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魔導奏者りりかさん魔界編  作者: 兵郎
四章 エルフエンパイアとメタリカの異変
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四十二話 ファクトリーの扉、エルフエンパイアへ




司side


ギ、ゴゴゴゴ………………。機械竜がボロボロになった途端部屋の奥の扉が開いた。扉の奥は白い光になっていて先が見えない。


「えー、あれ飾りじゃないのー!?」


「機械のやつにあんな趣味あるか馬鹿!」


僕が声を上げると悠が叫んだ。


「じゃあなんなんだよあれ」


豊太郎が言う。


「緊急脱出扉、だろうな」


「みなさん見てください!」


エミリアが指さす方を見ると機械竜がその扉の奥に逃げていく。


「逃がすか!」


アマツカ達と一緒に機械竜を追いかける。


「え?」


「なんだよこれ!」


「次元の穴だと!?」


僕達は扉の先に入って困惑した、扉の先は次元の穴になっていたんだ。身体が浮いて地に足がつかない空間だ。井戸を通った時と違って降りるんじゃなくて横に滑る感じ。


「なんだこれ、気持ち悪い」


「これは今までにない感覚ですね………」


「羽根を動かしてないのに宙に浮いている?」


急に次元の穴に来た僕達もだけど初めて来た元太くん達はもっと困惑していた。


向こうから白い光が近づいてくる、出口だ。


「ねえ、あれどこに繋がってるの?」


「さあな、行けば分かる」


やがて僕達は外に出る。


「っと」


転げるとか誰かにのしかかられるなんてことはなくすんなり着地する。


「ととと………」


「大丈夫ですか」


「う、うん」


元太くんは転びそうになるけどデモリアさんに支えられる。元太くんは恐いものを見る目でデモリアさんを見る。


「おっと、この姿のままでしたね」


デモリアさんが黒い肌と派手なドレスの姿から白っぽい肌にシスター服の姿に戻る。それでも元太くんのデモリアさんを見る表情は固いままだ。


「今わたしは悪魔に恐れられたというアマツカ様の気持ちを痛感しています」


デモリアさんが泣きそうな顔で言った。


「そ、そうか。あんたは頑張ったよ、だから気にするな」


「はい」


アマツカに肩を叩かれるデモリアさんはとてもワイバーンの大軍相手に無双してたお姉さんとは思えなかった。


向こうを見ると機械竜が空を飛んでいた。あいつ、あんなところに。


「逃がすか!」


「待て、これ以上は危険だ!それにやつは深手を負っている、遠くへは行けないはずだ」


レオパルド達が機械竜を追おうとするのを悠が止める。


「あれ、遥香ちゃんは?」


絵里香ちゃんに言われ周りを見渡す。


「いない」


「あの野郎、どこ行きやがった、俺達のこと戦わすだけ戦わせてやつが逃げた途端自分もトンズラかよ」


豊太郎がいらつくように言う。


「まあいい、今度会ったら今回の分も含めていじるだけだ」


悠の言葉はとても妹に対するものじゃなかった。


改めて状況を確認する。空からオレンジ色の光が射してる。


「どこかの森かな」


「帰ってきたのか?」


元太くんが言う。


「ちょっと待ってね…………」


僕はリュックからマカイターミナルを出して現在位置を確認する。魔界の地図と一緒に現在地を示す緑の点に国の名前が出る。


「エルフ、エンパイア」


それがここの国の名前だった。


「ドラグエンパイアですらない!」


元太くんがショックで後ずさる。


「すまんな、工場に案内してもらうだけがこんなとこに連れて来てしまって………」


悠が謝る。


「い、いいよ気にしなくて。勇者の力になれるなら儲けもんだよ、ハハハ」


元太くんの顔は引きつっていた。


「ここ、他のとこと違って周りが海なんだね」


「国どころか大陸が別物」


元太くんが頭を振ってるのが後ろを見なくても丸分かりだ。これじゃあ帰るのも一苦労だね。


「エルフエンパイアということはエルフの国か」


「だろうね」


「なんにせよ、現地の住人に会ってみないことには………」


悠が振り返ると口を閉じて信じられないものを見た顔になった。


「悠?」


聞くと悠はむっつり顔のまま指をさした。僕達もその方を見ると口をあんぐりと開ける羽目になった。


『なんであんたがいるんだよ!』


そして三人で大声を出すことになった。しかも思わずビシッと指をさすくらいだ。目の前にいたのはリリフィア・アルレイド、ドラグエンパイアで絵里香ちゃん達を連れてきてた悠と遥香ちゃんの学校の先生がなんでこんなところに。


「それはこっちの台詞だ!わたしの家の近所に君達の方から来たんだろう!」


アルレイド先生が足を前に出して拳を握り締めて言う。


「は、家?」


悠がアルレイド先生の言葉に呆気に取られる。


「家って…………もしかしてアルレイド先生てエルフだったんですか」


「そうだ」


『えーーーーーー!?』


今度はさなえや絵里香ちゃん、アマツカ達も入れて声を上げることになった。


「た、確かに金髪のキラキラした感じとか耳の尖ったとことか変な服とかエルフっぽいけどまさかほんとにエルフだったなんて…………」


僕達は出会って以来の衝撃で膝をつくことになった。


「そもそも魔界について詳しすぎるという時点で疑うべきだった………」


「先生が、先生が人間じゃないなんて…………」


「俺達はエルフにずっと魔界のこと教わってたのか………」


「な、なんも言えねえ」


悠は正体を見抜けなかったことに驚いてるけど絵里香ちゃんは完全にショックを受けている。さなえ、それは水泳の人が言った台詞だけど割と合ってる。


「いや、あの、驚きすぎじゃないかみんな。わたしの正体なんてどうでもよくないか?」


あまり驚き過ぎたせいかアルレイド先生が若干引いてしまっている。けど絵里香ちゃんは先生の胸ぐら、はないので首を引っ掴んで叫んだ。


「なに言ってるんですか先生!あたし達、Mギア使いになって五ヶ月になるのに先生の正体なんて一言も言ってくれなかったじゃないですか!?先生なのに生徒に隠し事ないですよ!先生にとっては大事な秘密かもしれないけど少しは生徒を信じてくれてもいいじゃないですか!せんせーい!」


グワシグワシ、怒号と共にアルレイド先生が首ごと前後に揺らされる。


「待ってくれ絵里香、首が、首が締まる…………」


うわ、アルレイド先生が苦しそうだ。


「落ち着いて絵里香ちゃん!アルレイド先生死んじゃうよ」


「教師を殺す生徒を殺す馬鹿がいるか!」


僕と悠は絵里香ちゃんをアルレイド先生から引き剥がした。


「はー、はー…………」


長く怒鳴ったから息が切れる絵里香ちゃん。


「し、死ぬかと思った………」


青ざめた顔で言うアルレイド先生。


「お知り合い、ですか?」


エミリアが聞いてくる。


「リリフィア・アルレイド、悠と絵里香ちゃんの学校のせんせ…………ちょっと待って、リリフィア・アルレイドて本名ですか?偽名じゃないですよね?」


僕はエミリアにアルレイド先生を紹介しようとして本人に聞き直した。


「リリフィアもアルレイドも本名だ。元からわたしは高い位の家のエルフだからな、他と違って苗字があるんだ。はじめまして竜人のお嬢さん、そちらもさぞ高い地位のお方と心得るが?」


アルレイド先生がエミリアに挨拶する。


「こちこそお初にお目にかかります。わたくしはドラグエンパイアが王女、エミリア・ドラグリーと申します、以後お見しりおきを」


エミリアもアルレイド先生に挨拶する。


「お、王女様か。これは失礼のないようにしないとな」


アルレイド先生が緊張した面持ちで言う。


「俺元太、狐流忍者の獣人だ。勇者を敵の基地に案内した男だ!」


元太くんが力強く言う。


「獣人の少年くんか、よろしく」


「わたしはアンダーグラウンドの教会司祭、デモリアと申します」


デモリアさんが自己紹介する。


「よろしく」


アルレイド先生の返事はむっつりした感じでデモリアさんのある点を見ながら言った。


「ねえ悠、豊太郎、アマツカ、ちょっと集合」


僕は三人に呼びかける。


「なんだ急に」


「お、内緒話か?」


「どうせつまらん話なんだろ」


アマツカは淡々と豊太郎は乗り気で悠は嫌そうに来る。


「アルレイド先生てさ、意外と胸なくない?」


「なんだ、そんなことか。俺はさっさと抜けるぞ」


一言目で離れちゃった、相変わらず悠はこういうネタ苦手だねぇ。


「だよな、俺もそう思う」


「俺のアリエルのが遥かにデカいな」


アマツカが意味深に言った。


「俺のて、君のだったの?」


「向こうも自分のと主張してるし問題ないだろ」


「う、うん」


「確かにアリエルちゃんのおっぱいはでけえな」


豊太郎が言う。


「だろ?」


「じゅるり」


あ、アリエルちゃんのおっぱいを想像してたら思わず涎が。


「自分でじゅるりとか言うな気持ち悪い」


「ごめんごめん」


「おいお前ら、何か失礼なこと話してないか?」


アルレイド先生が睨んでくる。向こうに聞こえる声じゃないけどひそひそ話だから怪しまれたらしい。


「やだなぁ、アルレイド先生が美人って話ですよ」


「そうそう、いつものファッションもいいけどここでの衣装もいいよな」


「俺もそう思う」


僕達は笑って誤魔化した。


「そ、そうか………」


顔を赤らめるアルレイド先生。ちょろいな。


「で、故郷まで戻ってなにしてたんだ?こっちにも暗黒ジャグラーズは来てるのか?」


悠がアルレイド先生に聞いた。わざわざ人間界まで来て僕達に良くしてくれたんだ、この世界でもきっと平和のために頑張ってるに違いない。


「別に戦ってるわけじゃない、そもそもこの辺りに暗黒ジャグラーズは来てないからな」


「なら戦いそのものではなく戦いの準備、と言ったところでしょうか?」


「そ、そんなところだ………」


若干挙動不審な感じが見える、怪しい。


「もしかして、里帰りしたら家の人にお見合いしろだの結婚しろだの言われてたりします?」


僕は試しに聞いてみる。


「そ、そんなことないじゃないか。平和のために頑張ってるよ、ハハハ………」


やっぱり怪しい。


「あ、お見合い断ったけどまたお見合い勧められて困ってるんですね」


「ちちち違うわ馬鹿!わたしはお見合いなど断じて勧められてないししてもないぞ!顔も中身もイマイチだからないなーとか思ってないぞ!」


すごい動揺して言われた。


「あ、お見合いはしたんですね」


「あーーーーーー!」


するとアルレイド先生はゴロゴロ地面を転がった。可愛いなこの人。




アルレイド先生の里に案内される。


「アルレイド先生ー!」


女の子エルフがアルレイド先生に向かってくる。


「どこ行ってたの?」


「ああ、さっきグレーと赤の何かが飛んで行ったろ?それが来たところに行ってたんだ」


「この人達は?」


「さっき行った場所にいたんだ、世界を救う勇者様御一行だよ」


「勇者様がどうしてエルフエンパイアに来たの?悪いやつはいないよ」


「さっき飛んでった灰色のが悪いやつなの、あれを追いかけてたらここまで来ちゃったってわけ」


「ふーん、勇者様も色々大変だね」


「てかアルレイド先生て?」


「アルレイド先生は先生だよ、ここであたし達に勉強教えてくれてるの」


「へー、ここでも先生やってるんですね」


うちのお婆ちゃんみたいなことしてるんだ。


「こっちのが先だよ、向こうから帰ってからは向こうで教わったこともこっちで教えてるけどな」




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