プロローグ
「今日がとても楽しいと明日もきっと楽しく○ そんな日々が続いてく○そう想っていたあの頃・・・」
昔の歌だけど、良い歌だと思う。
好きな歌だ。
でも、どんだけ馬鹿なんだ。
そんな楽しい日々が続くはずが無い。
私は今、人生の絶頂期に居る。もうすぐ下り坂。
残り数年の輝きだ。あと数年経てば、明るく楽しい人生は終わり。
そして、10年も経てば、私たちも、おばさんだ。
このまま、時が止まってくれればと思うけど、そんなことは無理だ。
いっそう若く美しいまま死んでしまいたい。
大人になれば別の楽しみが見つかるとある大人は言う。
年を取ったら、その年齢に会った楽しみが見つかるとある大人は言う。
S○X?
もう、やってるし。
結婚?
子育て?
そんなの楽しいの。
公園では楽しそうだけど、家では暗い顔している人を私は知っている。
仕事?
駅ですれ違うOLやサラリーマン、おっさんたちは、本当に生きているの。
みんな、一人でいるときは死んだような目をしているじゃないか。
あいつらは、生きた死体だ。
元気なのは、オバサンだけだ。
でも、私はオバサンなんて死んでも嫌だ。死んでもなりたくない。オバサンになるくらいなら死んだほうがマシ。
そんな人生嫌。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
◇ ◇ ◇ ◇
私は、彼に出会ったとき運命を感じた。
世の中には普通の人とは違う特別な存在が存在する。
ただ単に、人間の基準で、頭が良いとか、お金があるか、そういうのではない。
明らかに、神の基準による特別な存在。
いや、神の基準からも外れた存在と言うべきだろうか。
それが彼だ。
私は選ばれた人間ではない。特別な人間ではない。
選ばれた人間、特別な人間に憧れる普通の人間だ。
そんな私であっても、運命の転換期、運命を変える瞬間と言うのは判る。
私は彼に声をかけた。その瞬間、私の運命が大きく変わり、私の世界が変わったのが私には判った。