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アリアーナの過去 NO.1

私アリアーナ・アリューは本日ディバイン公爵家嫡男のウィリアム様へと輿入れしました

元は子爵令嬢の私が公爵家へ嫁ぐなど考えられないことです



私の父は子爵でしたが、領地は無くモンティニュー王国外交部に席を置く文官でした

生まれた時には既に外国で生活しており、13歳で王国へ初めて帰国することになりました

政情不安であった赴任地のバルモア帝国からモンティニュー王国への帰国の王命が届いた時には、もう厳しい内戦の日々でした

帰国途中にお父様とお母様は戦火に巻き込まれながらも、乳母のミリーと護衛騎士に私を託し、儚い命となりました

ミリーも私をアリュー伯爵家へ送り届けると、役目が終わったようにお父様やお母様の元へ旅立ちました

それ程、苛烈な帰国の旅でした


お母様のご実家のアリュー伯爵家は伯母様のキャロライン様が継いでおられました

キャロライン様に初めてお目にかかった時には無事に到着した安堵と共に、キャロライン様からの何と表現して良いか分からない複雑な表情に戸惑いました



両親の実家と交流が全くなかったので、伯母様の存在も知らず、両親やミリーを亡くしたばかりの私は家族が出来たと喜び、気に入って頂けるように努めましたが、キャロライン様とは最初のご挨拶の後ほとんど会わずに過ごすことになりました


お母様はお父様と結婚する前にモンロー伯爵家へ嫁ぐ事が決まっておりましたが、お父様と知り合い、モンロー伯爵家とのご縁を破棄しました

それによって多大な迷惑をアリュー伯爵家やキャロライン様にお掛けしたそうですお

その慰謝料等の工面の為にキャロライン様は歳の離れたカイロ侯爵家当主の後妻として輿入れされたのです

カイロ侯爵が身罷られた後、お子様のいらっしゃらなかったキャロライン様は、アリュー伯爵家へと戻り当主となられました

おじい様とおばあ様はお母様の婚約破棄後に体調を崩されて相次いで旅立ちました

また、お父様はお母様との婚姻によって、モンロー伯爵家に対してご迷惑をお掛けした謝罪として、ご実家の伯爵家から廃嫡となりました

お父様は、赴任先との対面を考慮して、ご実家から授かった儀礼称号としてバリュー子爵を名乗ることになりました

これらは後に知りました


その様な過去もありましたが、伯爵家では虐げられることもなく過ごしました

キャロライン様は私を遠ざけておいででしたので殆どお話しすることはありませんでしたが、仕方がないことです

それでも、キャロライン様には大変感謝しております

たくさんのご迷惑をお掛けした、母に似ている私を見てお辛かったのに引き取って頂いたのですから

特に私のプラチナブロンドの髪はお母様そのもので見たくなかったのでしょう

私は正式にアリュー伯爵家の養女となりました


アリュー伯爵家で過ごした当初は日々泣いておりましたが、モンティニュー王国に慣れるようにと勉強に没頭する事で他に何も考えられないように過ごしました

家庭教師の先生とお話しすること以外ほとんど会話が無く、また、先生とも必要なこと以外話すことがありませんでした

もちろん、キャロライン様とお母様の過去を知ってる使用人も私とは必要以上に接することはありませんでした

それ程、お父様とお母様の結婚はアリュー家とお母様の溝を深めたのでしょう

それから、2年余りが過ぎ、私は笑うこともなくなり、感情を表現することが段々と難しくなりました


もうすぐ16歳となる時にディバイン公爵家の嫡男ウィリアム様との婚約が決まりました

このご縁がどうして結ばれたのか私には分かりません


ディバイン公爵家へと嫁ぐことは決まってましたが、ディバイン家でこの結婚を勧めたのはディバイン公爵様だけで、他の方々は大反対と噂されてました

きっと上手くいかないと分かっておりましたが、心を閉ざした私は、もう何も深く考えることをしなくなり、それを受け入れました


それから、1年後に成人となった私は17歳でウィリアム様と結婚しました

ウィリアム様は22歳でした

書類を交わしただけの簡単なもので貴族の結婚としては異例の簡素なものでした


初めてお会いしたウィリアム様は漆黒の髪に濃紺の瞳の美しい方でしたが、ウィリアム様には相愛の方がいらっしゃると噂されてました

ディバイン家では一人離れに住みましたが、孤独に慣れていた私はそれに不満を感じることもありませんでした

多くの反対がある中での婚姻は、やはり上手く行きません

ウィリアム様も私を疎んじられていたので当然のことでしょう

初夜でもはっきりおっしゃいました

「1年後には離縁することになるだろう」

「ウィリアム様」

「名前を呼ぶことを許しておらぬ」

「失礼いたしました

ヘイリー伯爵様、この1年間どうぞよろしくお願いしたします」

ヘイリー伯爵とはウィリアム様が持つ儀礼称号です


「ひと月に1度褥をともにする」


ここでも私は何も期待することなく、孤独に過ごすことはわかっておりました

私たちは初夜を迎えました

閨を共にした後、ウィリアム様はおっしゃいました

「早く自室に戻ってくれ」

「申し訳ございません お休みなさいませ」


他に何も言葉にすることができませんでした


その夜夢をみました

きっとお父様だったのでしょう

お顔がはっきりしませんでしたが、とても幸せな夢でした

翌日からもウィルアム様とお会いすることなく過ぎました

初夜の翌日、ウィリアム様は辺境の地へ出発されましたが、私がそれを知ったのは1か月後でした

そして、私は背中の右肩に小さい白い百合の痣が出現しておりました

それを知ったのは随分あとのことです




読んでくださってありがとうございます

嬉しいです

誤字脱字もお知らせくださって本当にありがとうございました

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