暗愚、広忠公の真実
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城はあくまでも統治の拠点であり、防衛の起点となる施設である。数正殿曰く、城を中心に防御シールドを張っていることと岡崎城のようにしっかりとした城は頑丈で意外と敵の攻撃に耐えてくれる。
だが残念ながら安祥城は現在、大乗寺を改造して作られている。大乗寺側は賃借料を貰う代わりに寺を提供しているという形である。そのため、完全なお城では無いので防御力に関しては防御シールド頼みな一般的な城と変わらないとの話である。
寺を改造しているお陰で極めて和風で心地よい、日本人ならば木で出来た家の方が落ち着くのは当たり前であろう、俺は日本人だからな! 南蛮の力になど屈しないぞ!! そう思いながら寺に入り数正殿と別れて俺ら三人は一路、数正殿に言われた順路で進んでいる。
今秀康は、広忠公に会いに行くところである。長親レベルになると血縁が遠すぎてよく分からんが……祖父だと現実味があって緊張する。偉大な祖父に会いに行くのだから……いや、今は父上か? なんか複雑だな……
広忠公は秀康からすると祖父にあたる人である。史実でも散々な言われようの人だ、弱冠14歳で当主に就任して24歳までに三河を統一した父清康公、日本を統一した息子の父上(家康)を持つだけに大変である。
二人に比べれば岡崎城を追い出された人なので松平宗家を一度滅ぼした人と言える。しかし、そこで終わらなかったのは流石である。
阿部定吉殿が大活躍してくれたお陰でもあるが定吉殿は清康公を殺した息子を持つ人である。その人が皮肉にも広忠公を救い伊勢に逃げたことで広忠公は命を救われた。
その後は松平家が広忠公を追い出した後に結束できないところを今川家に利用されて当主の座に戻った人である。
傀儡だったと言われた人で戦の才能が無かった。じじつ負けてばかりである、父上を救う時も家臣の犠牲で何とか織田家の一門を捕えて辛うじて救えた程度である…しかし、広忠公の時代は仕方が無かったとも言える。
そもそも清康公が死んだ時に10歳の幼い童である、松平家は家中は分裂していて長親が生きていた。織田は攻めて来るし、今川以前に吉良がいて大混乱な時代に生き抜けただけでも優秀だったのでは無いだろうか?
戦の才能は無かったが謀略と内政の才能は有ったようで地道に勢力を拡大していたと言われてもいる。だからこそ最後は暗殺されたと俺は信じている。(享年24歳、悔しくも父清康公と同じ年齢で死んでいる)
目的の場所まで来た、少し緊張するが重要な話をしなければならない! 俺は決意を固めたぞ!! 岡崎城を取り戻すんだ!!! そう意気込みながら襖に向かって言葉を投げかける。
「お父上! 竹千代、今戻りました!! 」
「おお、そうか入ってくれ」
「お前たちは待っていろ」
廊下で待機していたが襖の奥から許可が出たので入ることにした。富正と仙千代は廊下に待たせとくことにした。
部屋の中に入ると秀康の想像していた無能君主の姿は無かった。想像したよりも逞しく立派な顔立ちの人がいた。残念なのは気が弱そうな所だけである。
「お父上様、お久しぶりです。」
「少し見ない間に立派になったなぁ」
「それでお父上、ご質問があります! 」
「なんだ?急に…なんでも聞いてくれ」
「なぜ、岡崎城を取り戻しにいかないのですか?! 」
単刀直入過ぎる秀康の言葉に普通なら困るだろう…だが、ここは偏屈で自己主張が激しい三河武士の本拠地である、単刀直入に殴り込んでくる家臣は日常茶飯事だった…広忠公は慣れているせいで正直に答えてしまう。
「……信定は強いからな……」
「伊勢に逃げるつもりですか? 」
「!? どうしてそれを…」
「伊勢に逃げてはいけません! 戦うべきです!! 」
「……竹千代よ、簡単に言うが難しいのだよ……私は負けてばかりだ……」
「今、織田との最前線を守っているのはお父上です! 信定は後方で楽をしているではありませんか!! あのような者に負い目など感じる必要はありません!! 」
困ったように広忠公は考え込む、真っ直ぐな竹千代の目に見つめられ、広忠公の中に眠っていた闘争心が掻き立てられる。
「確かに私の方が最前線にいるのは事実だ……」
「そうでしょう! 伊勢に逃げるべきではありません、刺客が来るなら俺が父上を助けましょう!! 」
「それは有難い、(苦笑)だが、息子に助けられたとあってはカッコ悪いので遠慮しとく……」
「伊勢へ行くと言うならお一人で言ってくだされ、俺は行きませんぞ! 」
「……」
「お父上よろしいですか? 」
「おまえを置いていくわけがなかろう……」
「へっ? 今何と申されました。」
衝撃的な言葉を大人しかった息子に言われてうずくまるようになっていたが……
突然 ガバッと起き上がると
いきなり秀康に抱き着いた。
「私が可愛い竹千代を置いていくわけがないだろおおおおお!! 」
「えええええええ! 」
いったい何が起きたのだ! いきなり親バカ全開で広忠公が泣き出してしまう……広忠公はこんな人だったの?!
拝啓、父上様(家康)、貴方がおっしゃていたような冷酷(竹千代を道具だとしか思っていない。)な広忠公は存在しませんぞ!!
「お父上! 落ち着いてください」
「おお、すまんな…可愛い竹千代がいきなり反抗期に突入したもんだから驚いてしまって……」
「別に私は反抗期ではありません! 事実を申し上げているのです!! 」
「そうだな……確かに今が踏ん張りどころかもしれない……」
この後、何故か二人は意気投合して今後について話し合った……まさにお爺ちゃんと孫だからこそ出来る本音トークだった。これが広忠公と父上だったり、父上と俺だったら、父上が広忠公に、俺が父上に怒りばかり先にきて衝突したかもしれない。
意外な真実を秀康は知ってしまったのでは無いだろうか? そんな悲しい真実に気づいてしまった……史実では分かり合うことも無く、広忠公は無念の死を遂げたのだ…さぞ無念だったに違いないと秀康は思ってしまった。
拝啓、父上様、もしかしたら貴方も俺に対して本当は……
いや(ヾノ・∀・`)ナイナイと思いながらも…秀康は考えざるおえなかった……
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