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斯波家に栄光あれ!!

 秀康が信長との話を斯波義銀に話すべく、一緒に桑名に来ていた義銀の元に行くことになった。斯波義銀の方は会いに来た秀康一行を見て喜んだのか笑顔で会見に臨んできた。


「信長殿が京都滞在中と道中の協力を願い出て来てますが、どうしますか?」


「別に構わないんじゃないか?」


 義銀の方はムスッとするものの意外とあっさりと信長との協力を受け入れた。


 すっかり忘れ去られ始めた嘗ての織田家の主君にして鎌倉時代には本家の足利家と同じく御家人に任命されていたために分家とはいえ形式的には同格であったほどであり、そのため執事では無く、『天下を管領する!』という意味で斯波義将が管領に就任後、細川、畠山と共に三管領一族として代々管領職を独占した。支配地域は本拠地の尾張を中心に最盛期は越前や遠江国にまで広がっていた。そこまで栄華を誇った斯波家もすっかり没落した。


 そんな状態とはいえ義銀は今だに織田家を自らの家臣と言ってはばからずにいたのである。時代錯誤と言えば時代錯誤だが…それが義銀の意地であった。


 であれば、なぜ信長と松平の関係修復を黙って黙認するのか?という疑問があるだろう…


 その最大の理由は織田よりも義銀が敵視する存在がいたからである。


 それは足利将軍家である。


 先ほども述べた通り、斯波家は鎌倉時代においては足利家や武田家と同じ御家人であった。つまり同格である。それにも関わらず足利家に忠節を尽くしてきたのである。にもかかわらず足利義輝は簡単に斯波家を見捨てたのである。


 そのことを如実に表すのが京都の武衛屋敷への処遇である。京都の武衛屋敷は現代の二条城付近にあった巨大な斯波家の屋敷である。二条城が江戸幕府の京都支配の象徴になったのは単に立地だけではない。斯波家の屋敷が嘗てあったためであると断言しても良いのである。それほど重要な屋敷だっただけに『家無し将軍』の足利義輝は武衛屋敷を間借りしていた。つまり斯波家の居候だったのである。


 その居候風情が!勝手に武衛屋敷を織田家に譲り渡したのである!!お陰で斯波家は益々没落したことを天下に宣伝されてしまった。


 それだけではなく、先の和平条約では特に斯波家に関して言及されていなかった!!!


 まさに斯波家は足利義輝に見捨てられたのである!


 そっちが、その気なら、俺にも考えがある!


 これが斯波義銀の本音であった。


「何が良いんですか!信長など斬ってしまった方が良いんじゃない?」


 相席して二人の会話を聞いていたヒメが恐ろしいことを言う。


 ヒメは秀康の京都上洛に付いてきていて親戚の義銀と一緒に居たのである。そんなヒメは義銀の内心を察していたのである。


「いや、そういう訳にもいかないだろうし、道中別行動にして襲撃されても面倒だから協力した方が効率いいだろう?」


「やられるなら先にやってしまえば良いんです。」


「上洛途中の相手を襲って殺すほどのメリットは無いからいいよ、それより協力し合った方が情報が手に入りそうだから、秀康殿には、その辺お願いします。」


 義銀殿は信長殿と協力することに抵抗は無く、むしろ積極的に情報を引き出せと言ってきた。


「それは良いんですが…契約書を結ぶときは名義は義銀殿で良いですか?」


「連署なら良いよ。」


「分かりました。」


 意外と義銀殿は慎重な方なのかも知れない。そして信長殿とは会う気が無いらしく、俺に信長殿との交渉を一任して来た。


 ヒメが不満そうに秀康を睨んでくるも義銀も秀康も知らんぷりしながら話を進めていった。ヒメの方も顔で不満を表現する以外は特に行動に出なかった。


 秀康達は六百以上、信長達が八百以上、義銀殿達が三人以上という軍勢となった。移動は全て車両を使った陸路となった。


 京都向かう途中の道は互いに協力して敵の襲撃を警戒しながらの上洛となった。


 出発の準備をしている間に起きた出来事と言えば忠勝が信長達と別れてからは憮然とした態度を解いたうえで先ほどの料理が美味しかった!という話を正信達にし始めたことである。


「美味しかったのだー」


「だったら笑顔で食べれば良かったじゃん!」


「それは嫌なのだ!」


「…」


「伊勢エビもだけど、肉が美味しかったのだ!」


「海老を二つ平らげて松坂牛を食べたからね!!」


「松坂牛と言うのか?」


「そう、松の坂を下りながら育つ牛のことよ!」


「何か嘘付いてないか?」


「そう?私は本当のこと言ってるよ?」(すっとぼけ)


「ふーん、まぁいいや、それよりも松坂の牛の刺身が美味しかったのだー」


「確かに美味しかったよねー」


 忠勝の間違った知識の大部分は正信のせいに違いないと思う秀康であった。


「秀康きゅん、京都に信くんと一緒に上洛しているって本当?」


 京都に向かっている途中に武田晴信からメッセージが来た。


「ええ、何故かそうなりました、というか、どこから情報得て来たんですか?」


「信くんが教えてくれた。」


「仲いいんですね。」


「良く話すからね!氏真ちゃんとヒメちゃんとも話してるよ!」


 どうやら、いろいろな人と、やり取りしているようである…うかうかしていると情報を抜き取られまくりそうだと思い少し警戒しながらメッセージを送ることにした。


「少し警戒しているでしょ?」


「そんなこと無いですよ!」


「嘘だ!顔に書いてあるよ!!」


 何か怖くなったので車内にカメラが付いてないか確認したりした。


「顔は見えてないですよね?」


「それは意外!見えてるんだよなー」


 本当のような気がするから止めて欲しいと思う秀康だった。


「春ちゃんは上洛しないの?」


「将軍に今は興味ないから行かないよ!」


「いつ興味でてきそうですか?」


「禁則事項です!」


「そこをなんとか!」


「そうだな、景虎を倒して景虎を引き連れて自慢する時かな?」


「景虎はペット?」


「え!?違うの?」


 本当に思ってそうで怖いなぁ…


「信長殿とは何話すんですか?」


「信くんとは良く天下とは何かを話すよ!」


 なにそれ、聴いてみたい!と思う会話である。




「義元公とは?」


「麻雀の話をするよ!」


 一気にレベルが下がった気がする。というか義元公を貶めてません?


「この前、勝ったから…支払いは?と聞いたら…塩止めるぞ!と脅迫されたよ!!秀康きょん味方になってー」


「それはご愁傷さまです。」


「秀康きゅん、冷たいね…」


 冗談とも思えない話は止めて欲しいと思う。


「賭け麻雀しているんですか?」


「そう、国を賭けた麻雀をしているんだよ!」


「…」


 麻雀で国を賭けないで欲しいものである。


 という風に晴信殿と会話をした。



 こうして秀康一行は京都へと向かったのである。

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