斯波義銀の野望
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斯波義銀と信行一行は尾張から伊勢へと入る。
「義銀殿、これからどうしますか?」
「フッフフ!気にするでない、秘策がある。」
そう義銀殿が言うので信行は怪しみながらも一緒に付いていくことにした。
「義銀殿、お待ちしておりました。」
「北畠殿、お久しぶりです。」
義銀殿を出迎えたのは伊勢、志摩の支配者となりつつあった北畠春具の息子である具教であった。具教は義銀殿と共謀しており、実は兵を蟹江に向けて進めていた。清州での戦いには間に合わなかったが長島まで来ていたのである。義銀は北畠勢と合流を果たすために伊勢に逃げたと言って良かった。
「信行殿のせいで計画は狂ったが…まだ、挽回は出来るはずだ!」
「…」
信行からすれば心外だが義銀殿から見れば事実なので信行は黙るしか無かった。
「長島城に入れば、とりあえずは安心だ!」
「しかし、兄上を打倒するのであれば兵が足りないのでは?」
「うむ、それについては…」
「何か手を考えねばなりませんね」
「いや、手ならあるのだが…」
「あるのですか!それなら直ぐにでも!」
「そ、そうなのだが…」
「何を悩んでいるのですか?」
「そうだな…信行殿の言う通りだ!悩んでいても仕方が無い…」
信行の催促に屈するかのように義銀は悩みながらも奇策にうってでることにした。
ちなみに赤鶴達も引き続き信行に従うこととなった。しかし、信行が総大将では無くなったので軍議には参加できなくなり、陣屋の外で様子を窺うしか無くなった。
流石に、この頃になると三人はお互いに牽制しながらもお互いが信長方の誰かの間者だと理解するようになり始めていた。という訳で三人は順番を決めて信行の陣屋を交代で見張るようになった。
秀康は義元公と尾張で共同軍事演習を執り行った。この演習では関東遠征で受けた『T34ショック』を元に4号戦車の砲を長砲身に変更するなどの改良が行われていた。
「四号ちゃんの改良は進んでいますよ、あと今川方から改良の仕事を受注しています!」
「儲かるのかな?」
「ええ、儲かりますよ!」
石川数正の報告を聞いて秀康も嬉しくなる。松平家の工業力と整備能力は今川家に対して金銭を稼ぐのに有効であった。これをフル活用して借金を解消するのだ!
「皆には苦労をかけるな!」
「大丈夫ですよ!脱税してますから!!」
「ハッハハ!」
「(*´艸`*)うふふ!」
脱税と言うのは領地収入などを真面目に申告しないで懐に入れることを言う。本来なら取り締まるべきだが…現在は今川家のせいで松平家は多額の上納金を払わなければいけない!これを今川家から見たら陪臣になる石川家、酒井家、本多家などに脱税をさせて松平家の収入を低く見せるという作戦である。
そうすると松平家は損をするので家臣達には経費などを一部負担させるなどして少ない分を補うことも同時にしている。
数正殿と二人で楽しい会話をした後は再び義元公への接待へと移った。義元公に付き従う形で尾張の各地を見て回ると共に豊田に行き、軍需工場を視察するなどした。
「義元様!」
突然一人の今川家臣が義元公のところに慌てて報告に来た。
「なんだいきなり!」
「ハッ!実は斯波義銀殿が北畠をとおして義元様に会いたいと言って来ました。」
「そうか…分かった。直ぐに会うと伝えろ!」
「分かりました。」
どうやら敗れた義銀殿が義元公に接近してきたようである。
「義元殿、落ち着かれておりますな」
「織り込み済みというところだからな」
「さすが義元殿です。」
ここで少し込み入った話をしよう。実は名古屋城は、かつて今川那古野家という一族が支配していた。この一族は今川家の親戚であったが…断絶しかけたために義元公の弟にあたる氏豊殿が養子になって継いだ。その氏豊は斯波義達の娘を娶っている。
その後、名古屋城は織田信長の父信秀の謀略で奪われてしまう。その後、氏豊殿が、どうなったかは知らない。しかし、義元殿曰く氏豊殿の娘が斯波義銀殿の妻になったそうである。義銀殿の母親は足利御一門の石橋家だし…斯波家も近親相姦しまくりな感じだな…松平家も他家のことを言えないけど(笑)
斯波義銀との会談は義銀殿が伊勢から三河に来るかたちで行われた。
「いやぁ義銀殿、富士ハイキング以来ですなぁ!」
「…」
義元公がにこやかに話しかけても義銀殿はニコリとも笑わなかった。義元公は、それでもにこやかな笑顔を止めずに「それで、ご用件は?」と聞いた。
「実は…私の娘を秀康殿の側室にしたい!」
「えっ!?」
義元公の傍で今川一門として相席していた秀康が驚くことを義銀殿が言い放った。まさか自分に話が行くとは思っておらず秀康は困惑する。
「ほう、覚悟は出来たと見える!」
「尾張を取り戻すためだ…」
「そうですな!取り戻すためにも賢明なご判断です。」
「…」
「ですが…側室では意味が無いので継室ということにしましょう!」
「ほ…本当ですか!」
「ええー」
トントン拍子で話が進められて秀康は困惑するばかりである。
「それで良いな!」
突然、義元公に返事を求められて困惑する秀康だが…義元公と義銀殿の熱い眼差し(威圧)を受けて同意してしまう。
「はい…」
「よしよし」
「おおー」
いったい何が起きているのだろうか…秀康は後のことを考えて青ざめることとなる。
なぜ、青ざめるのかと言うと正室として迎えた今川ヒメ殿は中々気性が荒く、婚姻によって岡崎に入ってからというもの秀康を近づけずに岡崎城の二の丸を占拠していたからである。
(うーん、益々話が複雑になっていく…)
義元公が秀康と義銀の娘の婚姻を認めた理由は義元公自信がヒメと秀康の婚姻を危険視していたからである。というのもヒメと義元公には確執があり、一時の勢いで両者の婚姻を認めてしまったものの…後悔していた。そんな中で、ほぼ今川御一門と言っても良い義銀の娘を義元の養女にした上で秀康に嫁がせようと義元は考えたのである。それもヒメと秀康との間に子供が出来る前にしたいという思いまで含まれていた。
これらと同時に義銀の次女も義元の養女にして斎藤義龍の息子の義興の元に嫁ぐことが決まった。
「これで盤石だ!」
義元は肩の荷が下りたように嬉しがっていた。
義元公はヒメのことが嫌いのようですが…氏真とヒメは意外と仲が良いという噂です。
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