序章【俺、生まれたらVRMMOでした】
『運営(神)に嫌われてるんですけど』の第1話です。
こちらも完結作品なので、週末に更新していきます('ω')ノ
序章【俺、生まれたらVRMMOでした】
そこは、とても美しい世界だった。
緑が生い茂り、空が遠く青い。
自分は温かな水の中から――――そこに姿を現した。
ほぎゃ。
今までと違う空間に押し出され、自分は声を上げる。
今までずっと、温かな水の中にいたのだ。
急に世界に放り出されれば―――はっきり言って、不愉快である。
「つばき」
自分を抱く温かな腕の主は、声を発した。
遠くに聞こえていた2人の子供の笑い声が、近づいてくる。近づいてくる2人の子供とは別に、自分を抱く女性の声音はとても穏やかで、安心感を得られた。
この世界が怖くない、と教えてくれているようだ。
「怖くないよ?この世界は、何も怖くない。空だって飛べる、海だって泳げる。あなたの創造性次第で、どうにでも変えられる」
ほぎゃ。
「それに、仲間もいるよ?」
「ちーとーせーちゃーんっ!!」
「うんうん、千歳」
自分を抱く女性の下に、小さな女の子がいた。手を高くあげ、女性の白いワンピースの裾をぎゅっと握る。
「オレ、そうた!その子が、椿くん?みせてー!」
「そうよ、創太君。赤ちゃんだから、優しくしてね」
つばき。ちとせ。そうた。
「私は、アイ。ここにいる時間はよろしくね、つばき」
アイは、美しい顔で笑った。その笑みを見て、つばきは自然と喜んだ。
――――この世界が電子で構成された世界だなんて、認識することもなく。
生まれたらVRMMOだった椿くん。
このお話しの続きは、本日の21時に更新予定です。