21話 年明けと共に。。
21話 年明けと共に。。
年も明けた。
2020年も終わり新しい年を迎えた。
コロナは中々収束しない。
第三波が来ている。
俺も実家に帰る事はしなかった。
やはり親父にうつすかもしれないからだ。
俺はコロナではないが万が一という事がある。
暇だ…。
当然、相場も動いてはいない。
今の保有株だが、スクロールとアドウェイズを買ってある。
スクロールはこれで4回目だ。過去3回とも利益を出している。
相性があるんだろう。
テラで大負けした俺にとって救われたのがスクロールだ。
そして、アドウェイズ。
前に400円ぐらいだっただろうか。
10銘柄平均法とかで買った事がある。
だが、全然動かず損切りした記憶があった。
今回は12月に東証1部に鞍替え、つまりマザーズから昇格すると聞いたので買ってみた。
この2銘柄の価格は年末まで動かず。
一つ気になるのが、11月頃から日経平均株価は右肩上がりで何年振りに更新したとか騒がれていた。
ちょうど夏頃のゴールドもそうだ。
ビットコインも大きく上昇。
2020年はやたら景気がいい。
その日経平均株価だが…。
その上昇とは裏腹に正直あまり実感が湧かない。
先のスクロール、アドウェイズもそうだが監視している銘柄も中々上がらない。
ラジオでもそんな事を言っていたし、後輩も同じ事を言っていた。
株をやり始めたS君もだ。
日経平均の大手のみ上がってる印象で世間は、株のバブルと騒いでいる。
俺は年が明けたら『CFD取引』をしてみようと思っていた。
なぜなら…レバレッジ5倍。10万円で50万円分買い付けができる。
上がると思って買うのは普通の株と同じだが、下がると思って下がる方に買うこともできる。
下がる方を買う?
これは中々意味が分からなかった。
意味というのは、証券会社がそれでどうやって利益を出しているのか?
これは何となくだがこういう事だ。
『差金決済取引』という『商品』にお金を入れてもらって手数料を頂く。現物ではないので株券は存在しない。
ただ上がるか下がるか。我々はその差金決済商品の中から銘柄を選んでお金を払う。
大体こんなイメージだ。
だがマイナスになると追証といって現金を追加しないと強制決済される。
仕組みは先物や信用取引に似ているが、CFD取引は売買の期限が設けられていない。FXの株版ともいえる。
俺はこの仕組みを正月休みの間に理解した。
そして思った。
「それならこのCFDで日経平均モノを買えばいいのではないか?」
日経平均モノは基本高い。日産みたいに安いのもあるが、5000円から10000円が多い。
現物、現金では中々手が出せない。
しかし、5倍である。
これなら少額でも買える。
しかも単元縛りはない。
1万円から買える。
下がったら買い足すナンピン派の俺にとってはピッタリだ。
正月休みも明け俺は信用取引をやらない代わりに、このCFD取引を早速申し込んでやってみた。
最初は、株を始めた時に初めて買った『ソフトバンクG』だ。
CFDの口座に20万円分入れて買うのは10万円分。こうやって口座に証拠金、いわゆる担保金を置いといて余りのお金で買えばいい。10万円しか買っていないのに買い付け数量としては50万円分だ。
他には監視として銘柄をピックアップする。パナソニック、キャノン、日産、そして親父から聞いていたブリジストンも。
親父がブリジストンで大損したかどうかは分からないが、なぜか気になる銘柄だ。
当然、ソニー、トヨタ、ホンダ、武田薬品もある。
そして、日経平均銘柄ではないが任天堂やニトリも。
「絶対現物をやってたら思いっきりスルーするわ。だけど日経平均モノの上昇に乗るならここをいくしかない」
ど真ん中を攻める。ひねくれモノの俺としては珍しかった。
結果はすぐに出た。
いきなり4万円の利益!
モノの1週間経たずにだ!
「本当にこんなのでいいん?落とし穴あるんやないのか?」
俺が実際払った金額は10万円だ。その4万円が利益。
という事は40%があっという間に出せた事になる。
現物で40%なんて中々難しい。
俺はもう一度調べてみた。
「なるほど…税金が先物の雑収入扱いになるから、自分で申告しなきゃいけないのか。」
普段の現物取引は基本『特定口座』で取引をしている。
これは株の売買による税金の支払いを証券会社がやってくれる。
なので基本何も申告はしなくていい。
更に、税金が一切免除になるのが『ニーサ口座』だ。
120万円まで買い付けができる。
CFDにはそのような制度がない。
俺は、税金の申告なんて面倒だなと思った。
が、それも一瞬。
「ま、いっか。年1回の事だしな。それより資産を増やさないと負け犬のままだ。」
負け犬。
そう『地獄の住人』のままだ。
調子にのって、パナソニックを20万円。5倍で100万円分買い付けた。
これもたったの2週間で16万円利益。
20万円で16万円だ!
「税引前とはいえ、こんなに簡単に…。」
調子に乗って日産も20万円で100万円分買い付け。
10万円利益だ!
「たまたま?やっぱり日経平均モノだからか!」
俺は一旦アメリカ株を全部整理して、その資金をCFDに回した。
アメリカ株は将来の年金だ。今買わなくてもいい。
それより、この旬を逃すわけにはいかない。
任天堂、キャノン、そしてソフトバンクGとパナソニックをもう一度買い付ける。
結果…。
CFDを始めてたったの1ヶ月半で、70万円の利益を出していた。
「やはり俺にピッタリだ…。」
俺は確信した。
俺にはこれだ。信用取引は期限があるし、先物、FXはよく分からない。
現物は銘柄探しが面倒くさい。
そして、戦法としては価格が下がったら買い付けする。
平均拾得単価を下げる。いわゆるナンピンだ。
その買付けも1万円から買える。
単元100株なんて買わなくても良い。
「こんなのがあったのか…。投資を始めて8ヶ月。よく自力でここまでたどり着いたな…。」
俺はやはり優秀だ!
これからCFDで一気にいく!
と、年が明けて自信満々になった。
ちょうど約1年前。
ボートレースから始めたのに、1年でここまでくるとは自分でも信じられなかった。
そして、その矢先に現物で買っていた2銘柄にも大きく動きが出る。
スクロールとアドウェイズだ。
スクロールは業績がよく何と配当を大きく増配。
7円だった半期配当が44円に!
アドウェイズは業績がいいのに株価が上がらないから、痺れを切らした会社側が自社株購入をすると発表!
この現物株の2銘柄はうなぎ上りに上昇する事となる。
年明けと共に、利益が大きく動き出す。