第81話
暑い日が続きますので、ここらで戦車でもどうでしょう。
――――亜人自治区 アラル村郊外の駐屯地。
今ここには、ドラゴン討伐戦のために集められた強力な部隊が集結していた。
「どうだセリカ? ウチの戦車の調子は」
「最終チェック完了ッス、万事問題ないですよ、ルクレール軍服曹」
王国陸軍の魔導戦車――――その数128両、計8個中隊が列を成す光景は圧巻の一言であり、砲手を務めるセリカ・スチュアートも感嘆の念を抱いていた。
「スゴい数ッスねー、自走対空砲までいますよ」
見渡せば戦車だけではない、魔導機関砲の付いた自走対空砲も48両(3個中隊)が待機。
そして歩兵部隊を運ぶための輸送車両群までいた。
「前にアラル村の救援で出動した以来、ずっと訓練続きだったからな――――思いっきりやってやるぜ」
ルクレール戦車長も、かなり張り切っている。
伝説の存在、かつて勇者のみが渡り合えるとされていた化物に、王国軍は機甲師団という国家の暴力でもって挑まんとしていた。
「ドラゴンは片足が損傷してるみたいッスよ」
「好都合だな! どこの誰かは知らんが勲章ものだ。ま、トドメは俺たちが貰うがな」
この魔導戦車に、ルクレールはドラゴン討伐のキルマークを入れたくて仕方がないらしい。
最も、その興奮も戦車乗りならよくあるものなのだが。
「アラル村を出発した後は、輸送車を護衛しつつ前進。周辺を制圧しながらロンドニアに向かって3方向から攻勢を行うらしいな」
「はい、目標はドラゴンの討伐。および街の奪還です」
ルクレールとセリカは自車へ乗り込むと、通信機から響く"戦闘団長"の声に耳を傾けた。
『作戦開始、繰り返す、作戦開始!』
直後、100両以上の戦車が一斉にエンジンをふかした。
騒音というには大き過ぎ、地面が揺れるほどのものだった。
『これより、我々はロンドニアへ突撃する。厳しい戦いになるだろう――――だがこれは名誉であり、国防を担う王国軍の責務である!!』
偵察の軽戦車が一足先に出発する。
街奪還を任される遊撃連隊、近衛連隊の精鋭が輸送車へ乗り込んだ。
『では行こう! トカゲ共を蹴散らしてやれッ!!! 戦車前進!!!』
「戦車前進ッ!!!」
濁流のような戦車の群れが、地響きを立てながら平野を耕す。
作戦名・ゲオルグの槍。
王国軍ロンドニア奪還部隊――――――
通称『ドラゴンスレイヤー戦闘団』が、今ここに発進した。
今新作も製作中です。
異世界王国軍もやっとここまで来れたので、あとはトップスピードで駆け抜けたいと思います。
作者はお盆に横須賀へ行くので、海軍カレーいっぱい食べて描写力鍛えたいです(違