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第44話 中野家

 今日、私とクロは白愛の母親、中野さんのお家に招かれていた。

お昼ごろには、中野さんの自宅に到着した。


「お邪魔してすみません」


 部屋に招き入れてくれた中野さんに向かって言った。


「いいんです! 私から誘いましたし、私もこうしてあの子を感じていたいので」


 中野さんは目には見えないクロの姿を横目に言った。


 クロは今、机の上でペンを紙に走らせている。

きっと、中野さんにはペンだけが一人でに動いているように見えるのだろう。


「クロちゃんは絵が上手ね」


 クロは何やら絵を描いているらしい。

中野さんはクロが描いているものをのぞき込むようにして言った。


『でしょー!!』


 クロが紙に書いた文字を中野さんに見せた。

アオイの時と同じやり方で、意思疎通を取るらしい。

まあ、これが一番手っ取り早いのだが。


 中野さんはクロとコミュニケーションを取っている時は笑顔が多い気がする。

そんな光景を眺める私もなんだか微笑ましい思いだった。


「そういえば、斉田さんに言われたことですが」


 中野さんは私の方に向き直って切り出した。


「わずかにですが、手を握ってくれたんです」


 8月15日、クロが消えた日。

白愛ちゃんの意識は戻っていたらしい。


 やはり、白愛ちゃんとクロの意識は繋がっている……

言えるわけが無い……

白愛ちゃんの意識が戻ったら……


『クロが消えてしまう』


 なんて。


 私たちに残された時間はもう……


「そうだ! クロちゃんの部屋見る?」


 中野さんがクロに尋ねた。


『クロのへや!? なにそれ! みたーい!』


 クロは乗り気だった。

自分の部屋と聞けばそりゃ、気になるだろう。


「わぁぁ! ここがクロの部屋!! スゴーイ、秘密基地だ!!」


 クロは自分の部屋を見るとテンションが爆上がりしていた。

パーッと明るい表情を浮べているクロは子供らしく、とても愛らしい。


 夕方になり、私とクロはおいとますることにした。


「いつでも帰って来てね。お母さん待ってるから」


 帰り際に中野さんがそう言った。


「クロの部屋凄かったねぇ」


 帰り道、クロと並んで歩く。

ちなみに、この程度なら取り憑かれていても問題は無い。


「明日は、何して遊ぼうか?」


 私がクロに尋ねた。


「いいの!? 遊んでくれるの! お仕事は!?」


 クロが驚いた様子で聞いてきた。


「んー、夏休みかなぁ。大人の夏は長いんだよ」


 後悔しないように。

今、やれることをやれるだけ……


「やったー! クロね、いっぱい夢あるんだよ!!」


 クロはぴょんぴょん飛び跳ねながら喜びの表情を浮べていた。


「そんなに?」


「クロは、夢がでかい女だからね!!」


 嬉そうでかつ、ドヤ顔でクロは言った。


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