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不遇な少女達の魔王道  作者: 那由多 ユラ
20/23

第20話

続けて読むならあるだけ邪魔な前回のあらすじ!


希依「リリちゃんの質問から入った重たい話」


琴音「話して話して話して終わり。ちょっと物足りなかったかもね」


希依「それでも今回は引き続かないけど重たい話かも?」


琴音「ではではどーぞ」

目が覚めたら、そこは何も無い荒野だった。


どこを見渡しても視界に入るのは雲ひとつない青空に草木ひとつない枯れた地面。


本当にこれだけで、私の腕も足も、胴もない。ないのだから、当然触れないので顔があるのかも分からない。



――あなたは今日、選ばなければならない。



頭に少女のような声が鳴り響く。


「は?」


肉体がないのに肉声は出た。私の声はしっかりと、この耳で聞き取れた。


「選ぶって、なにを?」



――あなたの最愛に危機が迫るとき、あなたは初めて犠牲を伴わせる。



「最愛、琴音のこと?

まぁ確かに、琴音を助けるためなら犠牲くらい…」



――あなたは選ばなければならない。究極の二択ではなく、苦渋の二択。



――どちらを選んでも、あなたは絶対に後悔する。



――二人ぼっちの生活に逆戻りするか、


――一人ぼっちの王様を続けるか。



――ほら起きて。残りの時間は少ない。がんばってね」


最後の一言は聞き取れた。しっかりと、この身で。


大切を壊された、可哀想な女の子の声を。








「…夢オチ?」


辺りが霧に包まれたかと思ったら、気がついたらベッドの上で寝ていた。


「苦渋の二択ってなんの……え?」


ベッドから降りようと床に足を下ろしたら、それはそこに落ちていた。


それは、いつか私が琴音にあげた女性用の機械式腕時計。これは学校には持って行ってなかったからこっちの世界にはないはずなのだけれど。

時刻は夜の11時40分を指している。


「とりあえず琴音に…って、どこにいるんだろ。一緒に寝たはず」


まて、何かおかしい。私は何時に寝た?

私の生活リズムは崩れ気味だけど深夜1時から3時頃に寝てお昼前頃に起きるはず。

それなのに日をまたぐ直前の時間に起きるはずがない。


「とりあえず、琴音を探さなきゃ『気配察知 MAX』」


国中の住民の気配が私に突き刺さるように伝わってくる。

そこに琴音の気配は、ない。ラストさんのもリンちゃんのもない。


「少なくとも国の外、森とかかな?」


この時、私は失念していた。


孤児院の子達のことが、全く頭になかったのだ。






元々無法地帯の街だったモーゼスは現状魔境と化していた。化していたというか、魔境そのものである。


溶岩と液体窒素を同時に流す火山

人や動物のような腕を生やして歩く植物

空間そのものに寄生したかのように地面や動植物のら生えてくる動物の手足や臓器

ひとりでに動き出す明らかに人工物な農具や武器

シンプルに強すぎて魔族も人間も敵わない魔物


そんな魔境が、未だに名前を覚えられない人間の国とヘルムートを直線で繋げさせないように位置する。


なんとなくだけど、琴音はここにいる気がする。


「こーとねー?ことねー!…暗いかな。『えっと、 求めるは視界、もたらすは光源』」


私の腰あたりに光の玉がふわふわと浮かぶ。

私はそれを抱きしめながらことねを探す。

時刻は、11時50分。



「ことねー。おねーちゃんが探しに来たよー

…っ!?」


不意に何かを踏んだかと思ったら、それは人間の腕だった。肘から先までしかなく、断面は刃物で切ったよう。


白い手袋をつけていて、外すと火傷跡や切り傷が無数に刻まれている。


「うそ、…これ、琴音のだ」


唖然としていると、背後から光り輝く拳が襲いかかってくる。


「速やかにくたばりなさい!魔王!」


それは間違いなくジュリエットの攻撃だった。

いつぞやのクズとはまるっきり違う、強力で強引な、そして優しさに満ちた女の子の拳。


「いったいなんの真似かな?みんな」


これはジュリエットの単独犯ではない。

どうやら孤児院の子供を五人、どうやってか連れてきたみたい。


「ご、ごめんなさい魔王様。でも、魔王様が世界を滅ぼしちゃうって、ジュリエットちゃんが」


一人だけ出てきたのは、天使と人間のハーフの女の子、神綺ちゃん。私が名付けた子の一人だから、よく覚えてる。


「そう。で、琴音はどこ?」


彼女に尋ねると、もう一人が出てくる。


「こっちだよ!このクズ魔王!」


木の上から声を放つのは肉体をダイヤモンドに変化させることが出来る特異体質の持ち主、コウ君。

足元からロープが降りていて、その先には左腕がなく、右腕は縛られて吊るされてる琴音の姿があった。


「琴音!」


私はすぐに飛びつき、ロープを引きちぎる。


「琴音!琴音!無事!?ちゃんと生きてる!?」


「……ほへ、ひゃん(おねーちゃん)ふぅ、ひゃい(うる、さい)


幸い、琴音は辛うじて生きていた。片腕をなくし、喉も切られているようだが辛うじて、生きていた。


「バカ!なんでこんなとこに一人で来んのさ!私にも声かけてよ!」


ほえぇひゃん(おねーちゃん)うひ、ほ(うしろ)


「っ!」


「『聖光切』!」


「そんなに殺したいっての!?」


「ええ!死になさい!」


私は琴音に負担をかけないように最小限の動きでジュリエットちゃんの光をまとった手刀を躱し続ける。

正直、光っているのでこの暗い森の中だと見やすい。


「光束打!」


「筋力MAX!」


ジュリエットの光の速さで放たれる拳を、世界をも叩き割る拳で迎え撃つ。


木々は爆ぜ、地面は割れる。

地面の亀裂から溶岩と液体窒素が流れ出てきて、辺りは霧に包まれる。



「『因果律コントロール MAX』」



希依のつぶやきからすぐのこと、霧が晴れて辺りは火山と砂漠に変わっていた。


「嘘!?何よこれ!何をしたの魔王!」


ジュリエットの周りには、さっきまで姿を現さなかった残り三人の子供達が気絶していた。コウと神綺は手折れる三人に駆け寄り息をたしかめ、ほっとする。


「何をしたのって、ただ腕を振っただけだよ。

腕を振ったら、たまたまここが砂漠に変わっただけ。

腕を振ったら、たまたまその子達がきぜつしただけ。

腕を振ったら、たまたま琴音の怪我が全治しただけ。

ほら、どうってことないでしょ?」


「あー、あー、

あ、ほんとだ。おねーちゃん!声ちゃんと出る!」


「ほんと?よかったー」


これでとりあえずはひと安心。出血多量とかで死ぬ危険は無くなった。


「それだけで…、それだけの事で!こんなことが起きるわけ無いじゃない!」


「起こるんだよ、ジュリエットちゃん。バタフライエフェクトって知ってる?蝶の羽ばたきが台風だか嵐だかを生み出すっていう、現象のようなものなんだけど」


「そんなこと、起こるわけが」


「そろそろ聞きたいんだけど、なんでそんなに私を、魔王を殺そうとしてんのさ。その子達から私の評判、聞いたんでしょ?」


「…世界を、殴り壊すんでしょう?聞いたわよ!あなたが孤児院を作ったって!子供達を保護したって!

そして、世界を殴るって!」


あー、これ、もしかして私も結構な比率で悪い?


「おねーちゃん、ギルティ」


「ちょっ、琴音まで!?」


「分かったのなら、いい加減に殺されなさい」


ジュリエットは右腕に、さっきの閃光撃以上の光を纏わせる。


「ジュリちゃん、その時は私が世界を破壊するよ?徹底的に、塵一つ無くさずに」


琴音がジュリエットに言い放つ。

あれは完全に、怒ってる。

…でもね、琴音


「それよりも早く、貴女も殺すわ」


今回ばかりは、私の方が怒ってる。






キュイ、キュイ、ガチャ


「…へっ?なんですかこれ!?いつからここは砂漠に!?森は!?魔物は!?」


「「「「「……」」」」」


突如近くの地面から金属製の厚い扉を開けて出てきたのは城に居なかったラストさんだった。


「ラスト様?一体どうし…なんですかこれ!?砂漠!?すごい星が綺麗です!?」


続いて両手と九つの尻尾で大きなかごをもったリリちゃんが出てきてラストさんと同じようなリアクションをした。

リリちゃんのセリフを聞いて全員が空を見上げると、確かに星が綺麗に空を彩っていた。






「…ジュリエットちゃん、おしりペンペン百回」


「何がよ!?」


「大丈夫、ちゃんと街の真ん中で、パンツまでしっかり下ろしてからやるから」


「せめてパンツは履かせなさい!あ、間違えた!やめてよ!嫌よそんなの!」


「琴音、どうする?」


「うーん、じゃあ、絆創膏までならいいよ?小さいヤツね」


「ちょっとそこの妹!さっきまでの邪神みたいな怒り顔はどうしたのよ!何よそのニヤケ面は!」


「「あの、魔王様?」」


「ラストさんとリリちゃんの話は後でね。ちゃんと話すし、しっかりと聞くから。

あ、そこの五人を孤児院まで連れてってくれる?」


「はぁ!?おい待てよ魔王!逃げんのか!?」


コウ君は私の言葉に噛み付いてくる。まだこの子は私に勝てると思ってるのかな。


「見逃してあげるの。ほら、逃げていいよ」


「クッソ~!!」


倒れた三人はリリちゃんの尻尾に抱えられ、二人はラストさんに担がれてヘルムートへ戻る。


「…?ほら、早くしてよ」


「な、何がよ?」


「おねーちゃん、主語がないよ」


「シスター服のぬがし方って知らないからさ、自分で脱いでよ」


「まさかここで脱がす気!?最低よあんた!」


「人ふたり殺そうとしたんだよ?これくらいで済まそうってんだから感謝してよ。シクシク」


「腕とか切られた時痛かったなー。シクシク」


「「シクシク」」


「なぜか納得いかないわ!?」






そういえば、結局『苦渋の選択』とかなんだったんだろ?

時刻は、深夜の零時を指していた。



――よかったね、たまたま助かって


何処からか、優しい声が聞こえてきた。


「琴音、なんか言った?」


「さぁ。気のせいじゃない?」


「パンツを返しなさぁーい!」



深夜零時、少女達は砂漠を駆ける。


…約一名ノーパンで。

リン「なんであそこに魔王様達いたのかな」


ラスト「さぁ? まぁそれは後々分かると思いますよ」


リン「ジュリエットさん、大丈夫かな?」


ラスト「とりあえずおしりは無事では済まないでしょうね」


リン「話変わるけどラストさん、おしりって漢字で書くよりひらがなで書いた方が可愛いくない?」


ラスト「そうですね。漢字で書くとなんだか小ぶりな感じがします」


リン「へ?」


ラスト「へ?」





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