15話 『高西式』の完成。。
15話 『高西式』の完成。。
2020年8月下旬。
俺はS君の勧めで投資のラジオを聞く事にした。
ラジオは今更持ってはいないが、Youtubeで生配信をしているらしい。
俺は毎週水曜日の夜10時半から、『北野誠のとことん投資やりまっせ』を聞いてみた。
何しろ昔から投資をしている人達だ。
俺の知らない事を話してとても参考になった。
例えば『マザーズに資金が流れている事』。
昔はマザーズは全然変動がなかったらしい。
そして、『日経平均の株価上昇の理由』。
『アメリカ株のハイテク株の上昇』。
特にアップルの株式分割が話題になっていた。
アメリカといえば、『ロビンフッダー』が増えている事も…。
俺は毎日自分の買った株価の価格を確認していた。
その時にある違和感があった。
『イオンモール』だ。
「ん?昨日より価格が下がっている?」
俺は昨日の価格を確認してみた。
「やっぱりだ。昨日の夜より価格が下がっている…。」
俺はアプリのバグだろうと思った。
だがやはり気になる。
朝8時過ぎだったが、日興証券のカスタマーセンターに電話をした。
「イオンモールの株価が昨日と違って表示されてるのですが、間違いかと…。」
電話に出た女性は少々お待ち下さい。と言って調べてくれる。
そして、
「お待たせ致しました。これは配当金によるもので一旦株価から配当分を差し引いて表示されているだけですね。」
!!
「配当!!?」
「はい。お客様は400株お持ちですので、20円✖️400株で8000円の配当がされます。」
なんと!
俺は少し興奮した。
「でも、価格が下がったら意味がないんじゃ…。あ、そうか。朝9時になったら今の価格になるからええのか!」
「さようでございます。朝の始値でまた株価が決まります。」
俺は納得して電話を切った。
「なんと、配当か…」
俺は全く意識していなかった。
が、株を持っているだけで8000円…。
もしパチンコ屋に毎日通っていた時だったら、何と助かった事か…。
俺の頭に『権利収入』という言葉が思い浮かぶ。
まさしく俺の求めていた事だ。
俺はその日の仕事終わりに『配当』の事を調べてみた。
多くて年2回。配当がされる企業がある。
有名どころは、『JT』や『オリックス』だ。
しかし…年2回か…。
これはやはり小遣い程度か。
しかも年2回どころか配当さえ無い銘柄もある。
正直株主優待なんていらないから配当を高くした方が、株主にとっては嬉しいのではないかと思った。
「年2回ならお話しにならないわ。」
俺は少し期待外れだと思った。
その時だ。
こんな記事を見つける。
『配当ならアメリカ株。年4回配当!』
!!?
「年4回?」
俺はアメリカ株を調べてみた。
どうやらアメリカ企業は株主に対する意識が日本企業と比べ物にならないぐらい高く、配当での株主還元が高いとの事だった。
「これは…素晴らしい…」
俺はアメリカの銘柄を調べてみた。
『コカコーラ』『ナイキ』『インテル』『Amazon』『ファイザー』…。
何と名だたる会社ばかりだ…。
そこでこんな記事を見た。
『アメリカ株なら3銘柄買えば毎月配当が!』
!!?
毎月配当!?
そうか、それはそうだ。
4月7月10月1月に配当される銘柄一つ。
5月8月11月2月に配当される銘柄一つ。
6月9月12月3月に配当される銘柄一つ。
これなら毎月配当金が出る!
「こんな簡単に権利収入が…」
俺は投資を初めて色々調べたが、これ程感動した事はなかった。
しかも、株価なんて気にしなくてもいい。
株が上がろうが何だろうが持っていればいいのだから。
そしてもっと驚く事が書いてあった。
「日本株は100株持っていないと配当されないが、アメリカ企業は株主還元の意識が高いので1株持っているだけでも配当されます。」
俺は衝撃を覚えた。
「こんなの日本株なんてやってる場合ではないやろ…」
俺は早速日興証券でアメリカ株が買えないか調べてみた。
「んー。買えないか…」
どうやらアメリカ株は買えないらしい。
厳密には買えるが電話取引になるとか…。
それは面倒やな。
俺はとりあえずアメリカ株の事が分かって良かったと思った。
だが新たにアメリカ株を買える会社を探すのが面倒だった。
俺は基本めんどくさがりだ。
とりあえず、日本株で利益を出さなくては。
俺はフロッギーで前から気になっていた『ラクーンHD』と『ヤーマン』を50000円ずつ買った。
2020年9月に入る。
『JBR』も『イオンモール』もそして買ったばかりの『ラクーンHD』も『ヤーマン』も利益を出していた。
一旦売るか。
俺はここで全ての銘柄を売りに出した。利益は16万になっていた。
これでテラの負け分は取り返した。
ここで一旦銘柄をゼロにして銘柄選びの基準を決めようかと思った。
いわゆる『高西式』の完成だ。
①『自分に興味がある事業内容だけを見る。』
これは単純にそのままだ。
不動産とか工事、建築、運搬、金融関係はパス。
正直、サラリーマンで何でもかんでも調べる時間などない。
このあたりの事業内容だったら何も調べずパスだ。
先ずは事業内容を見て、ネット関係、小売業、製造メーカーに絞る。
②『25日線をより下にいっているか?』
これは、下げ値狙い。逆張りだ。
もし買った金額から下がったら更に買い足す。
これを『ナンピン』というらしい。
その手法はどうやら前からあったらしいが、自分で気付いた事に俺のセンスは間違っていないと我ながら感心した。
③『前期の決算が良かった銘柄。』
決算が良かったらそこまで下がらないだろうし、次の決算前にまた上がるだろうという読みだ。
俺はこの3つをクリアした銘柄を『高西式』と呼ぶ事にして店長やS君に教えた。
正直、銘柄探しには答えはない。
だが、何を基準にして買っているか?これは是非知りたい所だろう。
株の成功者には…。
俺は株の成功者ではない。まだ素人だ。
だが、自分で経験してそのスタイルを確立させて何か意味のある事にしたかった。
それから俺はYoutubeを見るのが日課になっていた。
ある程度自分のこだわりみたいなモノが分かったので、ここで知識を広げてみようかと思ったからだ。
その時にふと絶対見ないであろう番組を見た。
ホリエモンの番組だ。
正直俺はホリエモンが好きではない。
考え方は素晴らしいし、一時期尊敬もしていた。
だが、絶対謝らない姿勢。自分の間違いを認めない考え方。俺は逆に哀れに思えた。器がない人間の典型だ。
俺は自分の間違いを素直に認める人の方が大物だと思う。
高倉健や渡哲也が、
『自分が全て悪い、責任は全て自分にあります。』
という姿に憧れる。
『そんなに自分を肯定したいなら一人で生きとればええやん。いちいちメディアに出てくるなや。』
そんな嫌いなホリエモンの番組をなぜか見る。
ある証券会社の社長さんが出ていたからだ。
だが、それでも普段は見ないだろう。
何かに導かれていたとしか思えない。
その番組に出ていた証券会社の社長は、
『ワンタップバイ』の社長だった。
自分の投資の視野がまた一段上がる事となる。