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24話 暗雲。。

24話 暗雲。。


2021 年4月。

俺が株投資を始めて12ヶ月目。

そう。投資1年の締めくくりである。

正直、昨年の5月から12月までは利益は出ていない。

何しろテラで大損していたのが響いていた。だが、それでもマイナスにはなっていない。スクロールとイオンモールで取り返したからだ。


そして2021年の年明け。『2020年は失敗してでも経験する』がテーマだった。何しろ成功者の本やら株の指南書やらは読みたくなかったからだ。自分で経験して覚える。その方が武器になると思ったからだ。

武器。それは瞬発力と判断力と思考力という名の武器だ。経験した事は覚えている。本で読んだだけでは身に入らない。それを株のやり始めから意識していた。それはすなわち、株投資を甘くみてはいなかったからに他ならない。

2021年は一転して『利益にこだわる』がテーマだ。

経験とか言って失敗ばかりしていたらお金がなくなってしまう。


2021 年4月。ここまでの1月から3月までは毎月利益を出していた。3ヶ月連続。うーん、響きがいい。毎月プラスにこだわるのもいいか。と思っていた。


『アライドアーキテクツ』、『セプテーニHD』、『新日電工』、で利益。いわゆるスイング。短期利確。そう『セミプロ打法』炸裂だ。


さてCFDだが、こちらは買いだけではなく売りからでも買える。

現物ではなく差金決済だからだ。簡単にいうと株価の金額が上がるか下がるか。言っては悪いがギャンブルの類だろう。投資ではなく投機。短期勝負。

なぜなら、レバレッジ5倍。

信用取引よりキツイ。

俺はこのCFDこそ俺のやりたかった事だと思っている。

理由は、『地獄の住人』だからだ。このギャンブル体質はちょっとやそっとで抜けれるものではない。

パチンコ通いは完全になくなったが、ただ代わりのギャンブルを見つけたようなものだ。

そう。そこは認識している。

ただし、俺は明確にルールを決めようと思っていた。

それは、『日経平均銘柄である銘柄を2銘柄しか買わない』。

これだけでリスクは格段に減る。

集中してその銘柄を見るので、その銘柄の価格の癖みたいなのが分かる。

まあ、そこはどんな銘柄でもそうなのだが、日経平均モノはその癖が分かりやすい。マザーズのような新興企業ではないから、落ち着いているのだ。

落ち着いているから買わない。と後輩は言う。

だからこそのレバレッジだ。落ち着いている銘柄にレバレッジをかければ利益は出る。

そして何よりアメリカの動向に反応する。

アメリカは夜中から朝方まで。つまりその日の朝7時には結果が出ている。

そこから9時までの2時間。ここで今日のシュミレーションが頭の中でできる。検討ができるのだ。

ダウが下がったら買い足しチャンス。ナズダックが上がったらソフトバンクGは上がるから利確チャンス。

アメリカ株の経験が生きてくる。

そしてADRと呼ばれる日経平均先物の価格。こちらも朝には価格がでている。海外勢が日経平均モノを先物売買しているのだ。

訳の分からない動きをする新興より幾分勝ちやすい。情報が多いからだ。


俺はCFDでは『ソフトバンクG』と『Panasonic』をメインに選んだ。

他にも『日産』『キャノン』そして日経平均ではないが『任天堂』や『ニトリ』も監視する。

4月になっても利益を出せる。

正直、こんなに簡単でいいのだろうか…と思ってしまう程だ。


そして意識するのが『売り売買』。いわゆる下がったら儲かる。

いくなら『ブリジストン』。親父の仇?いや、正直そこはないとも言えないが、そもそも親父からブリジストンで損したとは聞いてはいない。ただチャートを見るとなだらかな感じ。一度『売り』も経験しておこうかと思った。

いきなり30万。レバレッジで150万程買い付ける。

さあ、2週間後にはどうなるか?やや楽しみだ。

そして、そこから毎日ブリジストンの価格を見る。

心の中では、『下がれ〜下がれ〜』と祈りながら。

その状態で1週間。

だが俺は気持ち的に少し嫌な感じになっていた。

まだこの頃は少しの違和感だけだが。

ブリジストンの価格は上昇に入った。幾分緩やかだが価格は下がらない。

次第にこの嫌な違和感の正体が分かってきた。

下がるのを喜ぶのは精神的にしんどいという事だ。

それは人間の感情?まさか下がるのを祈るには人としてどうかとか?

いやいやそこまでの大袈裟な正義感チックなものではない。

俺はそこまで人としてできてはいない。

ただ単純に、チャートが上がりだすと買いで買っておけば良かったと後悔が大きくなる。

買って下がったらまだ納得できる。

下がると思って売りで買って、価格が上がると何故か後悔する。

買いで買っておけばよかった…。と。

理屈はどちらでも同じなんだろうが…。

結局ブリジストンは上がり続けて、マイナス10万で損切りした。


売りはやめて普通に買いでサイバーエージェントにも手を出す。こちらは右肩上がりだったので、短期のつもりで。

しかし、今度は買った瞬間下がる。

上がる気配がなくマイナス15万の損切り。

正直、ソフトバンクGとPanasonic以外勝てない。

そこに目についたのが良品計画だ。

誰でも知っている無印商品。


こちらもずっと上がっている。

同じく短期のつもりで上がる方、買いで購入。


が、しかし…。


こちらも買った瞬間暴落。

「一体なんなんだ!」

とやり場のない怒りが込み上げる。


ウイグル問題。

ファストリ等ウイグルの綿を使っているのが欧米で問題とされた。

価格は暴落。

2800円が一気に2400円台まで。

ナンピンしても追い付かず、気づけばとうとうマイナス30万に。


もう動けない。


そして一方。

現物ではBASE。

こちらはどんどん上がる。

何しろ1日で200円とか上がる日もあり気付いたら含み益25万になっていた。


が、『セミプロ打法』は不発。

ブリジストン、サイバーエージェントの負け分。そして良品計画の大暴落で欲が出てしまう。

『まだ上がる、まだ上がる…。』

俺は何も学んではいなかった。


2021 年5月。

BASEは暴落し、2200円から1600円まで暴落。

とうとう利益が吹っ飛ぶ。


そこにまだまだ追い討ちがかかる。

2021年5月の魔の3日間。

アメリカインフレ懸念ショック。とでもいおうか…。


3日間で日経平均が2000円も暴落した。


まさに追い討ち。

暗雲が思ったより襲いかかってきた。

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