出会いと旅立ち viii
気づけばこのタイトル8回目ですね。すいませんorz
もうしばらくすれば脱出しますから!!多分!!
それまでしばしお付き合いくださいorz
ダグラスの家に着くと彼は、
「また明日な」
そうとだけ告げ、半分無理矢理に明日も会う約束をつけると石窯のような家へと姿を消した。
無言でその背を見送ると、赤く色を変え始めた太陽を視界の端に入れながら、村から家へと続く狭い荒れ道を歩く。
「一体なんだって言うんだよ……」
立ち止まって石ころを蹴飛ばす。 ただの石はなんの手応えもなく弾かれ、狭い道から外れた石ころは藪の中へと消えた。
腰のあたりまである葉に混じって幾つかの白い花がひっそりと咲いている。
昔から、名前も知らないままにずっと見てきた花だ。 手にとってみると柔らかな花弁に艶やかな蜜がほんのりと香った。
「なんか……」
続きは出なかった。
土産にと一輪摘むと足早に家に向かう。
家の方からはほっそりとした白い煙が空に向かって根を伸ばしている所だった。
家の真横に生えている二本の木の間に一本のロープを張ってそこに洗濯物が干してある。
追加で洗濯物を持ってきたイルアナがジグを捉えた。
「おかえり。 ちゃんとみんなの所に行ってきた?」
いくらか棘を含んだ口調でイルアナは言う。
「ただいま」
意味なかったか、などと思いながら手の中の花をそっと撫でた。
「行ってきたよ」
「そう。 あ、中で鍋火にかけてあるから、焦げないように回しといて」
面倒なことを押し付けられた、といった様子で渋面を作りながら家に入るジグを、イルアナはいたずらな笑みを浮かべて見送る。
ドアを開けると聞き慣れたスズの音が聞こえ、その澄んだ音が先の打ち合いでまだくすぶる様な熱を持った体を冷やしてくれた。
「おかえりなさい」
スズよりも混じり気のない透きとおるような声、どれだけ離れていても聞こえて来る様な、空気ではなく心を伝って来る様な少女の声は凛と響いた。
「……ただいま」
少女の金髪が暖炉の灯りを受けてきらめく。
「いや、なんで……」
「わたし」
少女は半ば食い気味に言葉を発する。
「は、まだお礼もいってませんし」
「なにより」と、ハンナは続ける。
「まだお名前を伺ってません」
言われて、初めてジグ自身もそれに気づいた。
「そんな、母さんはなんて……」
ああ、と少女は柔らかな笑みを浮かべる。
「イルアナさんが行く当てがないならウチにいればいいとおっしゃって下ったので」
どうやらちゃんと許可をもらっている様だ。
「でも、お前大丈夫なのか?」
次は首を傾げ分からないといった顔をする。
「何がですか?」
「いや、家族の人とか…… 家出とかなら帰った方がいいと思うし」
ああ、とまたも、今度は窓の隙間から漏れる風のように、小さく苦笑いを浮かべながら、
「大丈夫、ですよ。 家出じゃない、ですから……」
俯いて表情はよく見えなかったが、その声音から、拒絶するような意志が感じ取れた。
どことなく気まずくなってしまい、ジグはそうだ、と鍋に向き直る。
「俺、これやらないといけないから、ハンナはそこにでも座って待ってて」
ハンナの方を見ず、簡素な木製の椅子を指すと、自分は鍋の中でグラグラと煮えたぎっている野菜達をおたまでかき混ぜる。
「ありがとう、ございます」
ハンナは蚊の鳴くような声で告げるとフラフラと椅子に座り込む。
「なんか、ごめん」
面と向かっては恥ずかしく、背を向けたままで謝ると、小さく「はい」と返事が聞こえた。
「明日さ、ちょっと森に行こうと思うんだけど、一緒にどう?」
お詫びにという気持ちで発したことだが、森に誘われて嬉しいのはジグぐらいであるということに本人は気づいていない。
「え? あぁ、はい。 嬉しいです」
少し戸惑った様子で返事をするハンナにジグは内心おや?と思う所もあったが特に気にしなかった。
「それじゃ、明日は朝から弁当持って出発だな」
「あ、朝からですか?」
朝はちょっと、と困り顔を向けるハンナと、では昼からにしようか、ということに決める。
味見にスープを一口啜ってみると野菜の優しい甘みが舌一杯に広がった。
あれですね、ハンナちゃん久しぶりに出てきた気がします……おかしいなと思えば約3話ぶり!
プロローグ抜いて8話しかない内の3話ぶり!
ジグ君男との絡みばっかですいませんorz