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第85話 降り立つ雷竜


 皆さんいかがお過ごしでしょうか、王国軍3等騎曹を拝命しているティナ・クロムウェルです。

 もしこの胸中のつぶやきがどこか遠く、それこそ異世界にでも届いているのであれば、きっと心中お察ししていただけると存じます。


『目標11時方向の土竜グランドドラゴン!! 弾種変更徹甲!! 小隊集中行進射――――――撃てッ!!!』


 揺れる車内、鳴り響く無線を背景に、わたしは自身の剣へ手を伸ばした。


『命中――――!! 続いて撃て!!!』

『ヒトマルからヒトマル各車! 対空弾幕開始! 歩兵部隊の展開を支援せよ!!』

『サンマル! こちらCP、右翼敵軍団が後退! 第3戦車大隊と共に前進されたし!!』


 そうです......、ワイバーンの編隊が急降下爆撃を行い、新手の土竜グランドドラゴンと呼ばれる中級モンスターが戦車と殴り合う戦場で――――


 わたしたちは来たるべき時を装甲輸送車の中で待っていました。


「ティナ、いける?」


 ペアのクロエが横で黒髪を振り、後部扉の開放を共に待っている。

 彼女もまた、今回の作戦に遊撃連隊として加わっていた。


「当たり前じゃない、ロンドニアは必ず取り戻す! クロエこそ最近休んでばっかでなまってるんじゃない?」

「わたしは元アンチマジック大隊だよ? こういう危機的状況はむしろ本分」


 この子は相変わらず毅然としていて、いつもその雰囲気に励まされてきた。

 アクエリアス、ルナゲート、近衛連隊長との試合において彼女はもうわたしにとって欠かせない存在となっている。


「ちょっとそこの2人、そういう水くさいのわたし嫌いなんだけど」


 そういえば"彼女"もいた。

 兵員室の奥で、亜麻色の髪をした猫銃人キャット・ピープルのミーシャだ。


 ハルバード中佐の下でバイトをしていた彼女も、今回『ドラゴンスレイヤー戦闘団』に編入されていた。

 炎属性魔法が強力な、頼もしい助っ人である。


「全くミーシャは分かってないなー、こういうのはジョークで緊張を紛らわしてなんぼ! 例えばほら!!」

「はっ? ――――いやちょっ! どこ触って......んあぁッ!!」


 座っていたミーシャの耳を、クロエがひっつかむ。

 ミーシャのちょっとアレな声と、戦闘無線が混じり合って車内は混乱に包まれた。


 しばらくして、剣のさやで2〜3回ほどクロエをどついたミーシャが、息を荒くしたまま出撃準備に入る。


「ゼェッ、ゼェッ......! このバカはともかくとして、辛気くさいのは無しよ! フォルティシア中佐に全員の帰還を命令されたでしょ」


 彼女はわたしと同じく、フォルティシア中佐に救われた。

 今回その恩人であり上官が、戦場へ赴くわたしたちへ言った言葉はただ1つ。『おぬしら全員の帰還をもってのみ成功とみなす』


 ワイバーンやドラゴンには、絶対負けられないんだ......!!


「行くわよ――――クロエ!」

「オッケーティナ、久しぶりに暴れてやろうよッ!!」


 開いた後部扉から飛び出し、視界に広がったロンドニアの街目掛けて地面を蹴った。

 わたしの全てを、この戦いでぶつける!!


「――――『血界魔装・ドラゴニア』!!!」


 雷龍の咆哮を上げ、わたしは二刀の剣を抜いた――――――



本日新作の方を連載開始しました。

男主人公で俺TUEEEEEが書きたくなったので、とりあえず書いてみた次第です。


異世界王国軍に関しましては、特に投稿ペースをこれ以上遅くするといったことも予定していませんので、良ろしければあっちの方もよろしくお願いします

m(_ _;)m


(2018年8月14日時点)

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