ウィリアムの訪問 NO.10
ウィリアム様が登城されるので、お見送りの為に玄関ホールでお待ちしてました
「今宵ホワイティを見に行ってもよいか」
その意味が暫く分かりませんでしたが、直ぐ、頷きました
顔が真っ赤になってるのをウィリアム様に気づかれたと思うと余計にぎこちなくなってしまいました
ホワイティのことから、たくさんのお話をするようになって、心優しいウィリアム様に惹かれる一方で、これから訪れるお別れを考えると切なさで胸が一杯になります
私の後ろで待機していたマリーが早速ホワイティをシャンプーしてふわふわで真っ白にしました
もちろん、私はこれでもかという位に磨き上げられました
「奥様 お背中の肩の下辺りに小さな白いお美しい模様がありますね まるで白百合のつぼみです」
「えっ 少しも気が付かなかったわ いつからあったのかしら 気持ち悪くないかしら」
「私がお傍に使えさせて頂いた時にはもうございましたが、とても美しいです それにほんの小さなものです」
と、言って鏡で見せてくれました
私は驚きましたが、いつか消えるだろうと気に留めませんでした
極小さいので、マリーには百合のつぼみの様に見えたのですが、私は傷跡位にしか思いませんでした
どこかで打ったのでしょう
一日中落ち着きませんでした
ウィリアム様は、なかなか帰宅されなかったので、事故にあったのでは、と暗い考えが頭をよぎったり、お約束を忘れられたり、といろいろ考えてしまいました
そもそも婚姻契約にあるのだから、何を期待してるのでしょうと恥ずかしくなりました
ウィリアム様をお慕いしても、お別れを思うと苦しくなりました
ウィリアム様は、その日深夜にお戻りでした
もういらっしゃらないと思いましたが、夜更けにドアをノックする音が聞こえマリーが扉を開けました
ウィリアム様が入ってこられました
マリーはそのまま部屋を出ていきました
「すまない こんな時間になってしまって 一目だけでもアリアーナに会いたいと急いで帰って来た」
「お帰りなさいませ お会いできて嬉しゅうございます ヘイリー伯爵様」
安堵と嬉しさで涙が後から後へと零れました
ウィリアム様は私を抱き寄せて、唇を重ねました
「ウィルと呼んでほしい 自分で言っておきながら呆れる」
「ウィリアム様」
「ウィルだ」
「ウィル様」
「二人だけの時だけで宜しいですか?」
「私のこともアリアと」
「アリア かわいい」
アリアは俯いていたが、首まで真っ赤になり恥ずかしがっていた
それも、可愛らしくて目が離せない
「ホワイティはもう寝たのか」
「一日の殆どを寝ております」
「そうか アリアの傍らで一日中寝られるなんて羨ましいな」
「その様なこと」
私は愛されてると勘違いしそうになりながら、ウィル様への気持ち抑えることができません
「明日からまた、1週間程出かける 帰ってきたらアリアの好きなことを一緒にしよう」
「好きなこと? 難しい」
「好きなことが思いつかないのか?」
と、言ってまた、抱き寄せられました
朝起きると、ウィル様はもうお出かけになったあとでした
何と言う事をしてしまったのかしらと自己嫌悪に陥りました
テーブルの上にウィル様からの手紙がありました
可愛い寝顔をずっと見ていたい
1週間後が楽しみだ
行ってくる
ウィル
嬉しさで舞い上がりそうでした




