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22話 甘い、甘くない。。 

22話 甘い、甘くない。。 


トレードのやり方は人それぞれだろう。

人に歴史ありではないが、株にドラマありは皆が納得する所だ。

株は人それぞれの物語がある。物語でもあるしドラマでもある。

そこに結びつくのはなぜか。

喜怒哀楽に合わせてお金が絡むからだ。

株投資は世間が思っているよりリアルなドラマである。


そのリアルなドラマはどんな内容なのか?

それこそ人それぞれである。

そして、その経験が人をデイトレ専門にしたり、長期専門にしたり、又は順張りで掴むか逆張りで掴むか等、自分なりのトレードを見つける。


例えば、チャートを見た時に25日線を割っているとしよう。そこから更に下がると思うか。上がると思うか。そこで考えが分かれる。

逆に綺麗な右肩上がりのチャートを見て、まだ上がると思うか、もうここから下がると思うか。

人それぞれである。


俺は現物株ではスクロールとアドウェイズを買っていた。

スクロールは今まで3回買ったが全て利益を出していた。

困った時のスクロールだ。

アドウェイズは以前買ってはいたが、大きく動かないのですぐに手放した。が、今回はマザーズから東証1部に昇格との事で短期的に買ってみた。


この2銘柄とも25日線を下回っていたのが大きい。

俺の勝手に編み出した、『高西式』だ。

正直、本など読んでいないからこの25日線を下にいっている株を買うのが正解か分からない。

だが、俺は経験でこの買い方がいいと思った。

そもそも、株の買い方、選び方に正解などあるのだろうか。

どこの価格で買おうが予期せぬ情報が出ようが利益が出ればそれでいい。

複雑なチャート分析をしようがしまいがそんな事はどうでもいい。

考えてそして自分なりの買い方を覚えて、それに徹する信念とダメだった時の柔軟さが株には必要だ。

いかにして自分の買い方を見つけて勝率を上げるか。


愚の骨頂は、適当に買う事だ。

それで利益が出ることはない。


この高西式で買ったのが功を奏し、スクロールは780円から一気に1450円。

アドウェイズは620円から980円まで上昇。

だがこれだけではない。

俺は少ない資金で短期間で勝つにはどうしたらいいか?を考えて集中投資をしてみた方がいいのではないか?

と思った。

要は、1銘柄の株を沢山買う事だ。当然価格が下がったら追加するナンピンでだ。

これで収得単価を下げつつスクロールは700株。

アドウェイズは1200株まで増やしていた。

という事は…

スクロールは約47万円の利益!

アドウェイズは約43万円の利益!

なんとたったの2銘柄で約90万円の利益だ!


だが…。

それは含み益の話。

確定していない状態。

株はここが難しい。

いや、難しく感じてしまっている時点でダメだ。


要は、欲との闘い。

まだ上がる!このままいけば100万までいく!

だから利益を確定しないで持っている。

だが、株はそこまで甘くはない。

上がったら落ちる。


ここで甘くはないというのは理由がある。

純粋に業績だけで価格が決まって、尚且つ個人だけが投資していればそこまで難しくはない。むしろ簡単だ。

だが、どうやらこの株の世界は色々な機関、組織、思惑、海外の投資家、空売り、そしてAI。

様々な要素が複雑に絡み合う。

サラリーマンの素人投資家がどうにかなることではない。

総じて『甘くない』。


俺は浮かれていた。

何しろ90万だ!

利益確定などできるはずもない。


だがここで、少し不運な事にも気がついていた。

不運というか、必然というのか…。

スクロールとアドウェイズ。

この2銘柄は何の関連もない。

ショッピングとネット広告の会社だ。

それなのに、同じように下がって、同じようにヨコヨコで価格の変動はしなくて、そして同じように上がる。

価格の上げ下げの時期がほとんど一緒なのだ。

これがどちらか一方だけ上がれば、とりあえずそちらを利確してもう一つを保有、又はナンピンしたところだろう。

2つしか持っていないのに、2つとも爆あがり。

正直、どうしたらいいか分からなかった。


そして、ここから先も同じ動きをする。

上がったのは一瞬。

しばらくその高値でキープもせずに、下がる。

2銘柄とも同じように下がる。


すると、思考的にはこうなる。

『また上がる。業績はいいのだから。』

しかし、上がらない。2銘柄とも。

結局、2銘柄ともプラス100円で全て利確。


1900株✖️100円で19万の利益となった。


「はあ…」

ため息しか出ない。

これも失敗の部類だろう。

利確の難しさ…。

すなわち欲との闘い。

「利益に関しては、俺の範疇ではないな、自分のラインを決めてもう利確していこう。俺の思考なんてなしだ。」

そう。『甘くない』のが株投資だ。

自分の中で、買った金額より200円とか300円とかの上がりラインを決めてそこに来たらもう売る。上がっても知らん。

そう。

自分の中の利確ルール。

『上がっても知らん。』

売って下がったら、また買えばいい。


しかし株というのは、少し上がったから利確した途端に爆上げしていく銘柄もある。

持ってたら下がるし、上がって売ったらまだ上がる。

とことん俺の逆をいく。


逆…。

逆ならば逆でいったろうやないか!

俺は新たな武器を手に入れている。

CFD取引だ!

このCFD取引は、売りからも売買できる。

売り建て。つまり下がったら利益が出る。株価が逆の動きをしたらプラスになるのだ!


俺は右肩上がりのチャートに絞って、売り建てで買い付けてみる事にした。


その銘柄は、

キャノンとブリジストンだった。


ブリジストン。

親父の仇うちにはもってこいだ!

下がったら利益。

何とも不思議な取引だが、俺はほとんどが上手くいくと思った。

なぜなら、

株はいつかは下がるからだ。


このど素人の考えがどうなるのか?


この時、日経平均はうなぎ上り。

3万円にいくほど絶好調だった。

『素人の考え』。

それはこの誰でも分かる日経平均の上昇。右肩上がりチャートを全く意識していない事だった。

だがそれでも上手く行くこともある。

それが、株投資ともいえた。


甘くない株投資だが、甘い時もある。

それでも大事な事はある。

それは、『信念』があるかどうか。


この売り建てCFDで、漠然とそう思えて仕方がなかった。

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