんにちは…………だね。
この世界の人たちは発言する事が出来ないんだ。
【こんにちは】
僕の使える呪文は、アルディンさんを乞食のお爺さんからムキムキのおじさんに変えたことや、ミーアをゴブリンの姿から元に戻る事ができた。
そこから考えられるのは多分…………回復魔法だろう。
ただ……
僕の呪文がもし回復魔法なら封印の強化のお役に立てる事ができるのだろうか?
ミーア
「それではこの碑石の封印を強化を開始します」
ミーアが目を瞑ると詠唱を始めた。
〜hjmtp jpgmbDu wpgjwa mvjfi gsryhv njcddfgt b Hhjff haute…………
(何を言ってるか分からない…………)
ピカ!
するとドラゴンの碑石が徐々に紅く光り始めた
そしてその光は赤みを増し
赤紫に変化した
そして今、赤紫が黒い紫色に変色しようとしていた時
ミーア「サン…………今です!」
ドラゴンの碑石が赤色から紫色に変わろうとしていた。
「くっ…………はやく…………しないと…障気が……溢れ出して……」
ミーアは少しつらそうだ。
僕の呪文が碑石の封印の強化にどのように影響するのか分からないが、とりあえずミーアの言う通りやるしかない
僕はドラゴン碑石に向かい口を開いた。
「…………こんにちは」
ピカっ!
またあの時と同じだ!
ミーアの呪文と僕の呪文が重なりドラゴン碑石が黒色から赤紫へ、赤紫色から赤色に、赤色から青白い光に徐々に変色していった。
《だれか…………助け……》
ん?何か変な声がした気が……
僕は周りを見渡した。
誰もいない。
気のせいか……
ここにいるのは護衛さん、アルディン、ミーア、僕だけだ。
ブァン……
ブァンブァン…………
ドラゴン碑石の青白い色が消えた。
「…………終わりました。」
5分もかからなかった
封印の強化はあっさりと終わってしまった。
「ふう…サン、ありがとう。無事封印の強化が完了よ。これから徐々に魔力の力が広がり、明日のお昼頃までには、魔王領域に弱体化の結界が貼り直されるわ。」
(ゲームみたいに直ぐに強化されるわけではないのね…………)
「エリアスは魔王城の近くだからこれをしないと魔族から侵略されてしまう可能性が高くなってしまうの……だから魔族に気付かれないうちに封印できてよかったわ、サンがいてくれて本当に助かったわ! ありがとう!」
ミーアは少し疲れてそうだったが、にかっと笑顔を僕にくれた。
「いえいえ、そんな事ないよ。さあ、帰ろう!!」
護衛
「それでは……アリアスへ戻ります……到着は鐘6回頃を予定してます。アリアスへ到着後、私の用意した宿屋へ案内致します。」
「わかったわ。お願い」
「かしこまりました」
「あれ?そういえばアルディンさんは?」
「あ、そういえば、私も魔術を使うのに精一杯で気付きませんでした。どこかしら? もう既に馬車に戻ってるんじゃ……」
『ぐわぁああああ』
!!!!
獣道の向こうから大きな声が響いた。
「アルディンさんの声だ!!!」
何かあったのだろうか!!
「急ごう!」
僕とミーア、護衛さんの3人で来た道を引き返す。
ガサゴソ
ガサゴソ
「あ、アルディンさん!!」
「ぐぬぬぬぬぬ」
アルディンさんは道に倒れ込んでいて、
お腹を押さえつけている。
お腹からは赤い液体がポタポタと地面に滴っている。
「アルディンさん!大丈夫ですか!?一体何が!!!」
アルディンさんは僕の顔を一瞬みて
「……逃げ……ろ」
「えっ?」
ガサゴソ
ガサゴソ
「あれあれぇ??お前らなにぃしてるんだ!?」
ここまで読み切った方!
ありがとうございます!
ようやくこの小説でやりたかったことその1が終わりました!!
!!
あれ?これ………どうなのと言う微妙な言葉や表現をしております。
1話からもう一度読むと考え方が変わると思います!
コメント頂けると嬉しいです!




