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86-儚い願い


(あなた、どうするんですか?シグレが中に入りますよ)


(どうする?って言われても。スキル越しでしか会話できないんだからしょうがないじゃん。今更情報端末を使うわけにもいかないし。また、最初からだよ。それに痕跡が残る可能性も)


(私を出し抜こうとするからでしょう。情報端末にはちゃんとバックドアを用意しておくんですね。なんでしたらアップデートと称して仕込みますか?)


(神託をやってる者が言うセリフじゃないね。直接通話はアナザーの体というかエデンの人間には無理だし。そうだ、イブ。アースに体あったよね。水芸ができる)


(ありますけど、あなたのバグの後始末のために使いたくありません。シグレとデートをするなら喜んで行きますが)


(なら、今が絶好のチャンスじゃん。場所的にも雰囲気がある。ついでに言伝を…)


(あそこでは雰囲気がありすぎてシグレが私に集中してくれません。嫌です。それに体が今どこにあると思っているんですか?)


(またまた、神託をやってる者のセリフじゃないね。イブはケチっと。やっぱり銃を構えるまで待つしかないのかぁ。大丈夫かな。やってもらいたいことがあるんだけどなぁ。その場所で)


(それと、あなた。次のアップデートではアナザーの砂糖を吐く機能、外しますからね)


(え?なんで?)


(シグレにアホ扱いされたくないからです。アホはあなただけにしてください)


(…)




 時間は11時57分。対物ライフルを担ぎ直し気合を入れ気味に廃病院の入口に近づく。


 明るいところから暗いところはよく見えないのだが、扉のない入口の奥にマユミさん達が俺を待っているのはギリギリ確認できた。


 少し早歩きになりながら廃病院の入口を対物ライフルの角度を変えながら通る。


 すると、いきなり至近距離に黒い何かが現れた。



「ちょ、ま」



 こんな目の前に出られと避けられるはずもなく、その黒い何かに突っ込んだ。



「シグレ!」


「シグレさん」


「あなた」



 三人の声がイヤホンから聞こえたような気がした。一瞬の出来事だった。


 視界が黒に覆われたかと思うとすぐにそれはなくなり早歩きの勢いを止めたときには、マユミさん達三人がいない場所に立っていた。


 辺りを見回してみる。ダンジョンなら歪んだ空間があるはずなのだが、どこにもない。俺の小さな心臓が悲鳴をあげそうなのを宥める。


 ここは、さっきの場所よりさらに朽ちているのがわかった。様々な隙間から光が差し込んでいて、この病院の待合室のようなところはそんなに暗くはない。


 しかし、隙間風でも入ってきているのかそれが人の声のように聞こえて気味が悪い。霧があるからこんな音が聞こえてくるはずないのだが。ここは風が強いところにあるのだろうか?それでも…


 この場所の天井は低く奥に続く廊下は薄暗く狭い。障子なんてものも見える。いよいよ、残念な雰囲気が俺を飲み込もうとしてきていた。



「マユミさん、アオイちゃん。一応、ナギさんも。いますか?返事をしてくれると助かるかなぁ…」



 イヤホンを指で押さえて反応を待つも沈黙しか返ってこなかった。爆弾姉妹と殺人鬼も、いないと寂しい。それに、ナギさんがいないと…


 さっきの黒い何かがダンジョンの入口、もしくはそれに準ずる何かだったのかもしれない。ただ、俺だけを狙って口を開いたような現象が謎でしょうがない。しかも、ここにはその黒い何かがない。これ、帰れないんじゃ?


 切り替え、切り替え。


 とりあえず、この廃病院から出てみることにする。この雰囲気は俺の小さな心臓があまりにもかわいそうだ。


 白が一面に広がっている入口?出口?から外に出る。




(あっ、やばっ。シグレを見失った。あの個体が無茶をしたか?)


(あなた、これはどういうことですか?あの建物に入ってシグレの反応が消えましたよ)


(僕だって説明して欲しいんだけど、どうなってるの?イヴ)


(それを聞いているのは私です。早く探してください。あなたの仕事でしょ)


(もう、やってるって)




「やっぱり」



 この場所は少し高いところにあるようだ。そして、目の前の低いところ、眼下には砂浜が広がりその先は霧で阻まれていた。


 そこに、廃墟を含めいろんな物が刺さっている。砂に埋れた街、村に見えなくもない。



「あれは、サハギンかな?」



 モンスターがいた。廃墟の周りをウロウロしている。よく見れば、かなりの数がいるようだ。


 ここはダンジョンで間違いなさそうだ。あの砂浜の先は海?でも、潮の香りはあまりしない。


 うーん。距離があるので大丈夫だろうがサハギンに今は見つかりたくない。仕方なく、本当に仕方なく、また廃病院に戻る。廃病院にはモンスターがいないと信じたい。


 廃病院に入ったところすぐの少し明るい待合室の中心辺りに対物ライフルを置き弾を装填、そのままそこに。ハンドガンをホルスターから抜きボルトを引いて、また戻す。いつでも撃てるように準備だけはしておいた。霊体系以外なら大丈夫だろう。


 いつの間にか喉がカラカラだった。リュックサックから水筒を取り出しお茶を飲んだ。



「ふぅ」



 少し、落ち着いたかもしれない。


 水筒をリュックサックにしまい、改めて待合室を見回す。



「あっ」



 思わず声が出てしまったが、首を左に向けたとき視界の隅に何かいた。白かったかもしれない。


 ハンドガンのホルスターに手をかけるが、これ以上体を動かせない。動くと捕まる。何に捕まるのかわからないが、そんな気がした。


 しばらくそのままの体勢だったが、このままでは埒が明かない。少しずつ首を左に向けてみることに。


 少しずつ。少しずつだ。


 ギギギとか音がしそうなぎこちない動きを続ける。視界にはまだ何も入ってこない。もう、いなくなったのかもしれない。いや、最初から何もなかったんだ。


 少しずつ。少しずつ。首は、さっき何か見えた位置に達した。と思う。


 何も… いるぅぅぅぅぅ。し、白い看護婦さんが、いるぅぅぅ。


 しかも、薄い。向こうが透けて見える。


 あーあ、見ちゃったし遭遇したし対応できる武器はないし。これはもうダメかもわからん。



「あのう。もう、喋ってもいいですか?時間がないんです」



 喋ったぁぁぁぁぁ。


 俺の心臓の鼓動がさっきからヤバイ。喉から心臓が出てくる心配をする必要が出てきた。この体には謎の遊び心が詰まっているからな。



「シグレさんですか?シグレさんですよね?シグレさんにします」



 聞いたことのある単語が出てきた。3回も。シグレって何?誰?何処?


 しかし、このちょっと可愛いかもしれない看護婦さんは話せる幽霊なのか。穏便に事が進むかもしれない。



「シグレさんは、シグレさんじゃないんですか?黙ってないで答えてください。本当に時間がないんです」



 まずい、穏便が何処かに行ってしまう。


 白い看護婦さんが近づいてきた。


 シグレ、シグレって俺じゃん。俺の名前じゃん。気が動転して忘れてた。



「すみません。ど忘れしてました。シグレです。よろしくお願いします」



 近づいてきていた看護婦さんの動きが止まる。許されたのかもしれない。



「シグレさんは、やっぱりシグレさんでしたね。それでは、お願いがあります。私を殺してください」



 え?あんだって?



「すみません。よく聞こえませんでした。もう一度お願いします」


「はい。私を、殺して、ください」



 聞き間違いではなかったようだ。ハッキリとよく通る声だった。どこから声を出しているのか不思議でしょうがない。しかし、面白いことを仰る白い看護婦さんだ。



「看護婦さんは生きているんですか?」


「死んでると思いますよ。ですから、早く殺してください」



 いかん、これは、これで埒が明かない気がしてきた。


 質問を変えてみよう。



「あのう、俺の名前をなぜ知っているんですか?俺はあなたを知りませんが」


「こんな私、モンスターに殺されてなぜかあの病院から離れられない私を励ましてくれる人が最近現れました。現れたといっても声だけですが。その人、声がシグレという名前と特徴を教えてくれました。その大きい銃がポイントです」


「声ですか」


「ええ、その声がシグレさんなら私をこの状態から救ってくれると、終わらせることができると教えてくれました」


「終わらせる。ねぇ」


「それで、その声は今日シグレさんが私のいるあの病院に来るということも」



 その声が、俺を俺の心臓をこんな恐ろしい目に合わせたのか。けしからん。


 しかし、だんだん恐ろしくなくなってきたな。



「あの病院って?この病院?」


「いいえ、シグレさんが一人じゃなかったときのためにプランBを用意していて」


「プランBね。よく聞くプラン名ですね。アースでも使われているんですね」


「そのプランBによって、あの病院に最近出現した不思議世界の入口にシグレさんを突っ込みました」


「俺を、不思議世界に、突っ込んだと」



 こわっ。プランB、こわっ。さらっとひどいことしてるじゃん。張本人じゃん。



「看護婦さんは、凄い力を持ってるんですね。その力でモンスターから逃げられなかったんですか?」


「いえいえ、それほどでも。私は、この力をトンネルって呼んでます。モンスターに殺されそうになったときに、殺されたのかもしれません。その時に力に目覚め咄嗟に使ったんだと思います。気がついたら、こんな状態に」


「ご冥福をお祈りします」


「本人に言わないでください。しかも幸福になってないし、ちゃんと死んでもいません。それに、体が薄くなっていってます。よくない感じがするんです」



 なかなか大変な状況らしい。



「その声、声の人は俺がどうやってあなたを救うとか言ってませんでしたか?何か道具を使うとか、呪文のようなことを言うとか」


「いえ、何も。シグレさんが来れば問題は解決するみたいなことだけでした」



 無責任な声だな。おい。



「ちなみに、俺は元の廃病院、あの病院がある世界に帰れるんですよね?」


「帰れますよ。不思議世界の入口兼出口まで行けば」


「それって何処にあるんですか?周りには見当たりませんが」


「それは、そうでしょう。シグレさんが簡単に逃げないように私のトンネルを重ねてここに連れてきましたから。さらに体が薄くなった気がしますが仕方がありません。非常事態ですから」



 うん?こ、怖くなってきたぞ。俺も非常事態なんだが。


 まさか、あの黒い何かがトンネルでダンジョンの入口に続いていて、こちらの出口にもトンネルを置いてこんなところに拉致したと。それとも、トンネルという能力、スキルは直接ダンジョンにも飛べたりとか。こわっ。



「どうしたら教えてくれるんですか?まさか殺したら。とか言いませんよね?」


「教えたら私を殺してくれるんですか?逃げますよね?」


「看護婦さんを殺すことが、もしできたとします。そのときはどうやって俺に教えるつもりなんですか?」


「そう、ですね。教えることができませんね。なら、諦めてください」



 えええええ。それだと、看護婦さんだって困るでしょ?


 待て待て待て。



「看護婦さんは出口を俺に教えるし、俺は看護婦さんをなんとかする。これでいいじゃないですか?」


「そうですね。それが理想です。じゃ、教えて下さい。シグレさんはどうやって私を殺すんですか?」



 教えて欲しいのは、こっちなんだけど。



「でも、その方法を俺が知っていて教えることができても看護婦さんが確認するには、それを実行に移すことだけですよね?」


「そうですね。なら、諦めてください。シグレさんなら大丈夫です。早く私を殺してください」



 微妙に話が通じない。時間がないせいなのか?




(あ、いたいた。イヴ、シグレを見つけたよ。ダンジョンにいた。問題の個体と一緒だ。これは話が早い)


(あなた、シグレが困っていますよ。しかも、あなたのせいではありませんか?)


(ちょ、ちょっと順番が前後しただけだって大丈夫。今、あの個体に連絡入れるから)




「大丈夫だと言われても。俺の装備じゃ、看護婦さんみたいな向こうが透けて見える状態を何とかすることは… あれ?」


「どうかしましたか?」


「看護婦さんはそもそも死にたいんですか?」



 看護婦さんの表情が曇る。しかし、また、薄くなっているような。



「死にたいというか、死んだんです。モンスターに殺されたところに戻ったら私の体はどこにもありませんでした。周りのみんなも殺されたようです。私はみんなのところに行きたいんです。もう、一人で病院を彷徨うのは嫌なんです。お願いです」



 一気に場が重くなってしまった。そんなつもりじゃなかったんだけど。


 しかし、この状態。【気配察知】先生も沈黙している。霊体系アンデッドと同じ状態なのだろうか?それとも、この看護婦さん特有の状態なのか?



「あ、はい。はい。わかりました。そう伝えます」



 うん?



「シグレさん、今声が聞こえました。私にその銃を向けて欲しいと、あの声が言っていました」



 看護婦さんの薄い指が俺の右ホルスターに収まっている銃を指していた。


 声が、この銃を指定するということは… 【心眼】先生の仕業、中の人、バイト、GM、開発。もしかして。


 いろいろなことを頭の中にめぐらしつつハンドガンをホルスターから抜き、看護婦さんに向けてザックリと狙いをつけた。



(やっとだよ。ニイタカヤマノボルヒトサンマルロク。ドラドラドラ)


「【心眼】先生!!どういうことですか?」


「シ、シグレさん。いきなり大声で、どうしました?」


「あ、すみません。こちらの話です。気にしないでください」


「はい、ですが早くしてください。もう、時間がありません。最悪な予感がします」


「あ、はい。善処します」


(えーと、時間遅らせたよ)


(【心眼】先生、説明してください。これは、どういうことですか?)


(あなた、ちゃんとシグレに説明してください。シグレ、私は今回の件には関わっていませんので怒りは【心眼】先生にだけ向けてください)


((あ、はい))


(事前に説明するつもりだったんだ。でも、君、あの個体に会うまで僕を呼んでないよね?いつ、説明すれば良かったのかな?)


(そ、それは、周りが頑張りすぎて仕事ができなくて。それで。ま、まぁ、過ぎたことはいいでしょう。建設的な話をしましょうか。あの看護婦さんへの対処を教えて下さい)


(ホントは君からもらった何でもチケットで、こちらからお願いしようと思ったんだけど。どうやらチケットは使わなくてもいいようだね。持ち越させてもらうよ)



 ぐぬぬぬ。し、仕方がない。よくわからないが、こちらに落ち度があるような気が、しないでもない。



(わ、わかりました。対処の方を)


(それは簡単だよ。その銃で、あの個体を撃てばいいんだよ。どこに撃ってもいいよ。当たりさえすれば。でも、あの個体が完全に透明になる前にね)


(完全に透明になったら、どうなるんですか?)


(永遠に彷徨うことになるんじゃないかな。一人で。声すら届かなくなると思うよ)


(それは、非常にまずいじゃないですか。で、でも、弾はシルバー弾、銀とか入ってないと思います。それでも、撃つだけでいいんですか?)


(それでも撃つだけだよ。弾は何でもいいよ。前に機能を追加したと言ったよね。その銃には発射した弾丸に不死を含む特性を無視して状態を遷移させる効果を付加する世界言語が設定されているんだ。これで如何なるものにもダメージが通るよ。僕の力作だ)


(あ、はい。で?)


(でって、何?君は撃つだけだよ。これで君がどうこう言っていた霊体も普通の弾で倒すことができるよ。ま、それは、ついでなんだけど。やったね)


(あ、そうですね。やりました。え?そういうのアリなんですか?)


(0.01点。アリなんじゃないの?そこにあるんだから)


(シグレ、良かったですね。ちなみに私がつけた機能は、まだ秘密です)


(あ、はい。よくわからないですけど。ありがとうございます)


(じゃ、早く撃ってあげて。時間がないよ)


(ダメージが通るなら痛いんじゃ?本当にこれで撃つと看護婦さんは助かるんですか?)


(痛くはないと思うよ。あの状態にそんな情報は伝わらないから。で、助かるかどうかだけど。通常の輪廻というかループに戻るんだ。既に死んでるんだからね)


(そもそも、あの状態は何なんですか?アース人の幽霊なんですか?)


(シグレ、それを聞いたら【心眼】先生がへこみますよ)


(え?どうして)


(バグ、ですからね)


(なん、だ、と)



 いや、しかし、俺もプログラマーの端くれ看護婦さんには悪いけどバグならしょうがないかなぁ。看護婦さんには本当に悪いけど。



(いや、でも、あれはタイミングがメチャクチャ悪くて。そこにこれまたタイミング良くスキルを覚えて、タイミング悪く発動させちゃったから。しかもバグり易いスキルだったし。そりゃ、バグるよね)


(わかる気がします)


(ほら、【心眼】教師。シグレもわかるって)


(シグレ。【心眼】先生に気を遣わなくてもいいんですよ)


(そんなつもりでは)


(ま、今回はあの個体に無駄に苦労させてみたいだから特例があるかもしれない。【心眼】教師、そうだよね)


(ある、かも、しれませんね)


(そうですか。なら、早く戻って撃つことにします。いろいろありがとうございました)


(だけど、君、チケットがあるから。頼み事、考えておくよ。楽しみにしてて)


(【心眼】先生。それについて話があります。私の知らないことが、まだあるようですね。この、あとで)


(あ、はい。それじゃ、君。【心眼】先生終わり)



 チケット、取られたな。


 時間が元に戻ったようだ。銃を向けている白い看護婦さんが不安な表情をしていた。



「看護婦さん、方法がわかりました」


「本当ですか?その方法は?」


「この銃で看護婦さんを撃つだけです。痛くないらしいので安心してください」


「そうですか。なら、早くお願いします。時間が…」


「思い残すことはないんですね」


「ええ、大丈夫です。そういうのは随分前に終わりにしました」



 看護婦さんは両手を胸のところに持っていき願うようなポーズで目を閉じた。


 もう、かなり看護婦さんの姿は薄くなっている。完全に透明になる前、まさに今ハンドガンのトリガーを引いた。乾いた音が待合室に響く。


 マズルフラッシュの中に一瞬魔法陣のようなものが見えた気がする。これ、他の人に見えたりしないよね。見えると問題なんだけど。


 発射された弾丸は看護婦さんに命中したんだろう、その後ろの脆い木の壁を貫通してどこかに行ってしまった。


 消えかけていた看護婦さんが、霧散するように、たくさんの小さな粒子が思い思いの空へ舞い飛ぶように霧に還っていった。


 看護婦さんは最後、口を動かしていたようだが声は聞こえなかった。小さな粒子が蛍のように見えた。


 いつもより重たく感じたトリガーを引き終え役目を果たしたハンドガンをホルスターにしまう。


 何か釈然としないものが残ったような気がした。でも、ちゃんと看護婦さんの願いは叶ったしハッピーエンドなのでは。


 あれ?俺は?俺はどうやって元の世界、アースに戻るの?


 俺の願いは誰が叶えてくれるの?


 待合室に吹き込んでくる隙間風が人の笑い声のように聞こえて、気味が悪かった。



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