授業中では…
今は国語の授業中。
私は授業を真面目に受ける。
何故なら、学校以外で真面目に勉強したくないから。
ここで知識をギッチリ詰め込んで、後はプライベートタイムでゆっくりするのが私の生き方。
でも…周囲の行動が気になる。
教科書をタテにするか、あるいは机の中で。
クラスメイト達はケータイを操作している。
まあメールを打っている者もいるだろうけど、チラッと見ると…私の小説を読んでいる人もいる。
…何故、こんなことに。
と、思わずにはいられない。
「コラッ! 何をしている!」
びくっと体が震えた。
わっ私では無かったケド、心臓が痛い。
先生がどうやら教科書のタテを取り上げ、ケータイを見ている男子生徒に注意をしたらしい。
他の生徒達はいっせいにケータイを手放し、教科書を掴む。
「何を見ているんだ!」
「あっ!」
そしてケータイの画面を見た先生は…。
何故か笑った。すっごく良い笑顔。
「何だ、この小説見てたのか」
ゾクッと背筋に悪寒が走った。
思わず両腕をさすっていると、
「おもしろいからなぁ。『REN』の小説」
…ゲッ。
目の前が真っ暗になった。
「え~? 先生も読んでいるんですか?」
「ああ。暇潰しに読み始めたんだが、結構おもしろいよな」
…その後、先生は生徒達と『REN』の作品について語り始めた。
思いのほか、多くの生徒が話題に乗ってきたことに驚いた。
そして授業が終わった。
「おっと、いかんいかん。まっ、『REN』も小説だからな。国語の勉強の一環だ」
と、教師らしくない言葉を言って、教室から出て行った。
……大丈夫か? この授業。
けれど先生の好感度は一気にアップしたようだ。
私は……普通の授業がしたかった。