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壊れるはなし

作者: おろかなこねずみ

いたい、いたい、いたい、壊れてしまう。


壊れるってなにさ。


心だよ。


心ってなにさ。


生き物が持つものだ。


壊れて問題はあるのかい。


あるさ。


言ってみなよ。


嬉しいことや悲しいことが分からなくなるんだ。


それのどこが問題なんだい?


例えば君との会話で楽しいってのが消えたり、嫌だってのが消えたり、とにかく嫌なんだ。


私は一向に構わないね。


どうしてさ。


何も思わないからさ。それに壊れてしまった方が都合がいい。その嫌だって気持ちも消えてしまうんだろう。問題ないじゃないか。


そうか…君は僕との会話に何も感じやしないんだね。ああ、いたい。壊れてしまう。止まるんだ、心が壊れて体の中の時計も止まってしまう。


そうかい。


君と会話することが楽しかった。それもおしまい。

お休み、君。せめて最後の挨拶くらいは返してくれるだろう?


よいよ。おやすみ。


ああ…いたい…、おやすみなさい。


心臓のノックする音は変わらないのに、それはしゃべらなくなった。かれは時計が止まるだなんて、詩的な表現で生命活動の終わりを示唆したがそんなことは起きなかった。まぁ確かにあれ以来目を覚ますこともないが。だとすると、止まったのは目覚まし時計か。


生き物が死ななくなった世界で、どうやら彼が最後に感情をもった生き物だったらしい。天から羽を生やした悪趣味な生き物が来て、ここは楽園ですねと話し掛けてきた。


喜びも悲しみもない、生命に溢れた世界をそれは愛しげに見てそう話す。素晴らしいと。


これもどうやら壊れているらしい。眠っている彼はここを地獄のようだといった。私はそういった彼にこう返した。君たちが望んだ理想郷だろう?誰も死なず、不幸にならない。私は叶えてやったのだ。


ああ、素晴らしい。


羽の生き物が述べる。


流石、かみさまです。

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