表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】入れ替わり聖女は恋を知る~王子だった僕が、初恋で世界一かわいくなるまで~  作者: 木風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/58

第二十一話 レイの本音と本能②

女子高生の時も、女子大生の時も幾度となく感じてきた視線。

それが私の身体、というかルカに向けられているのを、こうして客観的に見るのはかなり複雑。


もし婚約していなかったら、今頃はナンパの嵐に飲み込まれて、文字通り身ぐるみ剥がされていたんじゃなかろうか。


「レイっ!!」


満面の笑顔で、重なるレースのスカートをふわっと揺らしながら、ルカが私の方へ駆け寄ってくる。

軽い足音。ひらり、と裾が舞うたびに、周囲の視線が一斉に吸い寄せられるのがわかる。


もう……仕方ないなぁ。私の顔で、ルカが嬉しそうに笑っている。

その造形にルカの純真な魂が宿って放たれる笑顔に、私はどうしようもなく弱い。

ちょっとでも油断すると、顔が緩んでしまう。


「レイは着替えないの?クラスの出し物、執事喫茶も兼ねてるんでしょ?」


小首を傾げ、上目遣いで私を見上げてくる。

その動きだけで、胸の奥がきゅっと掴まれる。危ない。


「着替えないって。普段の制服で十分でしょ。私は後半の劇の時に、王子の衣装に着替えるだけかな」

「そっかぁ。レイの執事姿、見てみたかったな。絶対にかっこいいもん!あっ……でも……」

「ん?」

「……やっぱりダメ。そんな姿、みんなに見せたら、女生徒たちがみんなレイのことを好きになっちゃうよ。それは嫌だもん」


さらっと、爆弾を投下された。しかも無自覚で。

私は一瞬、呼吸の仕方を忘れる。ほんの一瞬。


「ぶっ。ないない!何を言ってるの。モテ要素なら、今のルカの方が百倍やばいんだからね?」

「えぇっ!僕が!?」


そんなに意外?ってくらいに目を丸くして、ルカは照れ隠しをするようにツインテールの先を指でくるくる弄り始めた。

……その『くるくる』が、どれだけ男子の破壊衝動を煽るか、この子はこれっぽっちも理解していない。

ああもう、やめて。そこ、可愛いの暴力。


自分がどう見えているのか自覚がないというのは、時に罪深い。

私のほうが心配になっちゃう。というか、私の胃が痛い。


「ね、レイ!店番の時間が来るまで、色々周ろう!焼きそば、半分こしようね!」


そう言って、ルカが私の腕をぐいぐいと力強く引っ張っていく。

細い指先のはずなのに、嬉しさの勢いがそのまま力に変換されていて、逃げ道がない。

腕に触れるたび、制服越しに体温が伝わってきて、妙に意識してしまう。落ち着け、私。本当に。

ほら、また。周りを見て。男子生徒の視線が釘付け。

私の背中には、彼らの羨望と嫉妬が刺さって、痛いくらいだ。


最初は天使だと思っていた。けれど、今ならはっきり訂正できる。

この子は、小悪魔だ。それも、自分が小悪魔であることに一ミリも気づいていない、真正の。


私はもう、単なる可愛い同居人として彼を見ることができなくなっている。

私の意思とは無関係に、この男の身体は、ルカの無垢な振る舞いに翻弄される。

熱く脈打って、勝手に反応して、容赦なく私を困らせるの。


やめて、ルカ。お願いだから、そんなに無防備に笑いかけないで。

心がぐちゃぐちゃにかき乱されっぱなしだ。


だから、私は距離を取っている。

お風呂に一緒に入るのをやめ、添い寝を断り、ルカの無邪気な誘いを、時に冷たく突き放す。

そうしなければ、この身体に潜む『本能』に、私の心が飲み込まれてしまいそうだから。


辛いけれど、これでいい。

半年後、身体が元に戻れば、この苦しい想いも、きっと薄れていく。

元の世界に戻れば、私はただの女子大生に、彼は一国の王太子に戻り、二度と交わることもない。


だから、お願い。

神様でも、痴女スタイルのお母さんでもいい。

魔法が解けるその瞬間までは、もう少しだけ、彼の隣にいさせてほしい。

繋いだ手の熱さを、忘れないでいられるくらいには。

ブックマーク、★★★★★、リアクション

よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ