第19話
いつかやめる前回のあらすじってやつ!
希依「冷凍うどんに学校へ呼ばれた私とリリちゃん」
琴音「おねーちゃん、うどんじゃなくておでんだから。
リリちゃんの入学を断って帰る二人は帰りにドーナツを買う」
希依「買いすぎたドーナツを持って孤児院に持っていったらバーベキュー大会は中止、ドーナツ大会が開かれた」
琴音「そして、最後はキャンプファイヤーで締め。
今日はまた違うことをするみたいだよ!」
学校に行った翌日のこと。
夕飯を食べている時、ふとリリちゃんが私に聞いてきた。
「魔王様、なんであんなに学校が嫌いなんですか?」
「ん~、あれ、話してなかったっけ?」
「可愛かったり、恵まれてたからいじめに遭ったっていうのはいつか聞きましたけど、具体的な内容はあんまり」
「そっか。まぁ、別に話して困ることでもないか。でもまぁ食べながら話せる内容じゃないからみんなが食べ終わってからね。
琴音とラストさんも聞きたい?」
「えぇ、そうですね。ちょっと気になるかもです」
「おねーちゃんが話すなら私も話そっかな?」
「…琴音、あんまりエグくなり過ぎないようにね?おぞましさなら琴音の方が酷いんだから」
「まぁ、うん」
「じゃ、話そっかな」
二歳か三歳位の頃
気がついたら両親はいなかった。もう顔も声も覚えてないし、名前も知らない。愛されていたかは分からない。
テーブルの上にはノートパソコンと通販の使い方が私にもわかるように書かれたメモが置いてあった。
そのメモはいつの間にか無くなっていたし、何故かろうじてひらがなが読める程度の私に理解出来たかは未だに謎。
どっかの誰かから超過剰な資金援助を受けていたけれど、それが誰かもわからない。
ちなみに、この資金援助は今でも続いてたりする。毎月初め頃に大量の金貨が部屋のどこかに置かれている。
この頃はまだいじめらしいいじめはなかった。というか、家から一歩も出なかった。
小学生
この頃から私のいじめられっ子人生は始まった。
最初はただの無視だった。それがだんだんと意味を持たない暴言へと変わり、終盤には同級生は見えないところにけがを負わせるということを覚えた。
中学生
半数は別の中学に通うとはいえ、半数はまた同じところに通うこととなる。
暴力を覚えた同級生達はついに刃物を持ち出した。カッターや鉛筆、画鋲など。
とある男子が私の頬に切り傷を付けた。さすがに隠しきれないと焦る彼等だったが杞憂に終わる。幸か不幸か、私は傷の治りが良かったのだ。
それから私への攻撃はより過激になった。
手の甲に鉛筆を刺される、リコーダーを男子トイレの便器に放置される、椅子に画鋲を貼り付ける、給食に折ったカッターの刃を混ぜるetc…
え、傷が全く無い?そんなことないよ。背中とかお腹、太もも辺りは酷いから見せてあげる。だから一緒にお風呂に入ろ?
え、怖い?大丈夫だよ。別に血が出てるとかは無いから。
話を戻そっか。
刃物に飽きた彼等が次に振るうのはインターネットやSNS。
奴らは私の顔や裸体をインターネットにあげやがった。インターネットっていうのはまぁ、世界中の何億人が見る掲示板みたいなものだよ。
そして、写真の次にこう書かれていた。
『○○中学校二年A組 喜多希依』『殴ってよし』『サンドバッグ希望』『0円ヤリ放題』『ヤリマンです』『ビッチです』『どれだけヤッても合法ロリ』
とまぁ、こんな感じで色んな人に認知されちゃったわけ。
…どれだけヤッても合法ロリはちょっと語呂が良いなって関心すらしたけど。
とまぁ、こんなことになったらもう大騒ぎ。
学校には汚っさんやら鬼いさんやら集まるし、学校でも上級生、下級生、教師、関係なく私の前でオス猿共が性器を露出するわキスを迫るわローションをかけてくるわ。
何回か机に精液をかけられたこともあったかな。
女子?キャーキャーうるさいわ、私を変態扱いするわであれはあれで面倒だった。
処女?あぁ、それならちゃんと琴音にあげたよ。
ちょっ、リリちゃん?その目はどんな刃物よりも痛いからやめてくれる?
ん、ありがと。
あぁ、琴音と会ったのは中学生になってそう経たない頃だったよ。
高校
高校受験の進路はまぁ、大したことはしなかったよ。受験ってのは学校に入学するためのテストとかだよ。
あんまり言いたくないけど頭は全く良くなかったからね。国語はよくラノベとか読んでたからどうにかなったけど理科、社会、数学、英語はまぁ悲惨だった。
おかげで所謂『バカ校』に通う私だったけど、まぁ写真が流れちゃってるわけだしいじめは続いた。
最初は殴る蹴るから始まり、机や椅子なんかへの細工、成績を人質にとった教師の嫌がらせ、生徒会への勧誘、まぁ中学校よりももっと色々。
勧誘はいじめじゃない?そんなことないよ。
私の、見た目に惚れやがった生徒会長がよく勧誘に来てはそれのファン共が私に嫉妬の目を向けてくるし。
なんとか高校二年になって今までとちょっと変わったことがある。そう、琴音が私と同じ学校に通うことになったの。
小学校は家が遠くではなかったけど学区は違ったし、中学校は琴音は通わなかったし。
琴音と一緒の学園生活、楽しみって思ったんだけど、まぁそう上手くもいかなかった。
琴音もいじめに遭うわ、私に友達が出来たと思った女子からの嫌がらせが悪化するわ、琴音に惚れた男子が私に絡んでくるわ。
被害が二等分されるかと思いきやむしろ倍加した。だからって琴音を嫌いになんて微塵も思わなかったし、奴らの来ない授業中の図書室で二人で過ごすのは楽しかった。
そして、私を教室に引き戻そうとした私のクラスメイトと琴音のクラスメイトと一緒にこの世界に召喚された。
不遇まみれな少女の物語はここでおしまい。
それから先は喜劇的ではなくとも、幻想的で私向きな物語が始まった。
「魔王様、これからはもっと優しくして差し上げますね」
「が、学校って怖いんだね…」
「いやリリちゃん、おねーちゃんはかなり特殊な例だからね?」
「ほらほら、この後琴音のも聞くんでしょ?
この程度でへばってちゃ、ショック死するよ?」
「えぇ!?」
「琴様、なんで生きてるの?」
「リリちゃん、それはちょっと酷くない?」
「でも琴音、私も初めて聞いた時は、この子よく逃げ切れたなぁ、って思ったよ?」
「まぁ、うん。じゃ、話していい?」
「あ、待ってください琴音様。先程話題にもあがりましたしお風呂に入りながらにしましょう」
「えっ…」
ラストさんの提案を聞いた琴音は手袋を軽く握り、顔が青ざめる。
私は琴音を抱きしめ、頭を撫でて落ち着かせる。
「琴音、私も、おねーちゃんも一緒だから。ちょっと頑張ろ?二人ならきっと大丈夫だから。ね?」
「…うん」
「あの、もしかして私、不味い事言っちゃいました?」
ラストさんが心配そうに聞いてくる。
「うん。悪い事ではないけど、不味い事ではあったかな。
琴音、肌を見られるのがトラウマなんだよ」
「だいじょうぶだよ、ラストさん。リリちゃんも。
ちゃんと、話すから。一人で、話せるから、さ」
「琴様、大丈夫?無理しなくても…」
「ううん、大丈夫。おねーちゃんにだけ話させて、私だけ話さないのはなんか、嫌だからね」
「ありがと琴様!大好き!」
「おねーちゃん、幼女ってすごいね」
「ん。じゃ、いこっか」
かぽーん
お風呂の場面に入る時の効果音ってなんでかぽーんなんだろうね。
「おねーちゃん、かなり前に私に教えてくれなかったっけ?
桶が床に置かれたときの効果音だよ?」
「へー。琴様もそうだけど魔王様も物知りだったんだね」
「…なんで過去形?」
「魔王様が嘘ばかり教えるからでは?」
「嘘じゃないもん。リリちゃんに話してるのは社会の厳しさと間違いだよ」
「と言ってるけどリリちゃん、おねーちゃんが話したことが役に立ったことってある?」
「あんまり!」
「うっ、…リリちゃんさ、九尾になってから遠慮が無くなったよね」
「そうですか?」
「それはそうですよ。魔族、魔物は精神が肉体に引っ張られる種族ですから」
「まぁいっか。琴音、さっさと話しちゃいなよ。あんまりシリアルに流れるとシリアスに戻れなくなるよ」
「それ、おねーちゃんが言っちゃうんだ。
まぁ、うん。じゃ、話しちゃおっかな」
私はよく泣く子だったみたい。
最初のうちは可愛かったみたいだけど、幼稚園に通う頃には両親は限界を迎えた。
友達作りが下手くそだった私はよく一人で泣いていて、その度に親が迎えに来させられてた。
四歳か五歳の頃だった。
初めて、お父さんが泣いている私を殴ったの。
そのときだけは、なんでか私は泣き止んだ。それを気味悪く思ってお母さんも私を殴った。
そこからはタガが外れたのか私が泣くたびに、殴ったり蹴ったりした。
最初の一回以降は普通に、もっと泣いた。もっと泣いたからもっと殴られた。
泣いても泣かなくても殴られた。
この頃から、泣かない方が幾らか身体に楽ってことを学んだ。
小学生にあがってからは、両親は私と関係ないことですら理由にして私を攻撃した。
カッターで切りつけられた。
包丁で軽く刺された。
金槌で殴られた。
半田ごてで焼かれた。
よく分からない薬品で皮膚を焼かれた。
軽いものだとざっとこんな感じかな。
え、重い?まだまだだよ。これらは肉体面だけだけど、他にも精神的にきついこともいっぱいやられた。
この頃かな、傷跡が気持ち悪いって言われて、両親だけでなく学校でもいじめられるようになった。
そ。これが、私があんまり肌を見られたくない理由で、PTSD。所謂トラウマって奴。
もちろんやり返そうとしたよ。
普通に殴ったり、電源の入っていない半田ごてを突き刺したり、カッターやハサミで殴ったりもした。
薬品の入ってたビーカーを投げつけたりとか、服を燃やしたりとかね。
そして、小学校5年生、10歳かそこらの頃、灯油をかけられた。部屋中に撒き散らかされてるのを見て私は察した。…一家心中する気だと。
私は逃げた。
家が川沿いにあったから、二階の窓から川に飛び下りて、振り向いた頃には家は燃えてた。
雨も降ってたから直ぐに鎮火したけど、無事かどうかは分からない。
行くところのない私はとりあえず雨風を防ごうと橋の下まで歩いて、そこで途方に暮れてた。
そんなときだったね、おねーちゃんと出会ったのは。
そういえばなんで声を掛けてきたの?なんとなくで目に付く場所じゃなかったと思うんだけど。
「あぁ、それ?…買い物中にたまたま同じクラスの人と会っちゃってね、相手の親もまとめて揉めに揉めた。
その帰りになんとなーく川を眺めたくなってね。
声をかけた理由は、…実は今でも分かんないんだ。
気づいたら話しかけてて、いつの間にか家に招いてた」
「ふーん。
まぁ、ここまでが私とおねーちゃんの出会いまでの物語。
こっから先はおねーちゃんの時に軽く触れたけど、学校には通わなかった。
高校はおねーちゃんと通えるってことで勉強頑張ったんだけど、結局はいじめに遭った」
なんか、無駄に厳しいっていうのはおねーちゃんから聞いてたんだけどさぁ、まさかあれほどとは思わなかった。
体育の授業でさ、原則ジャージ、その他装飾品等は禁止だった。半袖短パンのおかげで私の手足はクラスのみんなに見られて、クラスに味方のいなかった私はまたサンドバッグになった。
………
「そして、ここに来た。ですか?」
空白を破ったのはラストさんだった。
「うん。案外、話してみると楽なものっ…
リリちゃん?どどどったの?」
リリちゃんは立ち上がり、湯船に浸かっていた琴音を胸に抱きしめた。
「楽なんて、言わないでください。
琴様は、琴様と魔王様は、誰よりも頑張りました。二人とも、きっと、誰よりも…辛かったのに!」
リリちゃんは静かに涙を流す。
こんなの、始めてだ。私達のために泣いてくれる人なんて。
「琴音、よかったでしょ?」
「うん。居たんだね、こんな人」
琴音は、二人には今まで見せたことの無い傷だらけの手でリンちゃんの頭を優しく撫でる。
「あの、水を差すようで悪いのですが…」
ラストさんが気まずそうに、右手を軽く挙手して訊ねてくる。
「なに?なんか気になることでもあった?」
私が訊ねるとラストさんは素直をに聞いてきた。
「ヘルムートの魔法や薬なら、お二人の傷跡を完全に無くすことも可能だと思うのですが、それはしないのですか?」
その答えはヘルムートに来てすぐに決まっていた。
「「しないよ」」
「「だって、」」
「琴音が」
「おねーちゃんが」
「「綺麗って言ってくれたからね!」」
ラスト「かないませんね、お二人には」
リリ「うん。でも分かるかも」
ラスト「と言うと?」
リン「私もあの傷、怖いとか汚いとか全く思わないもん」
ラスト「ですね」
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