11話 迷路の入口。。
11話 迷路の入口。。
2020年6月も終わる頃に差し掛かっていた。
単元100株で買った『JBR』は大きく崩れる事なくまだ持っていた。
問題は、『10銘柄平均法』だ。
約3週間見続けた。
答えは…
2勝8敗。
何と、購入した10銘柄の内8銘柄も下がっていた。
金額にするとマイナス4万円。
「あかんか…」
考え方は悪くないはずだ。
しかし、ここまで負けるとなると何かがダメという事だ。
俺はこの10銘柄を全て売り払った。
「また損切り…」
ついでに同じ買い方で買った投資信託はどうか。
5商品を2万。
こちらはプラス1千円。
1ヶ月持ってプラス1千円…。
俺はもう一度やり直そうとこちらも売却した。
残ったのは単元で買った『JBR』になった。
「うーん…単元か…でもやっぱり株って金持ちが儲かるシステムなんだな。例えば任天堂とかを1000万円買ってて1%上がれば10万。これを月に4回やれば月に40万。か…」
俺は机上の空論だと思っていても、1000万円有れば株で稼いで働かなくてもいいのかもしれないと思った。
「まあ、そんなに上手くいくわけないか。」
とため息をつく。
やはり持株の数量だ。
株数を持たなくてはお話にならない。
となると単価が安い株を狙うしかない。
俺はみん株サイトで500円前後の株を探した。
そして、アプリにいくつか登録しておく。
『千趣会』『FPG』『栄電子』『ツバキナカシマ』
そして、200円以下の株。
『ティアック』『サンキャピタル』『CAICA』『SE H&I』
など。
その中から5銘柄を100株単元で買ってみる。
500株だ。
俺は指値では買わなかった。
今回はとりあえずすぐに約定する成行で買ってみた。
デイトレか…。
デイトレをするなら指値で買いだろう。値段を指定できるのならそれは有利だ。
確かに1日で価格が激しく動く銘柄は、下がって買って上がって売れば何千円でも利益が出るかもしれない。
本物のデイトレーダーはそうやって利益を出してるのか…。
俺は株をやっている後輩に聞いてみた。
「デイトレはしてるのか?」
「休みの日にやってますよ。50回は売り買いしてますね。」
「へー。」
やっぱりそうか。
俺もやろうと思えばできるのか…。
後輩がアドバイスしてくれる。
「ちなみに株で気をつけなければいけないのは、板情報とチャートと空売り機関ですからね。」
また意味不明の言葉が出てきた。
だが俺は知ったかぶりをする。
「だよなー。」
正直、チャートしか知らない。
俺は帰りのバスの中で携帯で検索してみた。
板情報を調べる。あーあの数字がチラチラ動くやつね。
確かにこれならいくらで買いや売りが入っているか一目で分かる。デイトレするなら必ず見ないといけない。
空売り…。
『株を売って下がった所で買ってその差額で利益を出す。』
??
何のこっちゃ??
株を売るって、最初から持っている訳ないやん。
で、買って利益?
うーん…。
何となく意味はわかる。
が、意味だけだ。
俺はS君に聞いた。
「あーそれは、信用取引だね。株を借りて返すんだけどね。」
信用…。株を借りる…。
そうゆう事か。
『信用取引』は事前に調べていた。
ある程度証拠金を預けてその3倍まで取引できる。
そして『信用取引』は売りからでもスタートできるらしい。
そう。株を借りて売る。一旦お金が入る。そして期限の6ヶ月以内に株を買い戻して株を返す。残ったお金があるならばそれが利益だ。つまり安く買い戻せばお金が残る。
株を借りて1000円で売って、800円で買い戻して株を返せば手元に200円残る。
それが空売りだ。
そして3倍…『レバレッジ取引』とも言う。
俺はこのレバレッジに強烈に興味を抱く。
俺もいつか信用取引をしてみたい…。
だがそれより先ずは現物で利益を出せないとお話にならない。
いくらギャンブラー、地獄の住人でも勝てるイメージがないと勝負できない。
俺はJBR 100株と5銘柄を100株ずつ。
合計600株で勝負をしてみた。
約2週間後…
結果は『JBR』意外全て…
マイナスだった。