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恋愛小説家のススメ!  作者: mimuka
1/18

人気の恋愛小説家は…

「ねぇねぇ、見たぇ? 今朝、更新されてたよ」


「え~、マジ? まだ見てない~」


朝、教室へ入ると、クラスの女の子達がケータイ片手に騒いでいた。


「おはよ」


「あっ、はよ~」


「おっは。里桜」


自分の席に座り、欠伸を一つ。


「ね~ね~。里桜も読んだこと、ある?」


「何を?」


「このサイトの小説よ!」


そう言って友人が見せてきたのは、ケータイの画面。


そこにピンク色のサイトが映し出されている。


「…朝からピンクはやばくない?」


「ちっ違うわよ! 良く見て!」


ズイッと前に出してきたので、しょうがなく見てみる。


「…ああ、見てる見てる」


小説サイトだ。素人でも簡単に小説を書ける場。


「うんうん。それでね」


友人はケータイを操作し、ある作家のHPを出した。


「この人の作品は?」


落ち着いた桜色の背景に、白い蝶々が舞っている。


そこには『REN』の文字。


そしておびただしいほどの訪問者数…。


…ヤバイな、この訪問者数は。


「今、すっごい人気なのよぉ。『REN』の小説」


「甘~い恋愛ストーリーでね、すっごく読みやすいんだ!」


「こんな恋愛、してみた~いってカンジ?」


…朝から元気だこと。


私は友人のケータイを取って、作品の一覧を見た。


今は7作品を登録している。


そのうち、まだ執筆中なのが3作品…。


「更新が早いのがまた良いよねぇ~」


「本になったらもっと良いのにぃ」


読者数は、と…。


……エライ数字になっているな。


今朝、更新したばかりなのに。


「里桜も読んでる?」


「私はホラー/オカルト小説を読んでる。愛読は実話」


「うっ…」


「ひっ!」


途端に友人が青い顔をした。


とりあえず、訪問者数と読者数は確認した。


ケータイを友人に渡す。


「どーせ暇潰しの小説書きでしょ? こっちも暇潰すつもりで読んでる」


「あっ相変わらずクールね。でも! 『REN』の小説は違うわよ!」


「そうよ! すんごく人気あって、レビューの数もスゴイんだから!」


「ふぅん…。でも私、恋愛に興味ないんだ。現実はね。本でもお笑いがあれば好きだけど」


「おっお笑い?」


「恋愛にお笑いを求めるタイプなのね」


「うん。ただ甘いだけじゃ、飽きる」


きっぱり言うと、今度は言葉を失くした。


そして鐘が鳴り、二人は自分の席へと戻った。


……でもこんな私だけど、文才はある。


自意識過剰ではなく、周囲もそう評価してくれる。


そう、私が『REN』だ。


今、ケータイ小説サイトで人気の恋愛小説家・『REN』は私のペンネーム。


………ヒマ潰しとしてはじめたのに、こんなに話題になるなんて…。


「どうしよう…」


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