出会いと旅立ち x
変な位置になってすいませんorz
ツマラナイ話は本来章間に置く予定だったのですが、あまりにも進展・刺激が足りないのであげた次第です。
なのであれがしばらく最新話扱いされるので、定期的にご覧いただいている方々には読みにくいことかとは思いますが、しばしお付き合いくださいorz
一歩足を踏み出せば、落ち葉のむっと湿り気を帯びた香りが鼻に広がる。
振り返ると、ジグの足跡を辿るように、やや無理な歩幅で歩くハンナがジグを見返した。
「どうしました?」
ハンナは亜麻色のスカートを揺らめかせ、舞うように跳んでジグに近寄る。
「いや、こんな所にきてもやっぱり楽しくないのかなぁ、なんて」
ジグは曖昧な笑みを浮かべながら言った。
森歩きが自分の趣味ではあるが、それが一般的であるかと言われれば首を傾げてしまう。 今もハンナが楽しめているかどうか分からない。 ジグ自身、ダグラス以外の人と森に入ることはないため緊張している。
普段森に来る時も何かを楽しみに来ている、というよりもただ森の空気感が好きなだけなので、どこがいいかなど説明できるわけでもない。 そんなことなら寧ろ村の案内の方が得意だろう。
そう思うと森に誘ったのは間違いだったのではないかと思えて来るのだ。
「本当、ただ歩いてるだけだしさ。 これと言って楽しいこともないだろ?」
苦笑いを浮かべるジグに、ハンナは首を振って応える。
「そんなことありません。 前はあまり外出することがなかったので…… 昔から森というものに憧れてたんですよ。 昨日は暗くてよく見れませんでしたし」
ハンナの晴れやかな笑顔に救われたが、何か引っかかるものがあった。
風景の一部に薄い霧がかかっている様な違和感、気にしなければそれまでの様なそれに気をとられ、ジグの思考は鈍る。
「あ、もしかして、見せたいとのとはあれのことですか?」
ハンナはジグの向こう、木立の間を指差して言う。
それは昨日ジグの見つけた森の草原。 木の影の腐葉土とくっきりと別れた青草の大地は、僅かに残る露が光を反射し輝く。 中央には周囲の木々より二周りほど大きな木が屹立し、まるでそれのせいで樹木が敬遠しているようだ。
「え、あぁ、そう。 いや、でも……」
ジグが何事かを思い出すように思案顔になっている中、ハンナはそこに向かって駆け出した。
跳びはね、回り、踏みしめる。
草はハンナの体を受け止め、一瞬その形を残すとすぐに元に戻る。
まるで踊るようにくるくると回っては、風を含んだワンピースをくらげのような形にして笑う。
ジグはしばしそれに目を奪われていたが、思い直してその奥の木に目をやった。 ジグの記憶が正しければ昨日はあんな木はなかったはずだ。 となるとここは昨日とは別の場所と言うことになる。
しかし、そうなると今度は森を歩き慣れた自分の感覚を疑うことになり、それもジグからしてみればありえないことであった。
どうしたことだろうかと呻いているジグに気づいたハンナが駆け寄って来る
「どう、したんです?」
髪にまで葉屑をつけ、息を切らしながら問いかけるハンナに、ジグは今は悩んでも仕方が無いと割り切る。
「なんでもないよ。 帰りは友人の所に寄って行こうと思うんだけどいいかな?」
ハンナは笑顔で頷くとジグの手を引く。 連れだって中央の木の根元まで行くとそこに腰を下ろした。
ハンナは体についた葉の切れ端を払うと一度咳払いして目をつむる。
ジグはそれをどうしたものかと多少の居心地の悪さとともに見る。
ハンナが口を開いた。 すっと息を漏らすようなか細い音が聞こえる。
風が二人を突き抜け、流れのまま草原を吹き渡る。 それに寄り添うように、風に乗せ何処かへと飛ばすように、ハンナは歌いだした。
歌詞の無い、少なくともジグには分からない、ただ美しい旋律だけが風に乗せられ空へと舞う。
ハンナの歌声に呼応するように風が勢いを増したり弱めたりする。 青草もそれに揺られて踊り、戯れる。
ジグはこの歌を何処かで聞いたことがある気がした。 歌詞の無い、抽象的な歌。 どこで聞いたものか、それが思い出せない。 あの村から外に出たことが無い自分が、なぜ、何処か、などと言う思いを抱くのだろうか。
わからない、わからない。
ただひたすらに耳を傾けるだけしかできない。
無理に心を震わすのでなく、ゆりかごのように優しく揺らしながら語りかけるような歌だ。
ジグは心の中がからっぽになっていくような錯覚を覚えた。 それは虚無の恐怖ではなく安らぎを運んで来る。
ゆったりとしたメロディの中、ジグはゆっくりと思考の海へと心を投じていった。
二回連続で毎日投稿していますが、毎日投稿にきりかえたわけではありません。
一応は毎週火曜・金曜の18:00更新ですのでそれを基準に考えてくださいorz




