五十一話 狐流忍者の子供たちの帰還
「ごちそうさん、美味かったぜ」
お昼ご飯を食べ終わった八神さんが両手を合わせるた。
八神さんと一緒に外に出る。ドラグーンが小型サイズから大型サイズになった。
「Mギアなしでなれるんだ」
普通ならMギアないとなれないのに。
「ま、100年の戦いの賜物って感じかな」
八神さんがドラグーンの上に乗る。
「因みに、お前達が俺の真似したら燃料切れで海に真っ逆さまだからやめときな。じゃ、先行くぜ」
ドラグーンが空に飛んでいく。
「一緒に行かないんですか?」
「俺は賢治とメタリカを探さなきゃなんねえからな、お前達は他の暗黒ジャグラーズの相手をしてな」
「分かりました、世界は僕達に任せてください」
「ああ、頼むぜ」
ドラグーンが空に飛んでいく。
「いってらっしゃーい」
「さよーならー」
僕達は二人に手を振った。
「ってなんでいってらっしゃいなの?」
さなえが言う。
「また僕達のところに戻ってきそうだからそっちのがいいかなって」
「ふ、変な司」
「ところで勇者様、そろそろわたしと元太を帰してくれませんか?マカイターミナルという機械ならそれが出来ますよね?」
デモリアさんが言う。
「そうだな。やることもないしな、行くか」
アンダーグラウンドの教会。
「デモリアさーん、おかえりー!」
子供たちがデモリアさん出迎える。
「ちょっと元太ー!」
「ぐへっ!」
レナちゃんが元太くんにタックルをかまして元太くんが倒された。
「いってーじゃねーか!なにすん………」
元太くんが言葉を止める、レナちゃんが大粒の涙を目に溜めていたからだ。
「バカ、バカバカバカバカ!なに一日も教会留守にしてんのよ!あたし、心配してたんだからね!」
泣きながら叫んで元太の身体を殴ってくレナちゃん。
「うっそー」
僕達はこのわけの分からない状況に困惑するしかなかった。
「ねえ、これなんのラブコメ?」
僕は悠に聞いた。
「俺に質問するな」
レナちゃんの手が開いて上に上がる。
「タイム!レナちゃんタイム!上からのビンタは流石に痛いからやめてあげて!」
僕は慌ててレナちゃんの手を抑える。
「離して!あたしはこいつに一発食らわせなきゃ気が済まないの!」
「一発どころか四発も五発も食らわせてんじゃん!もうそこまでにしてあげてよ!」
「ごめん、心配かけた」
謝ったのは元太くんだ。
「あたしも、ごめん。ちょっと、熱くなりすぎたかも」
レナちゃんも謝る。
「勇者様ー、こいつ元太が出掛けてから元太の話しかしないんだぜー?元太はどうしてる、元太は死んでないか、勇者様に迷惑かけてないかーとか散々だぜー」
「こいつ、元太のことぜってえ好きだろ。本人は認めねえけどな」
子供たちが言う。
「あー、そういうこと」
ツンデレとか照れ隠しで好きな人に暴力振るうヒロインとかたまにいるよね。
「勇者様………」
大人の人達がやってくる。知ってる、戦果を聞きたいんだね。
「問題ありません、町の近くにあった工場からは暗黒ジャグラーズを全て一掃しました。もう、大丈夫です!」
『オー!』
僕がテレビショッピングみたいに身振り手振りを入れて力説すると教会中から歓声が湧いた。
「ありがとう勇者様、これで安心して家に帰れます!」
「ありがとう!本当にありがとう!」
僕達は街の人達に次々と握手を求められるすごい時点になった。こんなのアイドルの握手会ぐらいしかないんじゃないの?あ、アイドルならもっと集まるか。
「というわけで子供たち、帰るよ」
大人達の握手が終わると僕は言った。
「帰る?もう帰って来てるじゃん」
「違う、狐流忍者の里にだ。暗黒ジャグラーズを倒したら帰ると約束したろう」
悠が言う。
「あ、それかー。うん、それか………」
「かえ、らなきゃね」
子供たちは緊張しながら言う。
「やっば緊張するよね、一人暮らししてて何年も里帰りしないのに急に帰るみたいなもんだし」
絵里香ちゃんが言う。
「そもそも君中学だからまだ実家暮らしでしょ」
「てへ」
舌を出す絵里香ちゃん。
「ま、とりあえず実家うんぬんは置いといて里には戻ろっか」
「そうだな、そうしよう」
「里に戻るくらいならいいよね」
「というわけで井戸にレッツラゴー!」
『おー!』
僕は子供たちを連れて教会の出口に向かった。
「待てお前達、まさか井戸に向かうつもりじゃないだろうな」
悠が僕達を止めた。
「駄目なの?」
「井戸行って、洞窟と森通って里まで行くとか面倒だろう」
と、鋭い目付きで言われた。
「じゃ、どうすんの?」
僕の問いに対して悠はスッとマカイターミナルを出した。
「あ、そっかー」
「なになに?」
「なんなのあの板」
子供たちは見たことない板っぺらに興味深々だ。
「まー、見てろ」
悠がマカイターミナルを操作すると僕と子供たちの足元に次元の穴が開いた。
「へ、悠?」
『うわー!』
僕はあっけに取られてみんなと一緒に次元の穴に落っこちた。
「これって、アンダーグラウンドに来た時と同じやつだ」
「俺達帰れるのか!?」
「やった!あたし達帰れるんだ!」
子供たちが歓喜に湧く。それを見て僕は不意に笑みが零れた。
「なんだよ、なに見てんだよ」
元太くんが突っぱねるように言う。
「やっば帰りたかったんじゃん」
そう言うとみんなは恥ずかしそうに顔を逸らした。
上の方を見ると悠達が降りて来てる。女子のパンツはご丁寧に太ももで隠されてて見えなかった。
「ちょっと悠ー!不意打ちはないんじゃないのー!」
僕は下から悠に抗議した。
「ちょっとしたサプライズだ、驚いたろ?」
「余計なお世話だよ!こんなサプライズいらないし!」
「それはがっかりだな」
狐流忍者の里について緑の地面に落下する。
「はっ」
もう魔界の地面に落下するのも何度目かで慣れたからなんなく着地出来た。
「よっ」
「とっ」
流石忍者の里で育ってるだけあって子供たちも楽に着地出来た。
「やべっ」
僕は上の悠達を見てすぐにここを離れた。
「うわ、人が来てる!逃げろー!」
「うわー!」
子供たちも悠達に気づいて退避する。
「はっ」
「とっ」
「えいっ」
次いで悠達も着地する。
「いたっ」
「ぐへっ」
「うっ」
さなえとアリエルちゃん、ペガサスだけは着地に失敗して倒れてしまう。
「くえーくえー」
ライチョウが三人の上をクルクル回る。
「うるさいよ!馬鹿にしてんのあなた!馬鹿にしてんの!?」
アリエルちゃんが敬語も忘れてライチョウに怒る。
「くえ?」
「もういいです、勝手にしてください」
首をかまけるライチョウにアリエルちゃんは怒るのを諦めた。
「この子、Mギアのモンスターなのに喋らないんだね」
「他の連中と違って野生だからかもしれんな」
「え、じゃあこの子は最初からMギアのモンスターになる予定じゃなかったの?」
「完全にな」
「え、みんな帰ってたの!?」
呼留が僕達を見つけて驚く。
「えっと、何年ぶりだっけ、四、五年ぶり?」
そして子供たちに言った。消えたと思ってた子達が急に現れたから驚いてるんだ。
「えっと…………ただいま」
「遅くなって、ごめんなさい」
子供たちが呼留に謝る。
「いいんだよ、戻って来てくれればそれで………」
呼留が子供たちを抱き締める。
「うわーん、さびしかったよー」
「会いたかった、会いたかった………」
子供たちが呼留の胸で泣いた。
「そんなに帰りたいならもっと早く帰れば良かったじゃん」
『それはいや』
間を置かず一斉に言われた。
「あたしはこの子達を両親のとこに帰すけどみんなはどうする?」
呼留が言う。
「そうだな、洞窟の井戸以外の奇妙な噂はないか?」
悠が答えた。
「うーん、確か西の方に清浄の泉ってのがあるみたいなんだよね」
「清浄の泉?」
「なんでも、選ばれた人しか辿り着けないとこらしいんだよね。そこへ着くと不思議な子に出会えるとかなんとか」
「不思議な子か、なんだか面白そうだね」
「行ってみるか」
「うん、行こう!」




