五十四話 復活のボーンキングとMギアブレイバー
今回は再生怪人の話です
博物館を出た後街で騒ぎが起きていた。街の人達が逃げ惑っている。
「なにこれ!」
「なんの騒ぎだ!」
「行ってみようぜ!」
騒ぎの中心に行くとその正体が分かった。それの前には壊れたお店や血だらけの人達がいた。やつがやったんだ。
その姿は黒鉄色に骸骨の頭に同じく黒鉄色の硬い筋肉、下半身はどこかで見たことあるような和風の鎧を纏っていた。
「君はっ」
「ボーンキング!」
アマツカが叫ぶ。
「知ってるのか?」
「アマツカが最初にこの世界で倒した暗黒ジャグラーズ」
「倒した?じゃあなんでいんだよ」
「死者復活の術、禁忌としてはあります…………ですが本当に実行されるなんて………」
エミリアが言う。
「禁忌?」
「出来たとしてもゾンビやアンデッドに近いものになるはずです、しかも知能はほとんどありません。あれは紛い物です!」
「見つけたぞ、天使ぃぃぃぃ!」
アマツカを見つけてボーンキングが叫ぶ。その叫びたるや、空気や僕の皮膚、骨まで震えた気がした。
「いや普通に喋ってるけども!?知能無かったら喋んないんじゃない!?」
「分かりません!あれはいったい………」
「来るぞ!」
悠の言葉で僕達はモンスターを召喚する。
「はあっ」
アマツカがボーンキングに斬りかかりボーンキングがギザギザの刃の大剣で防いだ。
僕はエンマジンの力を発動、アマツカの剣が炎になった。ボーンキングを倒した力、これなら……………。
「甘い、甘いわ!そんな攻撃、もう効かんわ!」
「なにっ!」
ボーンキングはそう言うとアマツカを弾き飛ばした。
「そんな、エンマジンの力が効かないなんて………」
「怯むな。撃て、撃ちまくれ!」
バキュン!ボウッ!バキュン!ヒュン!
悠の号令でレオパルドがエネルギー弾をヴァミラが火炎弾、ガルムが凍結弾、アンジュリアンさんが矢を発射する。
「無駄だ!」
ギンギンギン!
ボーンキングはレオパルド達の攻撃を弾いてみせた。
「馬鹿な、弾かれた、だと…………」
流石に四方向同時からに攻撃を弾かれるのは悠も意外らしい。
「クエェェェェ!」
「ヒヒーン!」
オオライチョウとウインディーペガサスがボーンキングに突進をしかける。
ズガァァァ!
これには意表を突かれたようでボーンキングもまともに受けてしまう。
『フウマジンの力よ!』
エミリアとアリエルちゃんが叫ぶとペガサスとオオライチョウの口から竜巻が発生して至近距離からボーンキングに浴びせた。
「ぐっ!」
吹き飛ばされて後退するボーンキング。でも倒れたわけじゃなくてしっかりと二本足で立ってる。
「今だ!一気に接近戦でカタをつけろ!」
悠の命令でアマツカ達がボーンキングが向かっていく。その際にフウマジンの力で加速させるのも忘れない。
「はあっ!」
「グオォォッ!」
「ガアァァッ!」
色んな方向からアマツカ達がボーンキングに襲いかかり翻弄する。飛び道具は弾いたボーンキングだけどこの攻撃にはさばききれずにダメージを受けていく。
「しゃあっ!このままやっちゃえー!」
「甘いわ!ぬぬぬぬ…………」
ガッツポーズを取ったのも束の間、ボーンキングが腕を交差して力を貯め始めた。
「はあっ!」
気合いと共にオーラを吹き出してアマツカ達を吹き飛ばした。
「生憎俺達も前とは違う」
「数も力もこちらが上!」
「オレ達には敵わない!」
アマツカ達が負けじとボーンキングに挑んでいく。
「ふん!」
「ぐっ!」
ボーンキングに剣を防いでアマツカが後退する。
「グオオッ!」
ヴァミラが炎を噴射してボーンキングに浴びせた。
「はっ!」
さらにレオパルドがバルカン砲を発射する。
ブアッと炎が横薙ぎにされて真っ二つになる。
「そんな………」
「これでもだめか」
悔しがるヴァミラとレオパルド。今度はガルムがボーンキングに突進する。後退したボーンキングの周りをペガサスとオオライチョウが旋回、竜巻を起こした。二方向からの風の攻撃と雷、その中にいたボーンキングは竜巻の中からペガサスとオオライチョウにエネルギーの斬撃を飛ばした。
「グァ!」
「キィっ!」
攻撃を受けて落ちる二体。
「ペガサスさん!」
「あっ!」
二体がやられて声を上げるエミリアとアリエルちゃん。
「貴様ぁ」
「よくも二人を!」
アマツカ達がボーンキングに飛びかかる。
「吹き飛べぇっ!」
「ぐっ!」
ボーンキングが剣を振ってアマツカ、ヴァミラ、ガルムの三体をまとめて吹き飛ばした。
「アマツカ!」
「待て、今行くのは危険だ!」
アマツカの元に走りだそうとした僕を悠が止める。
「でもアマツカ………」
「今は動くな。動けば、死ぬぞ」
悠の言葉は本気だった。
ボーンキングが歩くとアンジュリアンさんが矢を討っていくけど容易く受け止められてしまう。
「あ………」
ボーンキングがパラパラとキャッチした矢を落とす。飛んでる矢を掴めるのは前と変わんないらしい。
「きゃっ!」
ボーンキングの斬撃を受けてアンジュリアンも吹っ飛ばされる。
ズシン、ズシン、ボーンキングが重い足を進める。
「待って、なぜ君は復活したの?ううん、どうやって?復活の術は使っても知能がないんじゃなかったの?武器も前とは違う、君は誰に復活させてもらったの?」
僕はボーンキングを問い詰めた。
「この世に蘇ったのは我の意思ではない、ある女の力だ」
「女?」
「恐ろしいまでの金色の髪、ありえぬほどの白い肌にもったいぶった胸を持った布面積の少ない怪しい女よ、我が人間ならイチコロだったかもしれん」
ボーンキングが顎を手で触りながら言う。
「金髪に白い肌、もったいぶった胸に布面積の少ない、まさか………」
エミリアが難しい話をする。
「エミリア?」
「いえ、人違いです。そんなはず、そんなはずありませんから」
「お前の言う通り奇妙なことに死んだはずの我の意思はここにある。あの女はただの禁忌使いではないのだろうよ。この剣は我が蘇る時に得た新たな力だ」
「ただの禁忌使いではない、か。どうやらそいつはこの世界の人智を超える力を持つ者、あるいはモンスターのようだな」
悠が分析する。
「なぜ我の意思があるかなどどうでもいい。だが、蘇ったからには我を殺したお前を殺させてもらおう」
ボーンキングがアマツカを指す。
「ふっ、俺が負けると思ってるのか?」
アマツカが立ち上がってボーンキングに斬りかかるけど剣を弾かれて逆に斬られてしまう。一発、二発、三発、連続で斬られていく。
「アマツカっ!」
「来るな!」
走りだそうとした僕を今度はアマツカ自身が止めた。
「これは俺の戦い、こいつは俺の仇だ、だからお前は手を出すな!」
「でも!」
「余所見してる場合か!」
「あっ………」
ボーンキングが横薙ぎに強い一撃を放ちアマツカが倒れた。
「あっ」
「なっ」
「あ……」
「ひうっ」
「ひゃっ」
アマツカの横に広がる血しぶきに僕達は言葉を失くした。
「せんぱぁぁぁい!」
アリエルちゃんがアマツカに駆け寄る。
「先輩!しっかりしてください、先輩、せんぱぁぁい!」
アリエルちゃんがアマツカを揺する。
なんだ、この感覚。斬られてるのはアマツカなのに、血が出てるのにアマツカなのにまるで自分が斬られたみたいにお腹が痛い。
「気配は、あるな。まだそいつは死んでいない、そいつを庇うなら貴様にも死んでもらうぞ」
ボーンキングがアリエルちゃんに目を向け、アリエルちゃんもボーンキングを睨む。
ザッ、大剣が宙に浮く。その瞬間アマツカが普段アリエルちゃんに向けてる感情を思い出した。具体的なシーンは覚えてない。けど、僕はアマツカと融合してた時があるから感情だけは今も覚えてる。どんな目をアリエルちゃんに向けてるか、アリエルちゃんをどう思ってるか、アリエルちゃんがどんなに大切か。
そのアリエルちゃんを、死なすわけには行かない!
「司!」
「おい待てよ!」
悠達が止めるけど構わず突っ切る。
「死ねえっ!」
ガッ!間に合った、ギリ、ギリだけど。
「あ、ああ………」
僕を見るアリエルちゃんが恐い目を向けてくる。そりゃそうだよね、肩にデカいギザギザした刃物刺さってるんだもん、恐い顔もするさ。
これ、痛いし、辛いし、正直立ってるのもおかしいくらいだよ。
「死ぬのはまだ早いよ!」
僕は手からエネルギーを飛ばしてボーンキングを後退させる。
「ぐ、あ…はぁ、はぁ………」
ボーンキングが離れて地面に膝がつく。駄目だ、ここで完全に倒れたら死にそう。
「ちょっと何やってるんですか!あなたまで死にそうになってどうするんですか!馬鹿じゃないですか!?」
アリエルちゃんに身体を揺らされる。
「やめて、揺らされたら逆に死んじゃうから」
気を失うギリギリの気力で僕は言った。
「ほう、お前から先に死にたいようだな」
ボーンキングが刃からエネルギーを飛ばす。今度こそ終わりか。そう思った時、目の前に金色のロボットが現れた。
「だれ?」
口を開いたけど傷のせいで声になってない。
「わたしはヒカリマジン。パートナーのために身を張って守るその姿、感銘を受けました」
ロボットがこっちに振り向く。その身体は曲線が多くて戦隊ものやスーパーロボットに多そうな顔をしていた。
「あなた達にこそ、この力は相応しい」
ヒカリマジンが金色の光を僕に送りこむと僕の身体が光に包まれた。なんだ、アマツカと、溶け合ってるような一つになってくような、僕とアマツカが混ざっていく。
「先輩と、司くんが一つに………」
光が収まるとお腹に痛みを感じた。
「アマツカ、なのか?」
「えっと、司くんですよね?」
豊太郎とアリエルちゃんが言う。後ろから見た時と横からじゃ見えるところが違うせいで僕を誰だと思ってるのかも違う。
「えっと………逆にどう見える?」
僕は後ろに振り向くと自分の顔を指して言った。
「司、だな」
「だが服はアマツカのだな」
「どういうこと?」
「いや、見てたから分かるじゃん。合体だよ合体、僕とアマツカの身体がくっついたの、だから僕がアマツカの服着てるの」
「つまり、Mギア使いとモンスターが一つになったってことだよな」
豊太郎が言う。
「まあそうだね、厳密にはアマツカモンスターじゃないけど」
「すげー!合体すげー!」
「フュー、ジョン」
さなえがなぜか両手の指を身体ごと右に曲げていた。
「いや、さっぱり分からん。どういう原理なんだ」
「マジンの力です」
悠の問にヒカリマジンが答える。
「そ、そうか………」
絶対分かってないでしょこいつ。
「なんだお前は、気配が二つある。お前は肩をやった方か、腹をやった方か、どっちだ?」
ボーンキングが言う。
「二つ?いや、個体としては一つなんだから気配も一つでしょ」
前にもアマツカと合体してた時あったけど気配が二つなんて言われたことないぞ。
「いや、二つだ。お前の中に二人の天使が同居している、お前はいったい何者だ」
「Mギアブレイバーとでも名乗っておきましょうか」
そう言ったのはヒカリマジンだ。
「そういう名前なの?」
「先代勇者がイービルクイーンを封印した後に手に入れた姿もMギアブレイバーと呼んでいます」
「呼んでるんだ、じゃあその力もあなたが?」
「ええ」
「Mギアブレイバーか、よかろう、相手に不足はない。かかってこい!」
ボーンキングが大剣を両手で持って足を上げた。
「なんで野球のポーズなんだ?」
「なにを打つ気なんだあいつは」
豊太郎と悠が首を傾げる。
「あーと一球、あーと一球」
さなえがいきなり手拍子を入れてくる。
「へ?」
あまりの意味不明さに僕は振り返った。
「司、あと一球アウト取ればゲームセット、わたし達の勝ち」
「ふっ、よく分かんないけど、任しとけー!」
僕は手の中にエネルギーを溜めた。
「ぶっとべー!」
足を上げて溜めたエネルギー弾を投げる!シュルルルル!球はボーンキング目掛け勢いよく飛んでいく。
「我の、勝ちじゃぁぁぁ!」
キィン!球がボーンキングの剣に当たる。
「ぐ、ぐ、ぐぬぬぬぬ…………」
ボーンキングが歯をギチギチ食いしばって耐える。
ボウッ、キュインキュイン、球は剣に当たっただけじゃない、さらに燃えて勢いを加速させた。
「な、押される。我が、馬鹿なっ」
カッ!剣が球に吹っ飛ばされた。するとボーンキングが膝をついて爆発した。
『えー!?』
「なんで?なんで剣が吹っ飛んだだけで爆発すんの?おかしくない?」
「いったい何が起きたんだ………」
僕は悠とわけがわからないという顔をした。
「バッターは三振したから負けて爆発した」
「そういう、ことだったのかー」
さなえの言葉に関心する豊太郎。
「えー、そういうもんー?」
「野球回だと大体そんなん」
「野球回………」
「野球て九人で球を打ち合うあの野球ですよね?」
エミリアが言う。
「その野球」
「はあ………」
「よ、よくぞ我を打ち破った。流石は勇者、よ……」
ボーンキングが黒焦げになりながら立ち上がった。
「君、死んでなかったんだ」
「剣がなくなっただけで死ぬか馬鹿者」
じゃあさっきの爆発はなんだったんだ。
「今回は素直に負けを認めよう。また会おう勇者よ、今度は打ち返してやるからなー、覚えてろよー」
そんな捨て台詞を言ってボーンキングは立ち去った、彼はどこに行くんだろうな。
もうこの姿である必要はないんだけど、どうやって戻ろうか。困った、戻り方がわからな………。
「っと、はあ、びっくりしたー」
気がつくと身体からアマツカが抜けてく感じがした。前にはアマツカがわけが分からないという顔をしている。
「司?」
「やあ、どうやら無事みたいだね」
「俺は確か………」
「せんぱーい!」
アマツカが斬られたはずのお腹を触るより早く、アリエルちゃんがアマツカに飛びついた。
「先輩、先輩先輩、せんぱぁい!あたし、あたし………」
アリエルちゃんが泣きながらすごい勢いで顔をアマツカに擦りつけた。
「アリエ………ル、ごめん、心配かけた」
アマツカは最初驚いたけど辛そうな顔で言った。
「馬鹿。あたし、先輩が死にかけてどうしようかと思いましたよ」
「ほんとごめん」
「心配させた罰として、しばらく先輩から離れませんから」
「ええ………」
「なんなのあれ、なんかムカつくんだけど」
僕は二人から距離を置いて言った。
「つうか、てめえもてめえもだよ馬鹿!」
豊太郎が僕の首に腕をかけた。
「ちょっと豊太郎?!首締まるって!」
「締まってねえよ、軽くだよ。大体なあ、てめえは無茶し過ぎなんだよ、危うく死ぬとこだったじゃねえか!」
「全くだ、もう少し傷が深かったら死んでたぞ」
今度は悠が僕の襟を掴んでくる。
「いや、だから首締まるってー」
「安心しろ、加減はしている」
とても加減しているような顔には見えなかった。
「今後は、もう少し思慮深く動いてもらわんとな」
襟から手が離れる。
「はい、気をつけます」
流石にこれには平謝りしかなかった。
今度はさなえがどんとぶつかってくる。
「馬鹿、心配したんだから」
「ごめん。僕も、みんなに心配かけちゃったね」
「そうですよ、今度さなえに心配なんかさせたら、おしおきですから」
エミリアが言う。あまり冗談には聞こえなかった。
「き、気をつけます」
「よかったよかった、二人とも無事でなによりだよ」
お祖母ちゃんが言う。
「お祖母ちゃんにも、心配かけちゃったね」
「いいんだよ、あんた達が無事なら」
「では、あなた達にもこの力を」
ヒカリマジンが豊太郎達のMギアにも光を飛ばす。豊太郎達はMギアを出して確認する。
「今は無理ですがいずれはあなた達もその力を使いこなせるようになるでしょう。その時まで預けておきます。この世界を、頼みましたよ」
「ああ、任せろ!」
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