徳川劇場:教えてサドの神!実力主義は強者にとっては諸刃の剣であり、弱者の核兵器である!!
実力主義は実力がある人の思想というよりは無い人に有利な面があります。実力主義を称賛する人が多いが…実力主義は思想というよりも『無い者の叫び』だと思います。テレビの評論家が安易に実力主義を語っている時のアンチテーゼとして書いてみました。
正信先生「王侯将相いずくんぞ種あらんや!!と言えば『偉そうに叫んでおきながら自ら自爆したことで名高い陳勝さんと呉広さん』の発言ですね。(笑)」
秀康「それはいくら何でも可哀そうな言い方では(笑)」
富正「事実ではありますけどね…(苦笑)」
成重「世界史でも初と言っても過言ではない農民の反乱を大反乱までに拡大させた功績はデカいぞ!」
正信先生「はい、今回のテーマは前回の実力主義の話では伝えられなかった実力主義の恐ろしさについて話したいと思います。実力主義は一見すると実力のある人に有利な主張に聞こえますが…実は強者よりも弱者の方に有利な主張でもあります。そもそも実力という言葉には『地位や名誉は無いが…能力はある!』という意味合いが強い!!というのは皆様にも分かりますよね…つまり、『地位や名誉がある人間の力に力点が無い!』主張なのです。」
秀康「生まれながらにして実力がある人間は実力を主張する必要がないからな!」
富正「無い側の人間が主張するほうが有利な主義ですよね…」
成重「実力がある奴が主張すると嫌味になるし、反発されるからな!!」
正信先生「例えば私が『今は実力主義の時代ではない!』とか『昔は実力主義だった…』とか言ったりしたら、皆様どう思いますか?」
秀康「じゃあ、正信先生は実力が無いのに偉くなったのか?と思います。」
富正「昔はあったが今は実力が無いということですか?と思いますね。」
成重「実力があるはずだと思われている人間が実力主義を主張すると可笑しくなるな!」
正信先生「その通りなんです!力がある!偉いはずだ!と思われている人間が実力主義を主張すると逆に下々の人間は疑いもしなかった常識を疑い始めるという行為に走り始めるのです!この現象が世界史でも特に顕著に表れたのが『ユリウス・クラウディウス王朝滅亡』と『秦帝国滅亡』なのです!」
秀康「秦帝国滅亡と言えば『項羽と劉邦』だな!」
富正「疑いもしなかったことを疑うは怖いですね…」
成重「ユリウス・クラウディウス王朝って何だ?」
正信先生「ユリウス・クラウディウス王朝のユリウスとはユリウス・カエサルを出した氏族です。クラウディウスとは『ローマの剣』ことマルケッルスを含む、共和制~二代皇帝ティベリウスの頃までに執政官28人、独裁官5人、財務官7人、凱旋将軍6人、次席凱旋将軍20人を出したローマ二大名門氏族の一つになります。もう一つの名門氏族は大スキピオの出身氏族であるコウネリウスです。実は!ローマは帝国初期の頃までの数々の大勝利と栄光の大半は、この二大氏族が成し遂げてきたものでした。そこにユリウス氏族が加わって三大氏族のお陰で繁栄したのが偉大なるローマだったのです。こう聞けばお判りの通り…ローマは実力主義の国家だったと言いながらも…実は血縁による世襲制によって繁栄した帝国だったのです。というか三大氏族を中心とした連合国家がローマの正体だった…というのが正解でしょう。」
秀康「日本で言うところの藤原氏、源氏、平氏みたいなものだな!」
富正「そういう意味では日本と同じような国家だったのですね。」
成重「宗教も多神教だし、質実剛健がローマのモットーだったしな!」
正信先生「この三大氏族による支配の絶頂期がローマ帝国初期となります…五人中三人は『ローマ史上最も偉大な皇帝』の一人として名前が挙がるほど優秀でした。一人は優秀だったが前が優秀過ぎて目立たなかったが無能とは程遠い非凡な皇帝でした。」
三人「……最後がダメだったのか……」
正信先生「そう思うでしょう?しかしですね、最後の一人なのですが…世界史での知名度では初代のアウグストゥス並みの有名人で日本人なら…某有名ゲームをやってる人なら…誰でも知っていると断言しても言いぐらいの超有名人なんですよ…世界中の物語で登場したり主人公に選ばれるくらい有名ですからね!!」
三人「えええ!!」
正信先生「その名は『ネロ』と言います。そう、あのネロ帝です。正式な名前はネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスと言います。祖先で有名人の名前を挙げだしたらキリがないし、皆が知っている大英雄ばかりが名前を連ねる名門の生まれだと分かります。そして彼自身が超有名です。ぶっちゃけ、その統治に問題は殆どありませんでした。というか並外れた名君ぶりのが際立っていたと言っても問題無いレベルでした。治世が問題があったように書かれているのはキリスト教を弾圧したからですが…これは数百年後ですら行われていましたので彼の時代では大正義であり、彼の治世が当時の人々から見て悪かったという証拠にはなりません。では何故?彼が失脚し、偉大だったユリウス・クラウディウス王朝が滅亡する羽目にまでに発展したのか?」
三人「何故?」
正信先生「端的に言えば、ネロが無駄に目立ちたがり屋で『自分の実力を見せよう!』と思って様々な事で空回りをしてしまったせいでした。例えば闘技場で皇帝自ら戦おうとしたりするなどです。こうした行為は斬新で未来の人から見れば素晴らしい試みのように映りますが…当時、既に神格化され、『誰も勝てない!』と思っていた『偉大な血筋の君主』が意外と負けそうになったり、他の人と同じような失敗をしたところを見ると…下々の人間は『自分達と同じような存在』と見なすようになり始めます。つまり、馬鹿にし始めるのです。」
秀康「そうだな、上位にいる存在が意外と老いてたりすると驚くよな…」
富正「始皇帝も権力強化の為に全国巡業をしたけど…それが逆に『皇帝も人間』ということを人々に意識させる切っ掛けになったと言われていますしね。」
成重「凄い!凄い!と聞かされてきた伝説の存在が…意外とボケていたりすると反動が来るんだろうな…」
正信先生「始皇帝の場合は、不老不死を求めて『東方の島国』に不老不死の薬があると主張した商人に、みごと騙されて莫大な財宝を大きな船に積み込めるだけ渡したと言われています。」
秀康「詐欺られて帰ってこなかったのは有名だよな…」
富正「その話が元になって日本最古の物語である『竹取物語』が書かれたと言われていますよね。」
成重「世界史の中でも最も有名で偉大な人物の行いにしてはアホ過ぎて笑えないよな…」
正信先生「始皇帝もネロもそうですが…元から人間不信の兆候がありました。これがプラスに働いていた時期は良かったのですが…ネロは暴走し始めて破滅へと向かい始めます。始皇帝の場合は次第に接触する人間を減らし始めたことが原因で『自らの死を周囲に知られるのが遅くなってしまいました。』これが致命的となり、張高という宦官に死を利用されて『帝国の滅亡』へと導かれてしまいます。』
秀康「始皇帝の場合、人間不信だったが…人材を適材適所に配置して管理する能力は抜群に上手いので『好き放題』していて国民の不満がマックスでも反乱を許さないくらい圧倒的な統治能力があったからな…」
富正「始皇帝が単に『秦王朝初代皇帝』では無く、『中華最初の皇帝』として他の皇帝達とは別格の扱いを受け続けていた理由ですね。」
成重「春秋戦国の大英雄達が成し遂げなかった中華統一を成し遂げ、その後の世界の政治制度の方向性を決定的とした統治制度の数々は凄すぎて困るな…」
正信先生「始皇帝もネロも有能でしたが…自らの実力を過度に強調しようとして…逆に下々の者達に侮られる原因を作り出していました。司馬遼太郎は著作の『項羽と劉邦』で始皇帝が自らの顔を下々に見せて回ったせいで『この男さえたおせばおれがこの男になれる』という思いを抱かせてしまった…と書いています。このことからもわかる通り、時の権力者は自らの権力を誇示しようとして自らの実力を見せようとしますが…自らの実力を見せようとすると逆に自らの限界を見せてしまうのです。」
秀康「人だからな…失敗もするし、年を取れば劣る面も出来てくる。」
富正「老いが最大の敵とは…」
成重「実力ではなく、『俺は偉いから命令出来るんだ!』と言ったほうが良かったりするのは皮肉だよな!」
正信先生「マキャヴェリの『君主論』でも書かれていますが…時の権力者の強みは『偉い』と思われているからであり、『偉い』理由を説明することは良いのですが…それは一般庶民が手に出来無いモノの方が良いのです。つまり、家柄や地位、今までの統治による人徳です。それは庶民が真似できないほど遠いモノの方が良いのです。近いモノほど下々の者はゲスな勘繰りをしますし、近いがために侮る危険性が高いのです。そうならないためにも遠いモノを強調して従わせるのが正しいと言えるでしょう。」
秀康「ワザと侮らせて罠にハメるのも良いが…策士策に溺れるでは困るからな…」
富正「下々に侮られるのは危険ではないでしょうか?一線は引くべきだと思います。」
成重「個人の努力で上回れるモノよりも長い歴史で作られたモノは一長一短では上回れないからな!」
正信先生「こういったことを頭に入れておくと武士の行動が良く分かったりします。歴史書を書いている奴の中には非効率だ!非合理だ!と書いている奴がいますが、時には非効率だろうが非合理だろうが、下々に舐められないように策を打つ時が必要なのです!」
持たざる者にとって実力主義は核兵器のようなモノです。成功しない前提なら全面的に主張するのも良いですが…実力主義は弱者に有利と思えば他の思想が実は強者に有利という見方が出来ます。自分が強者の場合は良いですが…安易に他人の思想に乗らずに自分の立場で有利な思想が何かを考えて相手の話を聞いたりすると相手の思惑が分かるかも知れませんね……(白目)そんなに簡単に他人が嘘つきか判断出来たら凄いですが……




