将軍山城の戦い② 猛将松永久秀
本来であれば細川春之と永原重澄は『将軍山城』から出て布陣する必要は無かったはずである。しかし、今回の戦いは『将軍山城』を防衛するための戦いでは無い。
今回の戦いの本質は『六角氏の京都上洛戦』と『幽閉された細川春元・昭元の解放戦争』である。攻めてるのは細川・六角両家であって三好家では無かった。
六角本隊は左京区に入っていた。城に細川・永原両隊が立て籠もっていたところで意味など無いはずだった。六角本隊が三好勢に攻撃されたら救援に駆けつけられるようにするためにも細川・永原の手勢は城の外に布陣するのは当然の選択だったと言える。
また城には十分な守備兵を配置していたし、城の砲撃陣地は何時でも援護射撃を可能としており、万が一攻められても細川・永原両隊を援護することも出来たので三好勢と細川・永原両隊が戦っても十分に渡り合うことが出来た。敵が予想以上に多い場合は城に一旦戻って籠城して味方が救援してくれるまで待てば良いだけでもあった。
松永久秀「皇都の防衛をすることは『皇国の興廃まさにこの一戦に在り』である。戦乱の世であり皇都が攻められることがあったとして、何時かは誰かが京の都を守って敵の侵入を防がねばならないのだ。各員一層奮励努力して敵の皇都への侵入を阻止するために戦うのだ。」
松永久秀が指揮車両から全軍に向けて演説を行った。その演説を聞いて奮い立った三好軍の全体が士気を高め目的を一つにした。
久秀「全軍敵軍に突撃せよ!」
久秀の命令と共に松永隊の砲兵が砲撃を開始して次に戦車部隊が突撃し、それ続いて歩兵隊が突撃を開始した。典型的な教科書通りの突撃だと言えた。
ちなみに戦車は主にクルセイダー戦車とチャーチル重戦車&マチルダⅡつまり三好氏はイギリス系兵器が多い、あと松平家からの兵器が供給されてきていて少数だが三号や四号、それから88ミリ対空砲などが配備されていた。
細川春之「松永隊が我が方に突撃してきただと?狙いは私か?」
細川春之が考えたのは名目上の総大将的なポジションに自分がいることで松永久秀が自分を狙ってくるというシナリオだった。
六角方は主にアメリカ製が多い、細川勢は三好と同じでイギリス製が多かった。六角勢がアメリカ製兵器が多いのは織田家から送られてきていたからである。つまり六角の背後には織田という訳である。
春之「ならば受けてたとう!全軍敵軍に突撃せよ!!」
こうして松永隊と細川隊が激突、同時刻に永原隊に三好義興隊が突撃したことで激しい戦闘が開始された。その戦いは白兵戦まで行われるほどの死闘へと展開していくことになる。
内藤宗勝「全隊、将軍山城に突入せよ!」
将軍山城の北側から突然内藤宗勝率いる丹波勢が城内に突入してきた。内藤勢は密かに北側から山伝えに城へ接近していたのである。城兵が気付いた時には城壁を越えられていた。
理由は簡単で忍者などの特殊部隊を使ったというのもあるが一番の理由は将軍山城は既に何度も戦場になっており、三好方は戦い慣れていたことに加えて内藤勢は山岳地帯での戦闘が多い丹波勢なので山岳戦闘を得意としていたので山岳戦装備が充実していたことが大きかった。
城兵「敵が城内に突入して来たぞ!城から敵を叩き出せ!!」
城にいた守備隊はすぐさま応戦を始めた。内藤勢は山岳戦に優れているとは言っても地理的優位性と数の上では城兵の方が勝っていた。内藤勢は細い道を渡って来てるので投入出来る戦力に限りがあったからである。
高山右近「やはり宗勝殿は三好随一の名将であり久秀様の弟君だけのことはある。」
内藤宗勝は内藤家に婿入りしてからの名前である。婿入り前の名前は松永長頼である。そう松永久秀の実弟が内藤宗勝その人である。ちなみに本人は内藤家を乗っ取ることを否定するために松永宗勝と名乗っていたという面もあったので現在も松永姓を名乗っていると解釈しても間違いでは無い
内藤氏は丹波国の有力国人であり、宗勝は三好軍の北部方面を担当する司令官でもあった。久秀が出世する前には既に宗勝の方が有名だったので『姉の七光り』というよりも、むしろ久秀の方が『弟の七光り』だった時期の方が長いくらいだったので優秀さは間違い無い、そして将としての才覚は久秀より上とまで言われていた。
右近「城兵は内藤勢の攻撃を防ぐのに必死でこちらが見えていない。砲兵隊、敵の対空陣地を砲撃せよ!」
高山右近率いる砲兵隊は密かに将軍山城の向かいの山に登って砲撃準備を整えていた。城兵は内藤勢の攻撃に夢中で砲兵隊が砲撃準備を完了するまで気付かなかったようである。
右近「撃てええええええ!」
砲弾が『将軍山城』に次々と降り注ぎ、城に築かれていた対空陣地は敵の攻撃を防ぐ暇も無く鉄くずに変えられていった。
右近「ヘリコプター隊を突撃させろ!」
対空陣地が破壊されると同時に後方で待機していた攻撃ヘリコプター隊が離陸して将軍山城の砲撃陣地めがけて突撃して次々と敵の砲撃陣地を破壊して回った。こちらも防御弾幕と回避をする暇も無く撃破されてしまった。
重澄「なに!敵が将軍山城に攻撃をかけてきただと!!」
突然の知らせを受けた永原の決断は早かった。すぐさま城へと戻り将軍山城を防衛することにしたのである。
春之「重澄殿が城内へ戻れるように援護しろ!」
細川隊は永原隊が城内へ戻れるようにと敵の攻撃を一手に引き受けることになった。何とかして城内に永原隊を入れて態勢を立て直して籠城戦に切り替えるつもりだったのである。
柳生宗厳「敵が後退してるぞ!突撃せよ!!」
後の徳川家剣術指南役として大和国一万二千石の大名として繁栄することになる柳生家は松永久秀の家臣として三好方にいた。柳生宗厳は新陰流の創始者らしく勇猛で優れた武将として知られていた。
ルイス・フロイス「重剣士隊を突撃させなさい!」
この時、なぜかルイス・フロイスが松永軍の中に加わっていた。久秀が足利義輝にキリスト教を京都で布教できるようにと取り計らってくれたお礼というのが表向きの理由だったが実際は松永勢にキリスト教徒が多かったのでフロイス達としては久秀の勝利のために露骨に加担していた。
ちなみに松永久秀の側近の高山右近がキリスト教徒だったし、久秀の弟の長頼の息子である内藤忠俊は洗礼を受けて如安と名乗ることになってりと松永家とキリスト教徒は関係が深かった。
ただし、久秀は元僧侶だったし、仏教勢力との付き合いも深いので露骨にキリスト教徒を支援していると見られる嫌っており、時にはキリスト教徒追放令を出すこともあったがミサやクリスマスなどの行事に度々顔出しているので隠れキリシタンなのでは?という疑いが持たれるくらいだった。
もっとも家族友人が参加しているイベントに顔出してるだけ!という面も拭えなかった。本人はファッション感覚で十字架を持っている人々と同じ感覚だったとも言えるが……そう言いつつ割とガチな説教やお祈りにも参加していたりと
いろいろ謎で複雑な関係が久秀との間にはあった。
とにかく!ルイス・フロイス率いるイエズス会勢力は久秀勢と共に戦場にいて西洋甲冑を着た騎士達が戦場で戦っていたのである。
蒲生定秀「義賢様、将軍山城に援軍を送ってはどうでしょうか?私が行っても構いません」
蒲生定秀は佐和山城という近江国の中心部にある城の城主である。佐和山城は後に石田三成の居城となり、井伊直政が入城して廃城となり、近くに彦根城が築かれたりしている。要するに近江国の重要な拠点だった。そこを任されていた六角家の重臣家系が蒲生氏である。
後藤賢豊「将軍山城が落ちるとは思えません、それに後方に置いた砲兵が無駄になります。」
六角本隊は左京区の吉田神社のある神楽岡に布陣していた。将軍山城が攻撃されたという報告を受けたことに動揺しつつも当初の作戦を変えるかどうかで揉めていた。
六角義賢「様子を見るしかあるまい……」
六角義賢は状況が分かるまで様子見をするしか無かった。
実は三好方は敵方に正確な情報が渡らないように包囲網を形成して妨害電波も出して邪魔をしており、六角方は正確な情報を把握するのが困難だった。それに有利なはずの将軍山城が陥落したなどというのは虚報の可能性も高く、下手に動いて敵に本隊が奇襲されることを恐れてもいた。
重澄「もはや……ここまでか」
将軍山城で戦っていた永原重澄は城に入って必死の抵抗を続けたがものの態勢を立て直すことは出来ないまま乱戦となってしまい遂に本丸まで追い詰められてしまった。
重澄「春之殿がどうなったのか……分からないのは心苦しいが」
重澄は既に追い詰められており、永原隊は最後の一兵になるまで戦っていた。
重澄「降伏などあり得ない!最後まで戦うのだ!!」
重澄が味方を鼓舞した瞬間に三好方の砲弾が本丸に直撃した。
永原重澄は討ち死にした。
春之「最後の一兵になるまで戦え!」
実は重澄が死んだ時、まだ春之は生きていた。しかし、追い詰められていることは変わらなかった。細川京兆家の当主として最後は切腹による自害も出来たが……余りの屈辱的な敗北が許せなかった春之と細川隊の兵士達は文字通り最後の一兵になるまで戦った。
細川春之 討死
こうして劣勢だと思われた三好方は将軍山城を攻略することに成功した。
久秀「勢いは我が方にあるぞ!このまま六角本隊に突撃せよ!!」
松永久秀の命令により、すぐさま反転した松永隊は六角本隊に向かって突撃した。
吉田重政「砲兵隊、敵が近づいて来たぞ!砲撃を開始しろ!!」
吉田重政は六角家の重臣で吉田流砲術の達人だった。吉田隊は接近してきた松永隊を見て遂に砲撃する機会を得たのである。
六角家の吉田砲兵隊の砲撃を受けた松永隊は六角本隊を目の前にしながら……敵の砲撃で甚大な損害を出してしまった。
三好義興「母上、ここは一旦撤退を!」
久秀「ふざけるな!敵は目の前だぞ!!」
どうしても六角本隊を叩き潰したい久秀が暴れ始めたが義興によって久秀は半端強引に後退させられた。
義賢「敵が逃げ行くぞ!追撃して壊滅させてやるのだ!!」
定秀「お待ちください!」
義賢「なんだ!」
定秀「高山右近と柳生宗厳の部隊が見当たりません、これはワナです。敵は我々が追撃してきたところを挟撃して壊滅させることを狙っております。」
賢豊「まさか……」
義賢「なんということだ。」
勇猛で知られていて先ほどは将軍山城に救援に行きたいと言っていた定秀の意見を聞いて義賢も冷静さを取り戻してよく考えて見れば定秀の言っていることは嘘では無いと気付かされるのであった。
定秀「ここは一旦退却して態勢を整えて再び上洛を仕掛けるのが良いと思います。」
義賢は定秀の提案を受け入れて追撃を中止して撤退を開始した。
…
…
…
久秀「なんで敵は撤退するのだ?」
義興「母上の作戦がバレたのでしょう……」
義興が久秀の顔を窺うと今まで見たことが無いような鬼の形相で久秀が六角本隊を睨みつけていた。
久秀「ここで全滅させられないのでは何もかも意味が無いでは無いか!」
三好方の損害は甚大だった。とくに松永隊の損失は凄まじく
戦車隊とくにチャーチル重戦車などの重戦車の損失は全滅と言ってよかった。死者も負傷者も多く
大坂の情勢が悪くなれば……京都方面は絶望的な状況になるのは見えていた。




