第11話
リリちゃんの件から数週間が経過した。
リリちゃんは以前の宣言通り目標魔王クラス程に強くなるために琴音やマフィさんの理解者の力を利用した古代の超魔法から近代の殲滅魔術を、実はかなり長生きなラストさんから戦術等を魔王城に住み込みで教わっている。
さて、私は今とんでもなくやばい問題を抱えている。それは暇すぎるという事だ。
平和なのはいい。リリちゃんみたいな事は無い方がいいのだがここまで事件がないと暇すぎて死にたくなる。琴音は理解者のあれであと数百年は暇つぶし出来るだろうしリリアちゃんはマフィさんの特訓が終わるまで孤児院でお留守番。
私も何か趣味を見つけなきゃなのだけど…
暇つぶしなら既に大体をやり尽くしている。
前の世界での趣味だった読書は去年国中の本を読み尽くしたしそもそも数が少ないし。
なにか……なにか……
よし、モーゼス壊そう」
「魔王様、いきなりどうされました?」
「あれ、声にでてた?」
私に声をかけたのは魔導書を3冊ほど抱えたラストさんだった。
「魔王様、モーゼス殲滅の計画はまだ話し合ってませんよね?」
「いや、まだそこまではしないよ。今日はただの暇つぶし」
「もうちょっと健全な暇つぶしはないのですか?読書とか」
「もう読み尽くした」
「料理はどうでしょう?」
「いまそんなにお腹すいてない」
「ボードゲームなんかどうですか?」
「ラストさん相手に勝てるわけないし」
「…モーゼス行きますか」
「うっし(๑•̀ •́)و✧」
「ただし、私も行きます」
「うん、じゃあ琴音とクックちゃんにも声かけてきてよ。ここにいるってことは今日の分のリンちゃんの勉強終わったんでしょ?」
「はい。『200倍速』」タタタタタタタタタタ
ラストは自身の動きの速度を普段2倍速で人並み、つまり200倍だと人間基準で100倍の速さで琴音の元へかけて行く。
さ、私も準備しないと。
まぁそんな必要なものも無いんだけど。
約十分後、魔王城の門の前に動きやすい格好に着替えた私に両腕を翼、ハーピーのものに変形させたラストさん、前の世界の一軒家が2つは入りそうな超大型の籠の持ち手にあたる部分を足で掴んで翼をはためかすクックちゃんとその上に腰掛ける琴音が集まった。
「さ、行こっか」
「うん!/はい/ガウッ!」
籠を持ち琴音を乗せたクックちゃんとラストさんは空をはばたき、
「『失われた数値MAX 摩擦』『ステータスMAX 筋力』」
私は摩擦を極限まで上げた足で空気を蹴り進む。
モーゼスは無法者が無法地帯に集まってできた街である。
乱雑に立地など考えずに作ったような入り組んだ住宅街に商店街、そしてそれらの中心に位置する大きな舞台。
舞台ではほぼ毎日多くの人間や亜人のオークションが開かれている。
私達はその舞台中央に着陸した。
「おねーちゃんは北側!ラストさんは南!クックちゃんは私と一緒に捕まった人達の救助!」
着陸してすぐ、オークションの進行役や観客が唖然としている中琴音は街の状況を即座に理解して私達に指示を出す。
ラストさんは指示を聞いてすぐに両手を刃状に変形させてモーゼスの住人達を無差別に切り殺しながら駆けて行く。
「琴音!北ってどっち!?」
「ラストさんの反対側!」
私は北かどうかは分からないがラストさんとは反対側に向かって走り出した。
琴音side
おねーちゃんとラストさんが向かった方向からは悲鳴や爆発音が響き渡る。
「さ、私も早くしないと全部終わっちゃうからね」
「あぁ!?何いきなり飛んできてゴチャゴチャぬかしてんだ糞ガキィ!」
オークションの主催者を筆頭に生き残った小悪党達が剣やナイフを構えて襲いかかってくる。
「おぉうらぁ!!」
「―求自業自得絶対防御
―救済弱者空間転移箱
―襲超高音白炎焼却劇」
琴音に触れた武器は方向を変え持ち主を突き刺し、オークションの商品となっていた人間から亜人、魔族まて全員をクックちゃんの持ってきた籠に転移させ、モーゼスの住民だけとなったその場を凄まじい高温を放つ白い炎が人を、地面を、舞台を、全てを焼き尽くす。
「…ちょっとやりすぎたかな?ま、いっか」
希依side
北に向かって走る私は奴隷の象徴である金属製の首輪を付けた人達から首輪と鎖を引きちぎり、クックちゃんの籠に目掛けて投げ飛ばしながら住民の首を殴り飛ばす。
奴隷の扱いが雑なようだが平気。籠の中には超が4つくらい着くようなクッションがあるから。超超超超クッション(私命名)があるから。
…名前が変?そう思ったあなたは超超ジュラルミンにホットプレートの上で土下座しなさい。あんなに頭悪くてカッコイイ名前私大好き。
※A7075という強度の高いアルミニウムです。
ラストside
不思議です。南側は大体回り切ったのですが未だ誰一人奴隷がいません。これは一体…っ!?
住民をあらかた殺し終えたラストは建物と建物の間などを探しながら歩いていると背後からボロボロな剣がラストの頭部目掛けて突き出るが、ラストはさほど慌てることなく回避し振り返る。
そこには2人の子供、否、2人の少年、少女のそれぞれ右手、左手が完全に繋がった一つの異形が剣を捨てて立っていた。
「っ!?……初めましてですね。お姉様、お兄様、でよろしいのですかね?自動人形2号、3号」
その異形をよく見ると首から肩にかけて大型の歯車の一部が露出していることから自動人形だと分かる。
「「なんの事かな?私/僕 はただの人間だよ」」
「いやいや無理がありますから!せめて腕と肩のそれをどうにかしてから言ってください!」
「そんなことより」
「あなたは即刻、」
「「こっから排除する」」ギギギギギ…
交互に話す2人はそれぞれ繋がっていない方の腕で頭を掴み、肩の歯車を差し込み、ゼンマイを回すように首を倒す。
「どうやら種族仲良くとは行かないようですね」
「全てはマスター達のため」
「全てはぶっ殺すため!!」
少女の方は静かに、少年の方は怒りを撒き散らすように、二人四脚でラストに襲いかかる。
「…自動人形の一号機の目的は人間に変わる研究、開発の継続のため。二号機は人間の感情の再現のため。しかし失敗しその感情は激しすぎた。三号機は二号機の感情のストッパーとして作られた感情が薄い人形。
…決して戦闘向きではありませんよ」
ラストは2人の腕を掴み、完全に静止させてしまう
「離せぇ!!」
「離して。あと二、うっさい」
「黙れ三!!」
「…(うるさい)」
「…なんでしょう、可愛く見えてきました」
「…ありがと」
「いいから離せ!!」
そんなこんなグダグダしていると…
「いっけー!三ちゃん!」
「二ぃちゃん気張れ!」
そこらじゅうから目の前の自動人形より背の低い、お世辞にも綺麗とはいえない服装の子供達が集まってきた。
「…なんでしょうこのアウェイ感。飛び蹴りで爆発四散しなければ行けない気がしてきました」
「マスター達には手を出させない」
「なるほど、あなた達のマスターとはあの子達のことでしたか。
…大丈夫ですよ。私達は奴隷を救出しに来ただけです。わざわざ子供達を殺したりしませんよ」
「信じられるか!」
「信じらんない」
「別に信じて貰う必要はないのですが…おや、もう終わりでしたか」
唐突にラストは手を離すと腕を翼に変形させて空に飛び立つ。
そこには二段ジャンプの要領で空を飛ぶ魔王少女と大型の籠を持つキメラ、その上に座る少女が乗っていた。
「ラストさん、あの子達はいいの?」
希依がラストに尋ねる。
「えぇ。あの子達には2人が着いていますから」
「そっか」
「そうなんです。
どうでしたか魔王様、暇は潰せましたか?」
「ううん、あんまり。琴音、なんかいいの無い?」
「んんー、あ、歴代の魔王さん達に聞きに行ってみたら?」
「……ありかも」
「その前に皆さんを送り届けてからですよ」
「…分かってる」
「ならいいのですが…」
その日、モーゼスから連れ去った商品達を家族が現存する人は家族の元へ。捨てられた子、殺された子、親のいない子はヘルムートの孤児院に送り届けられた。
感想等お願いします!
Twitterにて告知等していますので気軽にフォローしてくださいな
https://twitter.com/ster331?s=09




