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不遇な少女達の魔王道  作者: 那由多 ユラ
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第2話

目が覚めると、そこは異世界だった。


 


 


…なんてことは現状分からず、私達の目の前には周囲を囲むローブ姿の人間達とやや離れたところからこちらを眺める王様のような格好をした老人だった。


まぁ、どうせ異世界なんだろうね。ありがちな…


 


なんてことを考えていると王様がこちらに近づいて来て、ローブ姿の人達は左右に別れるようにして道を作る。



「よくぞ来てくれた!我らの救世主達よ!」


「「「「「は?」」」」」


 


 


王様はこちらの言葉を一切聞かず、勝手に説明を始めた。


 


長かったのでまとめると、


 


私達はやはり異世界に来てしまったようで、最強の具現、魔王を倒さなければ帰ることは出来ないらしい。


どうやら魔王は魔物や魔族を従えて人々を襲おうとしているらしい。


現状、動きは一切ないとも言っていたので本当か怪しい。


 


私達はこの世界よりも高次元の世界からきたようで、それぞれの来世の力までもある程度使えるらしい。


なぜ王様が知っているかと言うと、『神 オージ』という者から聞いたそうだ。


 


私達が選ばれた理由は織田 光亮の来世が勇者であることが最大の理由で、織田以外はたまたま近くに居たから連れてこられただけらしい。


織田が勇者であることはこの世界の仕様、ステータスを確認することで職業として一応確信出来た。


 


それぞれの職業は…


 


織田 光亮――勇者


小河 香澄――魔法使い


五十川 瀬奈――騎士


牛島 亮太――武闘家


 


喜多 希依――最強


喜多 琴音――理解者


 


来世の私なにやってんの!?そして琴音のは意味不明すぎる!


 


当然私と琴音のそれは特殊なものであることは何となく分かるので私は剣士、琴音は僧侶と誤魔化した。


 


 


 


「俺、やります!俺が魔王を倒し、人々を、世界を救ってみせます!」


 


 


織田がなんか言ってやがる。余計なことを…


 


 


「そうね、あんたはそういう奴よね。私もやるわ!」


「先輩達がやるのに私だけサボる訳にはいきませんね!」


「俺もだ!皆で協力して世界を救って一緒に帰ろう!」


 


織田に感化されて四人が団結し、続いてこっちに視線を向けてくる。


 


「喜多さん達もいっしょに戦ってくれるよね?」ニコッ


 


やっぱり、あの笑みが私は嫌いだ。


「「嫌」」


「な、何故だい?この世界の人達を救うんだよ?それの何が不満なんだい?」


 織田が、訳の分からんことを言い出した。


この世界の人達は王様曰くまだ、苦しめられたりはしていない。それなのにこのバカは…


 


 


「私は別に人を救いたいとは思わないし帰りたいとも思わない。私は琴音と一緒に居られればそれでいいから」


「私も。私もきーおねーちゃんと一緒ならどこでもいい。そしてあなた達とは一緒に居たくない」


おっ、琴音が嬉しいことを言ってくれる。


 


でもやはり、当然のようにこのバカ共は納得するわけもなく…


「はぁ!?あんた達何言ってんの!?あんたらみたいなのは黙って私達に着いてくればいいのよ!」


「先輩の言う通りよ!あなた達はこれくらいでしか役に立たないんだから!」


「その通りだ!琴音ちゃん俺達と一緒に来よう!」


 


 


あぁもう、ほんとにまったく…


 


 


「うるっっさい!!あんたらはいちいち語尾に『!』を付けなきゃ喋れないの!?


私も琴音もあんたらと居たくないって言ってんじゃん!」


 


私が怒鳴ると、壁や床に無数のヒビができ、窓が割れる。


…最強ってこういうことなの?



私は床に手を置き、床の破片を一つ握る。


最初は砕けず、しかしだんだん力を入れていくと砕けて粉々になり砂のようになる。まだまだ力を込められそうだ。


 


…なるほど、力の使い方はだいたい分かった。


 


「お、おねーちゃん?」


「琴音、私と一緒に来てくれる?」


「え?…うん!おねーちゃんの居るところ私ありだよ!」


「OK!」


 


私は琴音をお姫様抱っこし、割れた窓から外へ飛び出す。


目に映るのは賑やかな城下町の上空からの景色。いかにも冒険者な見た目の人もいたので定番の『冒険者ギルド』のようなものもきっとあるのだろう。


 


 


「ちょっおねーちゃん!?」


「ねぇ琴音!わたし!この世界に来て良かったかも!」


「…!うん!私も!」


 


 


 

そのあと私達は人通りのない路地に着地し、さっきは確認できなかったステータスの詳細を確認することにした。


ステータスは頭の中で『ステータス』と呟くと目の前に半透明の長方形が現れ、色々と書いてある。なお、他の人には見せたい人にだけ見えるようにすることが可能なようだ。


 


喜多 希依 16歳 Lv1


職業〈最強〉


筋力 ±

体力 ±

耐久 ±

耐性 ±

敏捷 ±

魔力 ±


称号

来訪者

愛飢者

同性愛者

最も強き者


 

技能・加護

星神のなりそこない

究極の加減


 

喜多 琴音(北谷 琴音) 16歳 Lv1


職業〈理解者〉

筋力 12

体力 7

耐久 8

耐性 10

敏捷 9

魔力 18


称号

来訪者

愛飢者

同性愛者

血縁からの逃亡者


理解者

技能・加護

完璧な理解


 


 


 


 「とりあえず色々つっこみたいんだけどさ、琴音、理解者のそれでなんかわかんない?」


「んと、…あ、大丈夫そう。これ、見たものの必要な情報が入ってくる感じがする」


「私はそれないから多分理解者の能力的なものなんだろうね。


で、私のこの±の意味はわかる?」


 

「うん。


おねーちゃんのそれはいくらでも増えるしいくらでも減らせるってことみたい。最強っていうのは『いちばん強い』ってことじゃなくて『常に何よりも強い』ってことだね」


 


なるほど。でもあの大声を出した時は制御してる感覚はなかったから多分暴発の危険あり…かな?



「じゃあこの『星神のなりそこない』っていうのは?琴音にはないみたいだし私は心当たりがないんだけど」


「えーと、よくわかんないからそのまま読み上げるね。


『星神のなりそこない


あらゆる世界を管理する神、ステラになりそこなった者に与えられる称号。


精神的、肉体的な老化が止まり、死後改めて神となる』


…え、マジ?」


「うわ~なんかすごい面倒くさそう」


「だね~」


「琴音の『完璧な理解』は今のがそうなの?」


「うん。でもこれ以外にも視た者のあらゆる情報、心や体質、感情なんかを理解できたり、あとは私が触れた人に私が理解した情報を渡すことが出来るみたい」


「ふーん。琴音も割とチートなのね」


「うん。でもこれは俺TUEEEEする感じじゃないね。逆におねーちゃんは俺TUEEEEする感じのステータス」


「しないよ…多分」


「そこで自信なくさないでよ。


それで、これからどうするの?」


「とりあえず魔王のところに行こうと思うんだけど琴音はどう思う?」


「おねーちゃんがそうしたいならいいと思うよ?


ちなみに魔王のいる方向はあっち。魔国ヘルムートだよ」


 


琴音はどこかを指差す。その方向には壁しかない。


「それも理解者の力?」


「うん。そうみたい」


チートや。そんなんチートやないか。それがあれば迷子にならない…


 


なんてくだらないことを考えていたが忘れてはいけない。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


ここは路地裏、今やありふれてしまったファンタジー世界ならあれがそろそろ来る頃である。


 


 


 


 


 

ステータスを確認している二人の少女達の背後から二人の男が声をかけようと近づく。


「なぁお嬢ちゃんたち、よかったら「あ、ナンパなら間に合ってます」俺達と……あぁん?」


「お、おい落ち着けって……」


 

私達をナンパしようと話しかけて来た男のセリフを琴音が遮るとその男はキレだし、もう1人の優男風が宥めようとする。


「…おじさん達なんの用?私達これから忙しいんだけど」


「あ、あぁいや、よかったら俺らと一緒に冒険しないかと誘おうと思ったんだよ」


「ふぅーん。怪しいけど琴音、どう?」


「んー、ほんとにただのナンパみたいだよ?別に人売りとかじゃないみたい」


「そうなの?」


「たりめぇだ!そもそもこの国には人売りなんてほとんどいねぇよ!」


「へぇ。あ、じゃあついでに聞いていい?『この国には』ってことは人身売買がある国もあるの?私達そういうの知らないから教えて欲しいんだけど」


「あ?まぁかまわねぇよ。


この国から東にある『モーゼス』っちゅーところじゃ毎日獣人やら人魚やら自動人形やらがオークションにかけられてる。


逆にこの国は人身売買とか奴隷とかは全面的に禁止されてんだ」


「ねぇ聞いた?おねーちゃん。獣耳っ娘がいるんだって!」


「じゃあ魔王のとこの前にそっちに行こっか」


「なんだ?嬢ちゃんたち魔王に用事でもあんのか?それなら俺達が連れてってやるよ」


「おじさん達魔王の知り合いかなんかなの?」


「おうよ!一夜をともにしたダチだ!


…あとおじさんって呼ぶんじゃねぇよ。俺達これでも23だ」


「「うっそ!?」」


「なにぃ!?」


「アッハハハハ…」


 

「喋り方があれだったからてっきり…」

と琴音


「喋り方が熟練の騎士団長みたいだからつい…」

と私


「なるほど確かに」

と優男


 

「二人目やけに具体的だなオイ!?そしてお前も納得してんじゃねぇよ!」


「いやでも割とその通りだと思うよ?クラークもお前の喋り方おっさんくさいって言ってたし」


「「クラーク?」」


「あぁ、魔王の名前だよ。ちなみに俺はディアス、このおっさんはウィルソンだ」


「おっさん言うんじゃねぇよ!おじさんよりダメージでかいわ!」


 

さて、流石にあんまり長話が過ぎると日が暮れちゃうかな。


私は最後に聞いておきたい事を聞いて出発することにする。


「ねぇウィルソンさん、獣人の国ってどこにあるの?」


「んや、今はもう国はねぇよ。人間が乱獲しまくっちまったせいで国は滅んでちっこい村が残ってるだけだ。


その村も遠くてこっから西に馬車で3日はかかる」


「そっか。ありがとウィルソンさん、ディアスさん。私達行きたいところが出来たからいくね」


「おじさん達またねー」ノシ


「ふたりとも気をつけてね」


「最後に一つ言っとくぞ!獣人のとこに行くんなら剣やら杖なんかは持ってかないでやってくれ!すげー怯えっから!」


「「はーい!」」


 


 


 


 


こうして私達は獣耳っ娘の居るであろう村へ飛び立つのであった。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「やべっ、結局女の子の助っ人見つかってねぇじゃねぇか!?」


「アハハ、素直に諦めない?この依頼」


 


~ケーキの材料集め、制作の手伝い~

ストックが尽きるまでは1日1話投稿しようと思います。


Twitterで告知などなどしてますので気軽にフォローしてくださいな

https://twitter.com/ster331?s=09


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