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37話 座右の銘。。

37話 座右の銘。。


10月末から11月にかけては決算期間になる。

爆上げ銘柄も有れば決算内容がいいのに爆下げ銘柄もある。

最早博打だ。

その博打に乗っかる事ができるか。

後輩はマザーズ銘柄を3つ、決算前に仕込んだそうだ。

その3銘柄ともS高気味ですぐに利確。

引っ張らない所が株を10年以上している後輩らしい。


今の俺なら分かる。利確は出来るならしたほうが良い。ずっと持っていて良かったなんて経験が殆どないからだ。

必ず下がる。


そう。下がる。

俺はこの『下がると利益』の売り建てをする準備に取り掛かっていた。

損切りをして資金確保。

早速売り建てで買ってみた。

Panasonic、リクルートHD、ユニチャーム、スクエアエニックス。の4銘柄。

手始めに8万円ずつ。合計32万。レバレッジがかかっているからその5倍。1銘柄各40万。160万を買い付けした事になる。

当然闇雲に買った訳ではない。チャートは見た。

ユニチャームとスクエアエニックスは下がっりきって上がるかどうかのモミモミ状態。ここでプラスの日がありチャートが上向いていた。逆張り派の俺にしてみれば底から上向いた!よし上がる!と買いに転じる所だ。

しかし、日本株は弱い事に確信を得ている俺はすかさず売り建て。

3日後。やはり下がった。俺は少額ながらも利確した。2銘柄でプラス2万円程。

Panasonicは何か業績面でプラスの材料があった。と言っても思惑レベル。車の電池がアメリカの大手に採用されるかみたいな類。

Panasonicは以前買いでまあまあ利益を出していたからよく知っている。相性は良い。大体この会社が上がる時は電気自動車の電池思惑だ。思惑だから一瞬上がるがまた下がる。これを何度か繰り返す。

上は1500円下は1250円辺り。ここをいったりきたり…。

今回は1500円突破のイケイケ上がりだ。

すかさず売りで買い。正直4銘柄に分散させずにPanasonicの1点売り建てでも良かったとも思った。

だが負け犬根性が染み付いている。良品計画と日鍛バルブの含み損で強気になれない。

「ここで強気になれないなんて、俺もギャンブル体質から抜けているんだろうな…。」

と一人呟く。

この勝負感の無さが尾を引く。

案の定下がる。5日後にはプラス4万程。

4分の1の投資でプラス4万。Panasonicだけの1点集中ならプラス16万だった。久しぶりの10万勝ちのチャンスだったのに。

しかし…

これはギャンブルではない。

先の後輩よろしく利確が大事なのだ。

株の投資にたらればはご法度。これは勝っても負けてもだ。

売ったら考えない。次に行く。

大事なのは利確だ。金額の問題ではない。

この売り建て実験で最早3勝。やはり日本株は弱い。これは楽勝で利益出るのではないか。と思った。


残るはリクルートHD。ここは綺麗な上昇トレンド。毎日年初来高値を更新。まさに絶好調の銘柄だ。

上がる株は下がる。下がる株は上がる。

「これは流石に上がりすぎやろ。」

と思い売り建てで購入。

しかし…。まだ上がる。それならとナンピンだ。追加購入。

まだ上がる。

いつしかマイナス5万になっていた。

「う…ここは本物の強さか…」

正直リクルートHDはよく知らない。いや超有名な会社だから知っている。要は株としてのリクルートHDはよく知らない。

調べてみると近いうちに決算がある。

「ここはやはり危険か…。」

これ以上上がるとまた大きなマイナスになる。

俺は危機回避の損切りをした。

マイナス5万円。

しかし、これではどうにも意味がない。

「上がるなら買え。」

俺は決算博打の買いで入り直した。

上がったら儲け。リクルートHDの強さなら決算が出てもいけるだろう。

いざ決算。2Q決算。つまり中間決算だ。

内容はやはりいい。絶好調と言ってもいいだろう。

「これは貰った!この柔軟な対応は中々たいしたものだ我ながら!」

と、とりあえず自画自賛してみる。

ここまでの上昇チャート。決算はいい。いくら材料出尽くしで落とされる事があってもこれはない!


さて、ここで二つの行動の選択があった。別れ道。

①初志貫徹で下がれば利益の売り建てで持っておくべきか。

②相場は生き物。柔軟に対応する。上がると思うなら損切りしてでも買い。


4銘柄の内3銘柄は狙い通り。やはり日本株は弱いのだ。

その初志貫徹で下がるのを信じる。か…。

いや、強い銘柄にはむかっても仕方がない。見切りを早くして次に行く。

どっちだ。。??


俺は②を選んだ。なぜならば俺がトレードしているのはCFDだ。

先物といっても良い。

証拠金がなくなったら破産だ。

先に動くのは悪くない。筈だ。

迎えたリクルートHDの決算後。

大暴落だ。

ありえないぐらい落ちる。

「なんなん、これは…」

売ると上がる。買うと下がる。

こうも綺麗に俺の逆にいくのも中々ない。

もうこんな相性の悪いのは損切り。

マイナス2万程で済ませた。

リクルートでマイナス7万。だがPanasonic、スクエアエニックス、ユニチャームでプラス6万。

金額ではマイナス1万程。しかし3勝1敗。

これをどう見るか。

当然金額だ!マイナスなら意味がないではないか!

と言いたいが今回は違う。

実験なのだ。

ここは勝率で考える。

3勝1敗。

やはり下がれば利益の売り建てはイケる!

当然反省点もある。

リクルートHDのチャートは上昇トレンド。高値更新チャートだ。

逆張り派の俺は当然狙い目。

だが、上がるチャートは本来強いのだ。博打感覚ではダメ。

上がるなら天井を見極めないとダメだった。

下がるチャートでいえば底を確認しないと追いかけて無限ナンピンに陥いる。

もう一つ。

博打でいうなら、決算跨ぎだ。

こんなにいい決算で爆落ち。

もうこれは機関にいいようにやられてるとしか思えない。

つまり決算は機関が落とすチャンスなだけなのだ。

俺が最初の頃に感じた決算は博打。というのは半分は合っているが、意味が違う。

『決算は機関の狙い場。それを狙うのは博打。』

そうだ。これだ。

そうなると決算跨ぎはしないならしないほうが良い。

特にCFDでは。


さて実験は終わった。

勝てる確信は得た。

しかし、資金がない。

さて…。

そんな決算シーズンも佳境を終え、これから年末に向かおうかと思われた11月最後の金曜日。

日本株は大暴落する事になる。

『コロナ株の新型が見つかる!』


俺は流石にまずい!と思った。

それは、CFDの残りの銘柄、良品計画だ。

とうとうマイナス100万まできた!

ウイグル問題に、機関に売られ、トドメはコロナの変異。

これは耐えられない。いやまだ追加すれば追証は回避できる。

だが…。


だが…。。


これはチャンスではないか??


売り建てで勝てる。と確証を得た実験が終了したこのタイミングで??


しかし100万が無くなる話しだ。

損切りのレベルではない。

100万…。

だが実際は頭打ち。今年の進展のなさは4月からこの良品計画で縛られていたからだ。

だが、ここで切る、、のか??


…………。。


俺は地獄の住人だ。

動かなきゃ始まらない。

動かなきゃ変われない。

動かなきゃ俺に生きる価値などない。


俺は大きく息を吐いた。

安堵と虚しさが入り混じった何ともいえないため息だ。

そして…。

息を吐き終わると同時に俺は決済のボタンを押した…。

そう。


100万の損切りをした。


それは資産の50%に近い額だった。

100万の損が確定した後、俺は不思議とある言葉を思い出した。

それは俺が生きてきた中で感じ取った座右の銘でもある。


『人は動いてこそ生きる価値がある。結果に意味などない。動いてこその後悔は死ぬ時の満足感に変わる。』


そして、俺はその言葉を胸に早速動き出していた。

何かに取り憑かれたように…。

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