第XX話 奇跡
最初、開かずの間は、与田直美とその仲間が人知れず、お互いの血を舐めあう場所だった。
菊池正行と出会って以降は、3人で会う場所になった。
血を舐めあうだけではなく、お互い愚痴を言い、お酒を飲んだり、煙草を吸ったり、S○Xをしたり、日頃を出来ない悪いことをして、日ごろの鬱憤を晴らす場所だった。
ある時から魔女たちの夜会、サバトと言うようになった。
彼女たちは、血の飲み合うにつれて、自分たちを吸血鬼だと考えるようになっていった。
特に、菊池正行は、自分が吸血鬼と呼ばれることを大変気に入っていた。
病弱な菊池正行にとって、不老不死の存在である吸血鬼は憧れの存在だった。
そして、菊池正行にとって、自分が吸血鬼として振る舞えるサバトだけが、自分の死の病を忘れられる唯一の機会だった。
途中で、シスターに見つかり、存続が危ぶまれたが、シスターの取り込みに成功したことにより、規模がどんどん大きくなって行った。
サバトは彼らにとっても日ごろの鬱憤を晴らす場所になった。
大きな転機は、菊池正行がサバトの途中で体調を壊したことだ。
学校の外に運び出し、救急車を呼んだが、二日間の昏睡の後、菊池正行は死亡した。
与田直美と谷繁久美子たちは、菊池正行の死の責任を感じる一方で、罪の意識から逃れるために、菊池正行を本物の吸血鬼として考えるようになった。
菊池正行は、死なない。
いや、菊池正行は死ぬことにより、本物の吸血鬼として生き返るのだ。
現実逃避や吸血鬼の伝説が、奇跡と結び付いた時、菊池正行は吸血鬼として甦った。
そして、彼女たちは、それを喜んで受け入れた。
吸血鬼が彼女たちの血を飲んで、奴隷にしたのではない。
彼女たちが血を捧げて、吸血鬼を生み出したのだ。




