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2話 変化の前兆。。

2話 変化の前兆。。


『なんか当たった!』

バスの中だったので叫ぶ事はしなかった。

が、明らかに動揺している。

『さすがに5つも当たったのなら、何か当たったやろ、、』

少し冷静になろうとした。が、6つ全部当たったら億。ぐらいしか知らなかったのですぐに調べる。


『確か2等なら1千万円ぐらいのはず、、』

人は動揺すると冷静になろうとする。一種の防衛反応だろう。

ゆっくり慌てず携帯を見る。


『う、、3等か、、3等、、、』

!!

『80万円!!』

80万、、、、

俺は微妙だ…と一瞬思ったが冷静に考えてみた。

『パチンコの勝ちと合わせれば、100万円か、、』

悔しいのか嬉しいのかよく分からない感情だった。

が、段々と喜びの感情が芽生える。

バスの中で一人ニヤついていた。


次の日に早速受け取りに行った。

現金で80万円。

なんか久しぶりの札束だった。


が、不思議な事にこの金でパチンコをやろうとは思わなかった。

一種の魔法にかかったのか…何かに引き寄せられているのか…

この時は全く分からなかった。

ただ、この時はパチンコホールに行きたいとは思わなくなっていた。


2020年3月。

俺は年が明けた1月から仕事が忙しかった。

年が明けて一度もパチンコ屋には行っていない。

仕事が忙しいのもあるからパチンコ屋に行かなくなったのだろうか…とふと我にかえる時もある。

我にかえる、、、とはパチンコに行きたい気持ち…?

そんな我にかえるのはごめんだ。


きっと気持ちの変化が生まれたのだろう。

3月になり冷静な自分がいた。2ヶ月経って行かなくなった理由が分かる。

つまり…お金がなくなるのが怖いからだ。

よく中途半端なお金持ち程ケチだと言う事を聞いたことがある。

そんな気持ちが少しは分かる。…気がした。


100万の金があるならわざわざパチンコに行かなくてもいいし、年末年始にパチンコで勝った20万がなくなるのも嫌だったからだ。

手元に100万円がある!

銀行に預ける事もしないで輪ゴムで留めた丁度100万円を、無造作に部屋のセンターテーブルに起きそれを毎日眺めるのが日課となっていた。


ここでありがちなのは、『もうこの100万円を眺めるのも飽きたし‥かと言って今更パチンコか、、そうだ!投資をしよう!』

的なベタな展開ではない。


忘れてはいけない。

この男はパチンコジャンキーである。


そして、

コロナショックがジワジワと騒がれ始めていた。

まだ3月上旬の頃はマスクもしない人もいた。

しかし誰しもが、身近に迫っていると感じ始めた頃で徐々に企業もテレビのニュースも自粛ムードが高まっていった。

学校も登校禁止が始まらんとしていた。

この時は『まだ何を大袈裟な、、』という思いがあった。


仕事で得意先を廻る。営業マンだからだ。営業だけに色々な人と話をする。が、パチンコジャンキーの事は言わない。

そんな店廻りだが仲良くさせてもらっている店長がいた。

とても気さくで、俺より3歳歳上の店長だ。よく喫煙所で一緒に会話をする。


「しかし、最近はどこでも吸いにくくなりましたよね?店長。」

その時も喫煙所で二人でタバコを吸っていた。

「だな。4月からはパチンコホールでも禁煙やと。」

「え?マジすか?それは困る。」

その店長にはパチンコ好き、、までは教えていた。たまーにやる程度…として。

「高西君は、パチンコにハマったらトコトンいくんだからこの機会をいいことにもう卒業しなよ。」

店長は鋭い人だった。たまーにやる程度と言っても俺の性格はお見通しだ。

「あ、そんなたかちゃんにいいの教えてあげるよ。」

と、ニヤケながらおもむろに携帯を取り出す。

「100円で遊べるんだけどね、1から6の中から好きなの選びなよ。買ってあげるから。」

と、店長が見せてくれたその携帯には見慣れないモノが映っていた。

俺は少なくとも全く知らない世界の代物だ。


『ボートレース』。

「いや、私はギャンブルはちょっと、、」

とパチンコジャンキーが訳の分からない事を言う。


「100円払ってあげるから買ってみ?当たったら半分あげるから。」

と店長は勧める。

「うーん、じゃあ…」と言ってオッズを見る。

「基本1番は来るからね。1以外を何番にするかだから。」

と店長は教えてくれる。

「1番か、、じゃあ、、1-4かな。」

と選ぶ。

理由?それはまあまあなオッズだからだ。

25倍。

つまり、100円が2500円になる。

「1-4ね。よしと、じゃあ、10分後楽しみに待っててみ?」

「もうそれで買った事になるんですか?」

と現代人とは思えない質問をする俺。

「当たり前やん。何でも携帯だよ。」

と、得意げに答える店長。

「まあ…そうですよね。」

と素っ気なく答える俺。


素っ気なく…。

というのは、俺は競馬競輪類のモノは昔から全く興味がなかった。なぜだろう?きっと券を買いにいったり、成績とかオッズとか調べたりするのが面倒だからだ。

パチンコホールには張り切って行くくせに…。


何も期待のないまま10分後。

俺は喫煙所から離れて売場のメンテナンスをしていた。

すると向こうから店長がガックリとした顔で近寄ってきた。


「たかちゃん。はい。」

と言って、1250円を出してきた。

「え?まさか当たったんですか!?」

全く期待していなかったので驚く俺。

ガックリした顔から満面な笑顔で答える店長。

「もし1000円いってたら、25000円やったのにねー。」

ガックリしてたのはドッキリを仕掛けたらしい…が、俺は買ってもらった事さえも忘れていた。


「そんな、貰えないですよ…。」

と一応は断る。

「いいから、これはボートレースで勝ったお金じゃなくて昼飯代と思えばええやん。貰っとき!」

と言って強引に渡す店長。

「はあ、、じゃあ…。」

と言って1250円を受け取る。

「いやーたかちゃんのおかげで1000円儲かったよ。」

とご機嫌よろしく行ってしまった。


店を出る。

車を運転しながら考える俺。

なぜかボーとしながら考えていた。

『そっか…そんな簡単に競艇とかできるんか…しかも100円から、、まあそんな時代なのは当たり前か…』

と呟きながら考え事をしていた。


その考え事の答えは、4月になってから分かる事になる。


2020年4月。

とうとうこんな事になった。

『緊急事態宣言』

我が社も有給休暇を使い会社に来るな。となった。

何しろ営業が仕事だ。人と会って話すのが仕事だ。

テレワークなんてできない。


得意先に事の説明をして会社には週一回顔を出すだけでよくなった。

そんな時に例の店長が一言。

「じゃあ、家にいるならボートレースやりなよ。サイト教えるから。」


俺はモヤモヤが吹っ飛んだ。

『この俺が?地獄の住人の?そんなのに手を出したらそれこそ破滅や。絶対やったらダメや。』

と一人前にギャンブルはあかん的な考えをしてみる。

しかし…

事実は違う。

『俺の手元には100万円がある…』

そう。100万円があるのだ。

正直、パチンコでこの100万円を増やす自信は全くない。減るイメージしか湧かない。

しかし、ボートレースならば…。

『だって基本1枠はほぼ確定やろ?なら1-2か1-3の2連単を買い続ければトータル増えて終わってるんじゃ。…』


俺は店長の一言で答えが出た。


『人生はタイミングなんだな。100万円の資金があってコロナでパチンコ屋にも行けない、仕事も行けない…となったら家でギャンブルすればええ。いやギャンブルではなく増やせばいい。』


『いや…それよりあそこの喫煙所で店長とそんな話になってなければ…そして試しのレースで勝った。もし負けてたら興味は全くないだろう。この全てのタイミング…。俺にやれと言っている…』


俺は早速店長にサイトを教えてもらった。


それは、ネット銀行のサイトだった。


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