ウィリアム視点 NO.2
アリュー伯爵家は古い家柄だがこれと言って目立つこともない
現アリュー伯爵の妹は、夫のバリュー子爵が王国の外交部の文官であったので諸外国へ赴任を重ねていた
アリアーナは両親と死別し、アリュー家へ引き取られ、正式に養女になったと聞いている
婚姻契約は私がサインを済ませたものを侍従に渡した
契約時に私自身はその場にいなかったので、アリアーナを初めて見たのは初夜の晩だった
アリアーナの美しさは一瞬言葉を忘れる程だった
大陸北部で過ごしたからか、きめ細やかな白い肌と美しい横顔
そして、特に髪と同じプラチナブロンドの長いまつ毛に彩られたオッドアイ、右目はアクアマリン、左目はゴールド、その美しい瞳は見続けると全てを見透かされそうだった
「早く部屋にもどってくれ」
と乱暴に言ったことは、勝手に決められた婚姻へのいら立ちと共に、初めて見たアリアーナに対して説明しがたい気持ちもあった
「1年後には離婚する」と言ったのも本当はアリアーナに心を動かされた自分に驚き思わず出た言葉だった
今まで女性に心を動かされたことなどなかったのに
婚姻は家の繁栄の為にすると、当然の様に考えていたのに
私は翌日には辺境の地へ行軍することになっていた