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彼女は男だった。

彼女は男だった。

僕はそれを知らなかったが。


最初にあった彼女は、僕をスタンガンで動けなくさせた。

そしてアディオス、とばかりに部屋を飛び出し海岸線の国道の向こうへと消えた。

彼女は違う仕事もしているようだった。


二度目に彼女に会ったとき、彼女はまた別の仕事をしていた。

しかし僕が彼女とやることは変わらない。

今度はスタンガンを回避した。

そして彼女に十分な誠意と愛情を示した。

彼女が逃げてしまう前に。

彼女は精神が不安定である。

泣き崩れ、走って逃げた。

しかしその後、その日の彼女の書き込みに、

『〇〇さん(僕の名前)、お水入れときますね』

と書かれているのを見つけた。

それをみて懐かしくなり、また数カ月後、彼女を指名した。


私は上空を飛行していたが、彼女をみつけた。

彼女は工事現場で働いていた。

土木作業の途中、といったところだった。

そこに降り立ち挨拶をする。

明るく返してくれた。

本当に多種多様な仕事してるんだね。

私は彼女が俄然好きになった。


夢というのは波のように何度も繰り返し同じようなことが起こる。

それはデジャブのようなもの。

そのデジャブに気付ける者は、夢を文字通り二周目として体験できるのだ。

しかしすべてのシーンが同じわけではない。

まったく違う場面が入り込む。

そして夢の展開はあらぬ方向へと進む。


彼女は五人の背の高い外国人を相手にしていたようだった。

そして彼女が男であるが故に差別され、チップをまともにもらえなかった。

その場に居合わせた私はその五人と犬が3匹の巨悪集団に正義を要求した。

しぶしぶといった感じで彼らは彼女に対価を支払った。

その場に犬がいたのは犬を害獣として認識している私の特質のせいであろう。


私の足の爪が巨大な鳥のように変身し、彼女を捕らえた。

彼女はカピバラのような生物に変身し、そこで泣き崩れていた。

その小屋で泣き崩れていたのは彼女だけではなかった。

彼女と近い形質を持つ者が1人、寝台の上で嗚咽していたからだ。

「こんなことならこうしてここに引きこもっていればよかった。彼もこうしていればよかったのよ。顔が不細工なんだから」

と彼女は彼を巻き込んで反省した。


私は彼女を慰めたかったのだが、それは一週目の世界だった。

彼女とうまく行ったさっきまでの世界とは違い、なぜかここには五人の外国人が出てきた。

さっきまでの世界で起こったことはここでは起こっていないことになっている。

彼女は僕を知らない。

ここは最初、僕がスタンガンで襲われた日のことなのだ。

そのことに、彼女に愛情を注ぎ慰め、家に帰ってから気づいた。


夢は記憶の整理。

それなら同じシーンが何度も出てくることは不思議ではない。

だからデジャブを感じるのだ。

明確に一連の流れが繰り返されているわけではない。

それでも私は彼女に出会えた。

彼女とまた会うことを楽しみにしている。

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