4話 面倒くさい。。
4話 面倒くさい。。
「よし!」
俺はiPadの画面を見ながら叫んでいた。
ネット銀行の口座を開き早速やってみたのが…
ボートレースだ。
パチンコジャンキーはやはりギャンブル好きだ。
投資信託には興味はある。何しろ楽ではないか。
しかしそれならば、なぜみんな投資信託をしていない?
俺の周りには株をやっている人はいても、投資信託をしている人なんて聞いた事がない。
『とりあえず調べてからやな。』
と独り言を言って後回しにする。
で、ボートレースだ。
ギャンブル狂の血が騒ぐ。
パチンコでもスロットでもそうだが、最初は収支アプリで勝ち負けの金額を記入していく。
しかし…そう。最初だけだ。
なぜならば、負けが重なるともうどうでもよくなるからだ。
大体収支をつけてみよう。と思う場合は勝っているからだ。
俺は5万円の資金でどれだけ増えるか試してみた。
それこそ1週間毎日ボートレースをしてみる。
すると…。
勝ったり負けたりしながらその5万円は減っていく。
しかし徐々にだ。
1レース1000円と決めて、1-2、1-3、1-4、1-5を2連複で買っていくだけだ。
何しろデータの読み方も何も分からない。その選手の実績も知らない。というかそこまでハマりたくはない。
勝った時はパチンコジャンキーの血が騒ぐのが分かった。
そしてもう1週間。
勝てないレースが続く。
『くそ!何で俺が買ったレースに限って1枠が来ない!?』
ひどい時は1枠が5連続3位以下の時がある。
ボートレースはインコースの1枠が断然有利だ。
というか…そこに罠がある。
もし2連で買うなら後一つの枠を決めればいいだけ。
1-2でも1-3でも断然勝つ可能性が高い。
そう。可能性が高いのだ。
ギャンブルにおいて可能性が高いのは大きなアドバンテージだ。
そこに罠がある。
正直、ボートレースにハマる人の気持ちが分かった。
が、、実際は5万の資金は2週間でゼロになっていた。
『何てこった…。家で増やすどころか家にいるのに減ってるやないか…。』
俺は流石に考え込んだ。
なぜなら、パチンコホールに出向いての負けなら仕方がない。自らの行動だ。
しかし…家にいてお金が減るなんて…。
『これはハマったらあかんわ。』
俺は2週間でボートレースを辞めた。
ここで気になったのがやはり投資信託だ。
何しろプロが増やしてくれるというではないか。
ちょっと見てみるか。
投資信託のボタンを押した。
『あなたにぴったりのファンドが見つかります。充実のラインナップ!』
『世界インパクト投資ファンド』
『日本株ファンド特集』
『グローバル3倍3分法ファンド』
『人気のラインナップ楽天ファンド』
???
何か色々儲かりそうな名前が並ぶ。
説明を読む。
『投資信託のメリットといえば、1ファンドで分散投資ができること。』
試しにファンド特集のボタンを押してみた。
色々商品名らしきものが出てくる。
なる程…。
意味が分かった。
投資をプロに任せるのは大体分かってたが、色々な商品があるわけね。その色々な商品は日本株やら世界株やらある訳か。
一つの会社を買う訳ではなく、ジャンルがあってそのジャンル内の銘柄をプロがピックアップしてくれて投資をしてくれる。
だから投資信託っていうのか。
今まで50年生きてきて、街中の看板やらで投資信託の文字は見ていた。そうだ。銀行に行くとよく見ていた文字だ。
そうか…そうゆうことか。
そして誰もが知っている『楽天』のボタンを押してみた。
色々なのが出てきた。
世界債権型 日本株式型 世界株式型 バランス型…
『債権…?』
「うーん…」よく分からないが試しに一番上の商品を押してみた。
『楽天ボラティリティファンド 毎月分配型』
説明を読む。
『主として、ボラティリティ関連指数に連動する投資商品(ボラティリティ関連資産)への実質的な投資を行い、投資信託財産の成長を目指す。また、投資信託財産の一部を、米国短期国債を主な投資対象とする上場投資信託証券(ETF)に投資する。外貨建資産は、80%程度以上を基本として対円での為替ヘッジを行う。ファンドオブファンズ方式で運用。毎月12日決算。』
???
何のこっちゃ?
面倒くさ。
そう。
面倒くさい。
ここで出てくる言葉は『面倒くさい』だ。
今までだったらここまでだ。
しかしここでもタイミングがモノを言う。ボートレースで負けたというタイミングだ。
『家にいてお金が儲かるんだぞ。ボートレースでは勝てないぞ。またパチンコか?もっと儲かるぞ…』
とまるで悪魔のささやきの如くタイミングが語りかける。
悪魔のささやき??
天使の導きじゃないのか??
と訳の分からない事を勝手に思い浮かべながら、俺は決心した。
世界株式型 毎月分配型…。要は世界の株に投資して毎月分配してくれるって事やろ。
「面倒くさいから1万円だけやればええわ。失敗して覚えるモンやろ。こんなん』
と購入ボタンを押した。
………。
押した瞬間、肩から何かが抜けた気がした。
肩の荷が降りた?
いやそんな表現ではない。
何かは分からない。
だが、漠然と肩が軽くなった気がした。
そう。
まだこの時は『地獄の住人』だった事を忘れてはいなかった分、漠然とだがそう感じた。
たった1万円がこの先大きく未来を変える。