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30話 決算は博打。。

30話 決算は博打。。


『決算跨ぎは博打』。

何とも不思議な言葉だが、株トレードをしている人なら経験があるだろう。

普通、決算が良かったら株は上がると思う。業績が良いのだから『お株が上がる』と思うのは当然だ。

例えば、『あいつはこの間の仕事で結果出して株が上がったな。』

とかの安っぽいドラマみたいなセリフは普段言わないだろうが、

まあ意味合いはそんなもんだ。


しかし!

株はそうではない。

決算がいい銘柄を買うのは間違いではないが、すぐに上がるとは限らない。

微増、微減どころか暴落する事もある。

『決算跨ぎは博打』である。


俺は博打でもいいから買ってみたい銘柄があった。

決算は良い。上手くいけば増配の可能性も…。

その銘柄は、困った時の『スクロール』だ。

もう何回勝ってるだろうか。マイナスはない。全て利確している。

相性がいいのだろう。

思えば昨年テラで大損した後、何とか立ち直れるきっかけになった銘柄だ。

現価格は25日線より下に割り込んでいる。

だが決算は良いはずだ。

俺は7/30の決算に合わせて、スクロールに資金を集中させた。

800株だ。

本当はもっといきたい所だが、少し資金を持つようにした。

何しろ、CFDの良品計画がまだ落ちるかもしれない。

追証回避の為に資金を少し持っていたかった。


平均拾得単価が850円。持株800株。

さあどうだ。これで暴落したらもう塩漬けだ。

そして、その日が来る!

7/30日15時。決算発表。

何と、1Qで通期の進捗率77%の売上実績だ!

これは予想以上…。

これで上がらなかったら嘘だ。

俺はストップ高もあり得ると思った。

が、一つ気になる事がある。

「増配の発表がなかったな…。」

多少の不安を覚えながらも次の相場を待つしかなかった。

ちなみに時間外取引のPTSは値上がり上位に入り込んでいた。

時間外取引のPTSとは、通常の相場ではなく時間外での相場だ。取引できる証券会社は限られている。

俺のメインの証券会社でもある日興証券はPTSの場はない。

が、価格の変動は他のサイトで見れる。

PTSは参加人数が限られているので大きく動く事はないが、今回のように場が終了した後に決算発表があった場合、次の日を待たなくても夕方から夜にその銘柄が買えるので便利だとは思う。

日興証券も早くPTSの場を設けて欲しい所だ。


実はそのPTSの場がある他の証券会社を持ってはいた。

『SBI証券』だ。だが今は資金を分散させたくはない。

もっと資金が増えたらPTS専用の資金を作ろうかとは思ってはいる。が、今はあちこち手を出す時ではない。


決算は金曜日発表だったので次の月曜日。

相場が開く。

よし!思っていた通り価格は上がっている!

が、プラス70円程だ。

「900円をやっと超えたところか…。ここで利確すればプラス5万円にはなる…」

さあどうする??

まだまだ場は始まったばかり。日中上がるかもしれない。

さあどうする??

しかし月曜日。

仕事がバタバタしてこの日は静観。

価格は一瞬だが980円まで上昇した。

そして次の日。休みだったのもあり朝から相場を見ていた。

30分程板情報を見ていたが、価格は落ちる。俺は910円で利確をした。

「ふうやれやれ…。プラス5万円か。まあ月初めだからヨシとしよう。」

俺は勿体ない気持ちもありながら久しぶりの万超えの利確に安堵した。

何故利確したのか?

今までならもう少し持っていた筈だ。

結果、この日の価格は930円で持ち直した。

俺は910円で利確。

下手を打ったように見えるが、実はこれで良い。

次の日、価格は落ちる。

あっと言う間に900円を割り込んだ。

予想通り!と言える程プロではない。

たまたま感が強いが利確をした理由は3つある。

①増配発表がなかった事。

②ストップ高までいかなかった事。

③決算跨ぎは上がった後落ちる事が多い事。


3つも理由がある。

一旦売って様子見には充分な理由だった。

仮に価格が上がっていってもそれはもう慣れっこになっていた。

「売ったら上がるのはもう慣れたわ。」

今回の実戦は前に編み出した『セミプロ打法』だった。


さて博打の決算跨ぎは成功した。

しかし、2匹目のドジョウを狙う。果敢に攻める。

次の決算が来るのはアドウェイズだ。


ここも利益を出した事がある銘柄だ。保有していなくてもずっと監視をしていた。

が、アドウェイズは突然跳ね上がる。が突然暴落もする。

機関に狙われているのだろう。

仕手株とまではいかないが、価格は変動する銘柄だ。

価格は変動する。ならば決算後は上がるだろう。

業績はいい筈だ。

俺はすぐさまアドウェイズを800株購入した。

平均拾得単価785円だ。

そしていざ決算日。

これも中々の良い決算だ。

「まあ、暴騰はしないだろうが850円は超えるだろう。」

と根拠のない安堵感を感じていた。

「ここで100円でも上がったら利確だ。セミプロ打法だ。そうしたら流れも変わる。」

そう。流れが変わる。

地獄の住人特有の感覚。

伊達にゼロかプラスかで生きてきた訳ではない。

理由はないが、ここで大きく勝てれば流れが変わる。そう感じていた。


次の相場。

俺はスクロールよりも安心な気持ちで場を見ていた。

が…。

「う…何で下がるん!?」

これだ。決算は良いのに落ちるパターン。

俺はもう一度決算内容を読んだ。

やっぱりいい決算だ。

しかし上がる事もなく落ちる。

途中で損切り?

いや。損切りはしない。もっと言うと無駄な損切りはしない。

ここで損切りしたら流れが変わらない!

どこかで勝負にいかないと好転しない!

そう感覚が俺に言っている!

「どうせどこかで謎の上りをするやろ。しかも場中にプラ転する事もある!アドウェイズならあり得る!」

俺は半ば塩漬け覚悟でもいいから売らなかった。

2週間後。

785円で買ったアドウェイズは635円まで落ちた。

損切りはしてはいない。だが含み損はマイナス12万…。



決算は博打。

思い出した。…。

俺は地獄の住人。この歳まで貯金ゼロ男。

己の勝負弱さを思い出す結果となった。

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