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恋愛小説家のススメ!  作者: mimuka
15/18

人気歌手との出会い

…が、それが別れではなく、はじまりだった。


バイトを終え、家に帰った私は、さっそくCDを開けた。


そして歌詞をめくって見ていると、ふとテレビの声で顔を上げた。


自室のテレビで音楽番組を流していたら、どっかで聞いたことのある声が聞こえたからだ。


大人気歌番組に彼が…昼間、ゲームのことで熱くなっていた彼が出ていたのだ。


サングラスを外していても分かる。


あの姿、あの声、そして存在感。


彼は今、人気沸騰中の新人バンドのボーカルとして、司会者に紹介されていた。


無表情ながらも、真面目に答えているのが彼らしい。


バンド名は『輝羅』―キラ―。


彼の名は、蘭雅―ランガ―。


そして彼らの歌を聞いて、私は全身が痺れた。


鳥肌が立った。


コレは…ヤバイ。


本物、だ。


久々に感じた。魂の震える歌を。


歌詞はどこかシナリオめいていて、蘭雅の妖艶な声がその物語を歌う。


曲のアレンジも良い。とても聞きやすく、重低音が響いている。


「…あれま」


歌を聴き終えた後、私は手元のCDを見た。


…またとんでもない人物と、出会ってしまったものだ。


店長が見覚えがあると言ったのも、頷ける。


これだけ良い曲を作り、あまつさえバンドメンバー全員の顔が良ければ、どこかで見かけていただろう。


私はパソコンを立ち上げ、輝羅のHPを見た。


プロデビューしたのはつい最近。


蘭雅が高校を卒業したのと同時だったらしい。


しかも…今、ちょっとおもしろい企画をしていた。


歌詞を募集しているのだ。


曲はできていて、歌詞を応募して、メンバーが気に入ったのを選び、それをCD化するという企画だ。


曲を聴いてみると、アップテンポで良い曲だ。


コレを聞きながら、歌詞を書いて、応募する―中々おもしろそうだ。


テレビを消し、私はペンとメモを手に取った。


そして何度も何度も曲を聴きつつ、歌詞を書いていく。


気に入らなかった文字はペンで塗りつぶし、破ってその辺に捨てた。


その作業を繰り返し、1時間後。


「ふぅ…。まあ、こんなもんかな」


一応歌詞が出来た。


曲を聴きながら、歌詞を目で追う。


そして蘭雅が歌っている姿を思い浮かべる。


蘭雅は冷めているように見えて、情熱を持っている。


…ゲームに。


でも情熱を持っていることは良い。


だから彼の冷めた部分と、熱い部分を表現した歌詞を書いた。


彼のことは今日の出来事と、テレビの中でのことしか知らない。


でも…何となくは掴めた。


歌詞だから、人間臭過ぎるのはNG。


あくまでも、聞いている人間を魅了する歌じゃなきゃダメ。


キレイな言葉を書き連ねるだけじゃなく、人間らしい部分も含めて書く。


…結構難しいんだな、歌詞って。


パソコンを操作して、応募の画面を出す。


そして歌詞を書き込み、連絡先…パソコンのメールアドレスを入力した。


最後に名前、ニックネームでも可能らしい。


だから私は迷わず、入力した。


『REN』―と。


そして送信。


結果は一ヵ月後。


よりにもよって、今日が締め切りだったらしい。


選ばれた人には、その作詞のCDが送られてくるらしい。


メンバーのサイン付きで。


私は今日貰ったCDを取り出し、パソコンに入れて、音楽を聴きだした。


…せっかく貰ったCDだけど、コレは大事にしまっておこう。


パソコンで通販の画面を開き、輝羅のCDを買った。


このサイン付きのCD、後に価値が出ることを、確信したからだ。



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