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お願い NO.8
アリアーナと朝食を取り始めてから2週間程して、アリアーナが初めて真剣な顔で何かを話そうとしていた
「何か言いたいことがあるのか」
「ヘンリー伯爵様 ね こ こ、子猫を飼っても宜しいですか
お暇するときには必ず一緒に連れて参りますから」
「どうしたんだ」
「離れの庭園に迷い込んでおりました
足を怪我しておりましたので、手当てをしたら離れがたくなってしまい」
話の最後は必死になって、縋りつくような顔をしてた
こんな表情もできるのかと思った
その顔が一生懸命でかわいらしいと思いつつ、離縁が前提なのが気に入らずに
「猫など元気になったのなら離せ」
「はい、、、」
と言ったきり俯いて泣きそうなアリアーナを見て、己の薄情さに情けなくなった
「とは言っても、また、子猫が怪我をしても困るから、飼っても良いだろう」
「あ、ありがとう存じます」
その時のアリアーナのはにかんだ笑顔は、初めて見る心からの笑顔だった
ヘンリー伯爵と呼ばれたことは、自分が言ったことながら後悔しかない