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破魔の弓と鋼の矢

 リヴィアの名は町娘にも知られている程度には有名なようだ。


 この町唯一の弓士であり優秀で美しく、変わり者であるから良くも悪くも人々の噂になるのだろう。


 ちなみにタクミの噂も急速に広まっている。ポーション窃盗にハダカ革鎧、パーティ全滅に加え死亡したままパーティ解散。1日でこれだけのことをすれば当然である。


 ちなみに武器屋とのやりとりは噂になっていない。武器屋の主人が公言していないからである。一抱えの金があるなど知れればろくなことにならないであろうことは目に見えており、そんなことを公言するほど浅慮ではないのである。


 そんな渦中のタクミであるが、まだ一般人までは噂が届いていないのか目の前の町娘はタクミを見ても笑顔を崩さなかった。


「勧誘にきたよ、フィーナ。リヴィアと一緒に外の世界へと繰り出そう!見たことのない街や景色を見せてあげるよ。」


「え?え?」


交流のない勇者からいきなり勧誘を受けて戸惑うフィーナ。そもそも戦闘の役に立たない自分が何故勧誘を受けているんだろう。何故この人は私が外の世界に憧れていることを知っているのだろう。ちょっと怖い。けど、リヴィアさんがいるなら信用できるかな?


「わかりました。いえ、連れていってください。」


フィーナが仲間になった。チョロい。チョロすぎる。リヴィアもチョロかったが、輪をかけてチョロい。


 フィーナは女性キャラを連れて勧誘すれば仲間になる。タクミは一周目の経験から知っていたが、故郷を離れるなんて大事をこんな簡単に決めていいのだろうか?タクミは内心苦笑いしながらチョロフィーさんと握手する。


「でも私、戦闘のお役にたてませんよ?」


「あぁ、今はまだね。大丈夫、俺が守るよ。」

「。。。足さえ引っ張らなければどちらでもいいわ。戦えないなら隠れていて。」

「はい!足手まといにならないように頑張りますね!」

「じゃあ早速出発するよ。夜には一度町に戻るから、必要なものはその時に纏めてね。」

「私、こんな格好ですけどいいんですか?」

「言ったろ?俺が守るって。まだ戦闘用の装備は必要ないさ。」


 そんな会話をしてタクミとチョロフィーさんとチョロヴィアさんは町を出た。


 しばらくして、リヴィアが立ち止まり鋼の矢をつがえた。


 微かな風切り音をたてて矢が飛ぶ。


「ぐぁっ」


 断末魔の声を漏らしたコボルトが倒れる。


「凄い!こんな距離からコボルトを一撃で倒しちゃった!噂通りリヴィアさんは凄腕の弓士さんなんですね!」

「。。。今のは鋼の矢の威力が強かっただけ。さすがに一撃ではコボルトを倒せない。」

「それでも凄いです!戦士の方々でも無傷で倒すのは難しいって言いますよ!」

「リヴィア、鋼の矢は強力だが限りがある。君なら破魔の弓の効果は知っているだろう?なるべくそっちを使ってくれ。」

「わかってる。鋼の矢の威力を確認しただけ。」


 そう言うとリヴィアは空の弓を引く。すると光が集まり形を成す。弦を放すと光は別の方角にいるコボルトを貫いた。


「がぁぁぁ!!」


 コボルトが痛みに声をあげる。こちらに気づいて逃げようとするが再度飛来した光の矢に貫かれてコボルトは絶命した。


「鋼の矢程じゃないけど、今まで使ってた弓矢より威力があるわ。」

「破魔の弓はいくらでも矢を作れるから矢を切らす心配がない。レベルが上がれば作れる矢の破壊力も増す。知っていたからこそ仲間になってくれたんだろう?」


 破魔の弓と鋼の矢は始まりの町ヴェニスの弓士装備で一番高価な武器だ。いかにリヴィアが優秀でも易々と買える物ではない。


「えぇ、そうね、仲間になってよかったわ。ところでこの後はどうするのかしら?」

「東の橋を渡って魔物を倒しに行く。」

「っ?!無茶よ!勝てるはずがないわ!ブラストウルフとは格が違うのよ?!」


 普段冷静で無機質なリヴィアが取り乱したように声を荒げた。


今のところリヴィアともフィーナともフラグを立てる予定はありません。悪しからず。

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